EP35「再びメモリスへ」
作者、とても仕事が忙しく更新が遅くなりました…!
想定では5期あたりまで物語ができてるので長い目でみてくださいね!
__
地球での束の間の休息は、長くは続きませんでした。
星は、静かに揺れています。
王の機嫌ひとつで止まりかける循環。
見えないところで動くエクリプス。
そして、胸騒ぎを覚える社長。
まだ戦いではありません。
けれど確実に――
何かが、噛み合い始めています。
EP35「再びメモリスへ」
地球の空は、どこまでも静かだった。
だが――その静寂を破ったのは、ちびなちの低い声だった。
「みんな……地球に来てもらったのに、すまない」
宙に浮かぶ小さな社長は、珍しく真剣な顔をしていた。
「どうしました、社長?」
ルシアスが即座に反応する。空気の変化を察知する速さは、さすがだ。
「一度、メモリスへ帰還する」
「えぇ!? なにかあったの?」
カイが大きな声をあげる。
ちびなちは、わずかに眉をひそめた。
「エクリプスが、また軽く“おいた”しているらしい」
「またなんかやってんのか……」
リツが小さく息を吐く。
「一応、Sランク冒険者には“何かあれば動け”とは伝えてある。だが……どうにも胸騒ぎがしてな」
「具体的には?」
ゼフィールが腕を組む。
「なにやら――ブレイズ王と言い争っているらしい」
その名に、ロランが「あぁ……」と苦笑した。
「なるほどね。ブレイズ王か」
「そうだ。あいつ……機嫌が悪くなると、星のガスを全停止させるからな」
「は???」
カイが固まる。
「星の……ガス?」
「メモリスのエネルギー循環の一部だ。止まれば都市機能の三割は麻痺する」
ルシアスが淡々と補足した。
「三割!? それ“軽くおいた”じゃなくない!?」
「だから戻る」
ちびなちの声は、はっきりしていた。
その瞬間、ルシアスは迷いなく言った。
「――じゃあ、支度するか」
指揮官の声だった。
「対処でき次第、地球へ戻る予定だ」
そのとき、背後で機械的な通信音が鳴る。
『NUSA。エナジーの動きはこちらで監視します』
無機質な声が響く。
「何かあったら、すぐに連絡を」
『こちらから二名、団員を同行させます』
転移装置の光が揺らめく。
現れたのは、がっしりとした男と、冷静な瞳の少女だった。
「ラオウだ。よろしく」
「ミノリです。よろしくお願いします」
「よろしくな」
ちびなちが小さく頷く。
空気が一気に引き締まった。
ここから、物語のスケールが少し広がります。
ブレイズ王。
エクリプス。
NUSA。
それぞれが“正しい”と思って動いている。
だからこそ、危うい。
次話から、メモリス側の空気が変わっていきます。
どうぞお楽しみに。




