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記憶のかけらが降る星で___。  作者: 萩原 なちち
38/40

EP29 「地球へ__存在しないはずの記憶」

※第二章突入回です。


ついに舞台は「地球」へ。

メモリスとはまったく異なる世界で、

“存在しないはずの記憶”が動き出します。


少し日常寄り、でも確実に不穏な空気を感じてもらえたら嬉しいです。

記憶のかけらが降る星で___。


EP29 「地球へ__存在しないはずの記憶」


***


 白銀の宇宙船がゆっくりと大気を抜ける。

 眼下には青く輝く惑星――地球。


「ここが……! 地球!!」


 カイは息を呑んで額をガラスに押しつけた。

 隣でルシアスは、いつものように淡々としている。


「初めて来たな」


「メモリスとは違うね〜!」

 ゼフィールがきらきらした目で空を覗き込む。


「美しい……!」

 ロランは、胸に手を当て感極まった顔をしていた。


「っとまぁ……。二人の問題って言ってたけど、俺たちもふつーに来てまーす」

 リツが肩をすくめる。


「二人じゃ心細いからな。私は大きくは動けないし」

 ちびなちが、どこか寂しそうに浮きながら言った。


「思ったより近いんだね」

「あぁ。宇宙船で六時間ほどだ」

「楽しかったー!!」

「旅行に来てるんじゃないぞ」


 ちびなちの忠告は、案の定カイには届いていなかった。


「あ!! あれ! いってみよー!!」


「……聞いてないな。まぁ、少し回ってみるか――」


「ダメですよ!!」

 アヤセが真横から飛んできて、強制ストップ。


「まずはNUSAにご挨拶に行くんです!」


「う……そうだったな。ルシアス、あそこのアイス買ってきてくれ」


「承知した」


「ボクも〜♡」


「こんなんで大丈夫か……?」

(リツの不安は、すごく正しい。)


 ――その時。


「……あれ? カイは?」

「いないね」

「はぁ……ルシアスが心配するから……」


「リツ……」

ロランが、そっと肩に手を置いた。


「あぁ……そうか……」


 胸の奥が少し痛んだ。

 ゼフィールは、静かに目線を落とす。


「なんか……悲しいね」


「いやでもどこ行ったんだ?」


「……あそこだよ」

ちびなちが、遠くを指さした。


「ん??」


「うわ!! ぬいぐるみが動いてる!!」


「なーにやってんだお前は……」

リツが遠くから頭を抱えた。


「ほらカイ、NUSAに行くよ」

ロランが呼びかける。


「ほら見てよ!! ぬいぐるみがさ!!」


「ルシアス戻ってきたし行くよ〜」

ゼフィールがアイスを片手に言う。


「うーーん!! また後でねー!!」


「たぶん“また”はないよ……」

リツのボソッとしたツッコミが虚空に消えた。


***


NUSA本部


 冷えた廊下を抜けると、白い部屋で一人の男が待っていた。


「本日はお越しいただきありがとうございます」


「で、どうなってるんだ」

ちびなちが腕を組む。


「記憶のかけらの反応……“魔力干渉体”が異常値を観測しました」


「バカにもわかるように説明できるか?」

「はい……」

(男はカイのことを見た)


「魔力干渉体ってなに?」

「バカでもわかるように説明してくれるみたいだよ」

リツが肩を叩く。


「魔力干渉体とは――

記憶のかけらのエナジーそのものです。

地球には、本来その“記憶のかけら”が存在しません」


「あ、そっか。記憶のかけらはメモリスで生まれたものだから、地球には――」


「その通りです」


 男は真剣な表情で皆を見渡した。


「ですが……今回は“存在しないはずのエナジー”が、地球側で反応しました」


 ――空気が固まる。


 ルシアスですら眉を寄せるほどの異変。


「ありえないことです。

ですが、間違いなく……“誰か”が地球で記憶エナジーを発生させています」


「…………え?」


 カイの喉が、ぎゅっと鳴った。


 まるで“誰かに呼ばれている”ような、胸のざわめき。


***

第二章、いよいよスタートです。


今回はシリアス一辺倒にせず、

地球の空気や、メンバーそれぞれの反応を

少しコミカルに描いてみました。


なお、ルシアスとカイの関係については

「恋愛」というより、

過去・記憶・運命が絡み合った関係性として描いています。


これから少しずつ明らかになる

“地球と記憶の真実”を、

一緒に追ってもらえたら嬉しいです。

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