EP31「揺れる波形(メモリア・ウェーブ)」
こんにちは、なちです。
地球編に入ってから、
少しずつ「目に見えない異変」が形を持ち始めました。
今回のEP31は、
派手な事件が起こる回ではありません。
ですが――
確実に、何かが動き出した回です。
場所を移動し、
反応を示し、
まるで“意思を持って探している”かのような記憶。
それが何なのか。
誰のものなのか。
まだ、誰にもはっきりとは言えません。
ただ一つだけ確かなのは、
この物語が「戻れない地点」に差しかかっている、ということです。
記憶のかけらが降る星で___。
EP31「揺れる波形」
***
NUSA本部・会議室。
巨大モニターに、異常な波形が映されていた。
「……それで。記憶のかけらのエナジーはどこで反応しているんだ?」
ちびなちが腕を組む。
職員
「最新の反応地点は──みなとみらいです。」
「みなとみらい……?」
ちびなちは眉を寄せる。
「地球に来たのは初めてだからわからん。どういう場所だ?」
「観光地ですね。人が多くて、活気のあるところです。」
「観光地に“記憶の反応”……妙だな。」
職員は別の資料を開いた。
「実は、反応は前からあったんですが……
最近、急激に跳ね上がっては、また落ちる。これが続いてます。」
ゼフィール
「跳ねて……落ちる? 安定してないってこと?」
「はい。まるで“何かを探すような波形”です。」
リツ
「探す……?」
「位置も一定じゃありません。
北海道でも反応があり……鹿児島でも……また戻って……と。」
ちびなち
「場所には規則性がないということか?」
「はい。反応の“対象そのもの”が動いているようにしか見えません。」
ルシアスの肩が、ひどく小さく揺れた。
(……対象?
どうして、俺の胸が……ざわつくんだ)
「メモリス側で、心当たりはありませんか?」
職員の質問に、ちびなちは一瞬だけ沈黙した。
「……あるにはある。
だが……」
全員が息を呑む。
ちびなち
「……“言えん”。口に出せば……世界が壊れる。」
職員は目を丸くした。
「せ、世界が……?」
リツ
「ごめん。
“ある記憶”がどうこう……って話題は、俺たちにも話せないんだ。」
ゼフィール
「世界のルールでね。
詳しく言うと、俺たち“喋った側”が消えるの。」
カイ
「な、なんで……?」
ロラン
「“大切すぎる記憶”には触れられないんだ。
本来の持ち主が、自分で取り戻すしかない。」
ルシアスは、うつむいたまま拳を握っていた。
(……胸が……重い……
何か……忘れている気がするのに……
どうして思い出せない……?)
職員
「……なるほど。
では“原因は言えないが、何かしらの変化はメモリス側にある”と理解します。」
「そうだ。」
ちびなちは頷く。
職員
「ですが、はっきりと言えることが一つあります。」
全員
「……?」
「今回の異常値の“引き金”は──」
職員は、カイを見つめた。
「……あなたが地球に来た“その瞬間”からです。」
カイ
「……え……?」
ゼフィール
「カイが……原因……?」
職員
「違います、責任という意味じゃありません。
“反応の方向性”の話です。」
モニターに映された波形が、
“地球に降り立ったタイミング”で跳ね上がっていた。
「記憶のかけらが……
『持ち主の気配』に反応した可能性が高いです。」
カイ
「……持ち主……?」
職員
「“誰の記憶か”まではわかりませんが……
あなたが接近したことで、その“何か”が覚醒し始めた。」
リツ
「……つまり、カイと強い繋がりを持つ“誰かの記憶”か……?」
ゼフィール
「メモリスにある“その記憶”とは……別の……?」
ルシアスは小さく息を飲んだ。
(別の……?
じゃあ……“俺の胸を刺すこの痛み”は……なんなんだ)
職員
「そして、最も強い反応が出ているのが──」
モニターの地図にピンが立った。
『みなとみらい』
カイは息を呑む。
「……そこに……
誰かの……記憶が……?」
ちびなちは静かに答えた。
「探しに行くぞ。
何が起きているのか、確かめる。」
ルシアスは立ち上がり、カイの背中をそっと押した。
「行こう、カイ。」
その手つきは、
“記憶では覚えていないのに”
“身体だけが覚えている優しさ”そのものだった。
***
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
今回の話で、
「なぜ地球なのか」
「なぜ今なのか」
その輪郭が、ほんの少しだけ見えてきたと思います。
語れない記憶。
口に出せない理由。
そして、身体だけが覚えている感覚。
ルシアスの違和感も、
カイの“呼ばれている感覚”も、
すべてが偶然ではありません。
けれど、
答えはまだ、ここにはありません。
次は――
“場所”そのものが、物語を語り始めます。
みなとみらいで、
何が待っているのか。
引き続き、見届けてもらえたら嬉しいです。




