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記憶のかけらが降る星で___。  作者: 萩原 なちち
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【きおふる短編1】「紫雨(むらさめ)__負の記憶が降る日」

今日はメモリスに降る“紫雨”のお話。

負の記憶が空にあふれたときだけ降る、ちょっと厄介で……でも優しさの見える雨。


【きおふる短編1】「紫雨むらさめ__負の記憶が降る日」


***


メモリスの空が紫に染まった。

 それは“負の記憶”が世界に溢れた合図。


[image:1058119:center]挿絵(By みてみん)


 ガラスを叩く紫の雫を見て、ゼフィールが眉を寄せた。


「困ったねぇ……今日は負の記憶、多いのかも。」


「うわぁ……ほんとだ。」

カイは落ちてきた一滴を指で払って顔をしかめる。

「テンション下がる色第一位なんだよな、これ……。」


 二人は足早に帰路を急ぐ。

 紫雨が街並みをぼやかし、傘の縁から雫が落ちる。


「早く戻んないと。編集長、時間には厳しいし……。」

(脳内で“腕組みルシアス”が静止画で出てくる)


「……戻りたくない理由の半分それなんだよねぇ。」

ゼフィールがため息をつく。


 紫雨は厄介だ。

 肌に触れると少し重く、風呂に入らないと落ちない。

 魔力にも負荷がかかる。


「リツでもいてくれれば強いバリア張ってくれるのにねぇ……。」


「俺らじゃせいぜい“プチバリア”だしな。」

カイも肩を落とした。


「ぴえん……。」


 そのとき。


 ――紫雨を裂くように、ふわりと光が降った。


「お待たせ。」

振り向くと、結界すら纏わずに雨をはじくリツが立っていた。


「?! リツぅぅぅ!!」

「リツ!!助かったぁ!!」


 ゼフィールは飛びつき、カイは思わず笑顔になる。


「はいはい。帰りますよ。」

リツは優しい声で二人を包むように歩き出した。


 三人の周りだけ、紫雨が触れずに光へと変わる。


***

紫雨はメモリスの“負の記憶現象”のひとつ。

晴れでも雨でも、優しさだけは消えない――そんな短いお話でした。

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