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記憶のかけらが降る星で___。  作者: 萩原 なちち
33/40

EP26「語れない記憶__戻らない言葉」

いつも『きおふる』をお読みいただきありがとうございます。


今回のEP26では、前話で発生した“記憶喪失”の余波が、

ついに仲間たちの間に大きな歪みとして現れます。


奪われた記憶は消えたのか。

それとも、まだどこかに残っているのか。


そして──

「語れば世界から消える」という、メモリスの“記憶のことわり”が

初めて明確な形で描かれます。


カイも、リツも、ゼフィールも、ロランも、

それぞれが葛藤しながらルシアスに向き合う回です。


切なくて、でも必ず希望に繋がるエピソードになりますので、

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

記憶のかけらが降る星で___。

EP26「語れない記憶__戻らない言葉」


***


「ルシアス……カイ……

 お前らの記憶、絶対奪ってやるからな。」


ロイは憎悪に濁った瞳でそう吐き捨てると、

崩れた炉心の影へと身を消した。


リツ 「カイ……」


ゼフィールは唇を噛む。

「なんで……よりによって“その記憶”なんだろうね。」


ロランは拳を強く握る。

「……“大切な人”の記憶、か。」


アヤセが息を整えて言った。

「みんな。聞いて。

 記憶のかけらは……意思があるわ。

 宿主が生きている限り、完全に消滅することはない。」


カイは震える声で呟く。

「……じゃあ……ルシアスの中にあった“俺の記憶”も……

 かけらになってどこかへ……?」


ゼフィールが弾かれたように顔を上げた。

「それだッ!!」


リツ 「ゼフィ……?」


ゼフィール

「記憶のかけらは意思で動く!

 宿主を守るため、宿主が壊れないため、

 “自分の意志で”離れることがある。」


ロランも続ける。

「そして……その記憶を持っていた本人が“心から望んだ時”……」


リツがゆっくりと頷く。

「記憶のかけらは……必ず宿主へ戻る。」


アヤセ

「エクリプスに奪われたわけじゃない。

 つまり――どこかに“存在してる”の。」


カイの胸に、微かな光が灯る。

「……ルシアスの……俺の記憶が……

 まだ……どっかに生きてるなら……!」


その時だった。


ルシアス

「……さっきから、何の話をしているんだ?」


4人が凍りつく。


カイ 「ほら、俺の――」


ゼフィールがカイの肩を掴む。

「カイ。ダメ。」


カイ 「……なんで……?

 教えないと……ルシアスわかんねぇままじゃん……!」


ゼフィールは首を振る。

「これ以上“第三者”が語れば、

 世界の秩序が矛盾する。」


リツが言葉を継ぐ。

「その“記憶”について他者が深く言えば……

 本人も、その話を聞いた者も……

 世界から消える。」


カイ 「……は?」


ロランが静かに告げる。

「“大切な記憶”は、

 本人が“自分で取り戻す”以外の方法を持たない。

 世界のルールだ。」


アヤセ

「だから……言えないの。

 どれだけつらくても、どれだけ近しくても……。」


カイは歯を食いしばる。


ルシアスは困惑した顔でカイを見つめていた。


ルシアス

「……何を隠している?

 カイ……? 君は俺に、何を言おうとして――」


カイは拳を握り、


でもその言葉を

飲み込むしかなかった


***

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


 EP25 に続き、今回は「記憶のかけら」に関する世界設定が大きく動く回となりました。

 ルシアスが失った“ある人物に関する記憶”が、ただ消えたのではなく、

 「意思を持ったかけらとして存在している」 という事実が物語の核になります。


 特に、

 “第三者が真実を語れば存在が矛盾し、世界から消える”

というメモリス独自のルールは、今後の展開にも深く関わってきます。


 カイが真実を伝えられない苦しさ、

 そしてそれでも前に進もうとする姿を描きました。


 物語は少し重い局面に入りますが、

 ここから 彼らがどう向き合い、何を取り戻していくのか を

 見守っていただければ嬉しいです。


 本日も読んでくださり、本当にありがとうございました。

 次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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