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記憶のかけらが降る星で___。  作者: 萩原 なちち
17/23

EP16「“王子様”は盾になる。新メンバー・ロラン加入」

今日は、魔法局に――新メンバー登場です。

ただの増員ではなく、“守るために来た王子”。

彼が背負ってきたもの、守りたいもの、隠している痛み。

カイたちとの出会いが、物語をどう動かすのか。


にぎやかさも、笑いもありつつ……

水面下では、物語が静かにうねり始めます。


ロラン初登場回、どうぞお楽しみください。

記憶のかけらが降る星で___。

EP16 「“王子様”は盾になる。新メンバー・ロラン加入」


「――というわけで」

ルシアスの低い声が会議室に響いた。

「あんな大変なことがあって、まだ数日だが……今日から新しい仲間を迎える」


ガチャッ。


扉の向こうから、月光に照らされたような青年がゆっくりと入ってくる。


「グランディール・アレクシオン・ロランと申します。どうぞよろしく」

胸元に手を当て、キザに一礼。


ゼフィールが目を丸くする。

「グランディールって……」


リツも思わず息を呑んだ。

「まさか……あの“グランディール”……?」


「――あぁ。そうだよ? ボクは美しい♡」

ロランは片目をウインクし、光を弾くように微笑む。


「うわぁ……なんかキャラ濃いの来た〜!」

カイが脱力。


「ボクは王子様だからね?」

ロランは当然のように言い放った。


「GUARDIANの王族じゃん!♡」

ゼフィールが立ち上がる。


「まじの貴族……」

リツは額に手を当てた。


「ロラン“様”と呼びたまえ♡」

ロランはくるりと回って見栄を切る。


「……はぁ」ルシアスはため息を落とした。

「ロラン、バクの件は聞いているな」


「聞いたとも。ボクが盾になって、みんなを守るよ♡」


しかしそのとき――


「そういえば、GUARDIANの姫が拐われたって噂を聞いたけど」

リツの言葉が場に落ちた。


空気が一瞬止まる。


「……俺の妹さ」

ロランの声は、さっきまでの華やかさが嘘のように低かった。


「まじかよ?! 誰に?!」

カイが叫ぶ。


「……(エクリプス)」

ロランは奥歯を噛みしめ、目をそらした。


(フェリア……絶対助けに行く。どんな手を使ってでも)


「……だから、ここに来た」

ルシアスが引き取る。

「GUARDIAN戦力を補強したい。それも理由だ」


会議の空気は一気に引き締まった。


「村の住人は凶暴化してはいない。むしろ、怖いほどに優しい」

ゼフィールの声は重い。


「美しいけど……美しくないね」

ロランが目を伏せる。


「抵抗できなくなる。そこが厄介だ」

ルシアスが静かにまとめた。


「――今日はもう遅い。続きは明日だ」

会議は終了となり、ロランに部屋が用意された。


***


「すごいね……王族が魔法局って」

リツがぽつり。


「いやもう、濃いのよ♡最高♡」

ゼフィールが笑う。


「てかまたデケぇやつ来た!」

カイが吠える。


「カイちゃん小さくてかわい〜♡」

ゼフィールが頬を押さえた。


「小さくねぇ!!!!」

カイは真っ赤。


「でもロランさん、人柄はよさそーだった!ちょっと行ってくる!」

言い終えるより早く、カイは走り去っていた。


***


(ロランの部屋)


「ロランさーん!!」


勢いよく扉を叩く。


「おや? ロラン様、だろ? どうしたの?」


「遊びに来た〜♡」

満面の笑みで突撃するカイ。


「カイくん? だったね。君……かわいいね」


「おい!!!! あんたまで!!!?」


ロランは不思議そうに首を傾げる。

「“あんたまで”?」


「いや、なんでもないッ!!!」


「ふふ……面白い子だね」


「ねぇねぇ!! 王様って何食うの!?」

目をキラキラさせて身を乗り出すカイ。


「別に、王様でも食べ物は同じさ」

ロランは優しく笑った。


その笑顔の奥に――

ふと、深い影がよぎった。


(フェリア……生きていてくれ)


カイは知らないまま、無邪気に笑う。


「明日さ!! 一緒に任務行こう!!」


ロランはゆっくり頷いた。


「――もちろんだとも。ボクは仲間を守る。それが、ボクの役目だからね」


***

読んでくれてありがとうございます。

新メンバー・ロランが加入しました。


にぎやかで明るくて、強くて、完璧に見える人ほど

本当は誰にも言えない痛みや孤独を抱えてたりする――

そんな一面をこれから少しずつ描いていきます。


カイ・リツ・ゼフィール・ルシアス、そしてロラン。

“5人だからこそ進める物語”を、楽しんでもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
書籍化してほしいくらい面白いです!
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