スーパーへ野菜を買いに行った帰り道に雨宿りをすると、アイツらに出会える
しまったな……
傘を持ってくればよかったな。
歩いて10分ちょっとのスーパーマーケットまでキャベツだけ買いに行って、お店を出ると小雨が降り出していた。
小走りで帰ってる間に雨が急に強くなって、潰れたたばこ屋さんの軒先に避難するしかなくなった。
誰も通らない。
自動車しか通らない。
もぉ……っ。こんなうら若き乙女が一人、雨宿りしてるんだから、誰か傘の一本ぐらい持ってきなさいよ。
「フッ……。急な雨に、その身を濡らして帰る覚悟すらないのか?」
急にそんな声が、すぐ隣から聞こえた。ベジ◯タによく似た声だなと思った。
見るとほんとうにベジ◯タだった。腕を組んで、皮肉な笑いを浮かべて、横目で私を見ている。
「あの……。いつの間に、そこに?」
「戦闘力2……か。ゴミだな」
「よくわかんないけど……傘、持ってます?」
「傘などなくてもオレは雨に濡れずに帰ることができるぞ?」
「私は無理です。キャミソールがスケスケになっちゃう」
「ゴミめ」
「濡れずに帰るって、どうやるんですか? 私にもその方法、教えてください」
「金色になれ」
「金色に?」
「見ろ! こうだ! はあぁーーーッ!!」
彼の全身が金色に輝き、髪が逆立ち、ものすごいパワーがそこに産まれたんです。
えぇ、それは伝説にしか聞いたことのない、『スーパー野菜人』の姿でした。
そうか──。私、スーパーに野菜を買いに行って、帰り道の雨宿りで人に出会ったから……
だからスーパー野菜人に会うことになったんだな。
そう思いましたけど、べつにそれで雨に濡れずに帰れるわけじゃないし──
そんな『ですます調』の思考を巡らせていると、ふいに雨がやんだ。
「……あ、雨、やみましたよ?」
ふんばるみたいな格好で金色に光っているそのひとに言うと、彼はなんだか『タイミング悪く、雨め、やみおって』みたいな顔をして、固まっている。
「じゃ、私、これで……」
ぺこりとお辞儀をして、キャベツの入ったビニール袋を揺らして、私が歩きだしてもそのひとは固まったままだった。
なんか悪いことしたかな──
私、なんにもしてないけど──
それにしてもいいことを知った。
雨の日に、スーパーで野菜を買って、帰り道に雨宿りをすると、スーパー野菜人に会えるんだ。
でも──
孫のつくひとのほうがよかったな。




