表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶のかけらが降る星で___。  作者: 萩原 なちち
6/25

EP6 「パンイチたぬきとの遭遇__地球の記憶が生んだ魔物」

今日はカイの“はじめての多忙デー”回です!

魔法局の依頼処理、BELIEVER地方の冒険、そして謎のパンイチたぬき……。

ルシアスとの距離感もちょっとだけ縮まる(?)ドタバタ回になっています。

ゆっくり楽しんでいってください!

記憶のかけらが降る星で___。

EP6 「パンイチたぬきとの遭遇」


***


――魔法局で暮らし始めてから、もう一ヶ月。

だいぶ慣れてきたな、としみじみ思う。


「今日のクエスト……まとめなきゃ」


机に積まれた依頼票を前に、俺は眉をしかめた。


「えーと……家の床が壊れました、直してほしい……これはすぐ行かなきゃな」

「病気のおじいちゃんのために薬々草がほしい……これも優先度高いな」


めくってもめくっても依頼は尽きない。


「……多すぎ!」


頭を抱えながらも、必死にまとめ上げて紙束を机に置く。

「よし! なんとか終わった! 今日は寝よ!」


***


翌朝。

魔法局の執務室にて。


「今日のリストは」

無表情のまま手を差し出す編集長――ルシアスさん。


「はい!」

胸を張って渡した途端、返ってきたのは冷たい一言。


「……相変わらず汚ぇ字だな」


「てへ⭐️」


「……」

小さくため息をついた彼は紙を流し読みし、すぐに顔を上げる。

「今日は緊急性のある依頼が多いな。俺も行く」


「うっすー!」


***


最初の現場は、床が燃え落ちた家だった。


「すまんのう……。嫁さんとケンカして、つい感情的になっちまって……」

住人は頭をかきながら、焼け焦げた床を指差す。


「ちょーわかる! 炎、出ちゃいますよね!笑」

「わからん……」横から低い声。ルシアスさんの冷めた視線が刺さる。


確かにBLAZEの人たちは感情で炎を出す、って聞いたことあるけど……。わからん。


「木材持ってきましたー! あっ、おじさん!足元危ない!」

先に気づいて声をかけると、住人は目を丸くした。


「ほんと、助かるわ……ありがとうな、カイくん」

「また遊びにきますね!」


「愛されキャラ、ってやつか……」

横でぼそりと呟く編集長。その目は少し柔らかい気がした。


***


「次はBELIEVER地方だ」

移動の最中、ルシアスさんが真顔で言う。

「ここは危険が多い。俺から離れるな」


「了解……」と言った直後。

「うわ!見てください!パスタ草!!」


「はぁ……(呆)」


珍妙な植物に目を輝かせていたら――ぐいっと腕を掴まれる。

「離れんなって言っただろ」

「ご、ごめんなさい……」


そう言った矢先。


「ぐるるる……」

低い唸り声と共に茂みから現れたのは――


パンイチ姿のたぬきだった。


「ねぇ?!なんでパンイチなの?!」

「静かにしてろ。弱い魔物だから、放っておけば……」


「なんでそんなかっこしてんのー?」


興味津々に顔を覗き込む

そして人の話を聞かずに魔物に話しかけるバカ。


「ぐるぅ……」

問いかける俺に、パンイチたぬきが抱きついてきた。


「わーーーっ!!!」

「だから言っただろ……」冷静な編集長。


よく見れば、口元がもごもごと動いている。

「……呪文詠唱?」


「どうしてパンイチなの?」恐る恐る問いかけると――


「べつに」

「喋るんかい!!!!」


ルシアスさんが静かに告げる。

「魔物は“地球”という星から、人間の記憶が肉体化した存在だと言われている」

「え、地球にパンイチのたぬきがいるってこと……?」

「さあな」


「ふーん……」


その場をなんとかやり過ごし、BELIEVER地方に到着した頃には――


「お前のせいで倍かかったぞ!!」


「さーせん!!!!」


「……まったく、どこまで騒がしいんだ」


怒鳴られながら、俺は全力で頭を下げたが…

ふとルシアスの顔を見るとその口元は少しだけ笑っていた。


(あんな顔もするんだ……)


***

ここまで読んでくださってありがとうございます!

パンイチたぬき……実は今後もちょっとだけ関わります。笑

次回は新キャラ登場です!

毎日更新していくので、続きもお楽しみにっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ