【5話】王都の圧力と二人の絆
王宮での昼食以来、リリア・エルヴァインの評判は貴族たちの間でさらに広がっていた。
「第3王子に触れた令嬢……あんな大胆な子がいるなんて」
「王子が特別扱いしているらしい。王都の秩序が乱れるわ」
噂は徐々に、王宮内部にまで波紋を広げ始める。
ある日、王宮内の庭園で、私とアルトリア王子は静かに話していた。
「リリア、噂は届いているか?」
「はい。ですが、私は気にしていません」
「……君は、平然としているのだな」
「王子が私を受け入れてくださったからです」
その瞬間、使用人が慌てて駆け寄る。
「王子様、貴族たちの間で、リリア様との接近を快く思わない者が行動を始めています!」
噂はついに、陰で具体的な行動に出た。
貴族の一部が、リリアの評判を落とすため、王宮内の小さな嫌がらせや圧力を仕掛けようとしていたのだ。
「王子……どうしましょう」
私は少し息をつき、決意を込めて言った。
「でも、私たち二人なら、きっと乗り越えられます」
アルトリア王子は紫の瞳をじっと私に向け、微かに頷いた。
「……やっぱり君は強いな」
「よし、共に対処しよう」
その日の午後、二人は貴族たちの監視や小さな妨害をかわしつつ、静かに王宮内を歩き回る。
王子が手を貸してくれ、私も王子の動きをフォローする――初めて、二人が協力して王都の圧力に立ち向かう体験だった。
「……少しだけ、楽しいかもしれない」
私は小さく笑う。
アルトリア王子も、初めて自然に微笑んだ。
「君となら、孤独も悪い噂も恐くはない」
――王都の視線はまだ冷たい。
だが、二人の絆は少しずつ、しかし確実に強まっていった。




