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触れれば死ぬと言われた王子に、なぜか平気で触れられる令嬢  作者:


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【4話】王宮での昼食と王子の影

王宮の広間は静かで、豪華な装飾の中に柔らかな光が差し込んでいた。

アルトリア王子は、緊張した様子を見せながらも、私に笑顔を向ける。


「リリア・エルヴァイン……夜会でのことを思い出すと、まだ信じられない気分だ」

「私もです。でも不思議と、怖くはありませんでした」


料理が運ばれると、二人で会話を楽しむ。

王子は少しずつ言葉を選びながら、自分の孤独や、王族としての重責、周囲からの視線の厳しさを語る。

私はそれに耳を傾けながら、時折冗談を交えて笑いを誘う。


「王子も、案外普通ですね」

「そうか?……そう言ってくれるのは君が初めてだ」


昼食を終え、王宮の庭を抜けて帰路につく。

その途中、街角で、何人かの貴族や商人の噂話が耳に入った。


「聞いたか? 第3王子に触れた令嬢、あんな大胆な子がいるなんて。どんな教育を受けたのかしら」

「触れたら死ぬっていうのに、平気でいるなんて……」

「王族に近づくのは命がけよ、あの令嬢、どうなることやら」


思わず私は立ち止まり、声を荒げた。

「失礼なことを言わないで! あの王子様に触れても、何も起きなかったのは事実です!人を死ぬ目に遭わせるとか、根拠のない噂を広めるのはやめなさい!」


周囲の人々は一瞬固まる。声を荒げる私に驚いて、ぱっと顔を逸らす者もいる。

その瞬間、後ろから足音が近づいた。


「リリア……!」


振り返ると、アルトリア王子が走ってきていた。

手には、私が王宮に置き忘れた手袋。

どうやら、私が忘れ物をしたのに気づいて追いかけてきたらしい。


「……アルトリア王子?」

「忘れ物を届けたくて……そうしたら君の声が聞こえて、急いで来た」


紫の瞳が真剣に私を見つめている。

その視線に、街の噂も、私の声も、すべてがかき消されたように感じた。


「……ありがとう」

私は手袋を受け取り、微笑む。


アルトリア王子は少し照れたように微笑むと、手袋を私に渡しながら、静かに言った。

「君は……本当に、強いな」


――王子の目には、夜会とは違う何かが映っている。

孤独な王子と、噂に動じない少女。

二人の距離は、少しずつだが確実に縮まっているのを、私は感じていた。

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