表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全無欠の悪へと成った男の異世界暗躍記  作者: ゲームマスター
下地編 〜闇は準備を整える〜
9/9

9.闇夜においては、全方位に警戒を怠るな。

さてと。そろそろ3分だな。

にしても、ティピカがプラハトを完璧に嵌めるとはな。


まずアヤノを先に行かせることで邪魔者を排除。

そして辺りを照らす事が訓練を乗り切るキーかのように思わせつつも、実際は辺りを照らす事が優先して狙われるキーという意味だったと主張できる言葉。

仕上げにプラハトを2番目に行かせることで、自分が魔法を使っていないことに気づかれないようにする。


これでは仕方ないな。

昼の訓練でティピカを優先して狙うことになっているが、夜戦で光源を使用する馬鹿を最優先で狙わなければならない。

では早速プラハトを狙いに行くとしよう。



適当な木の上に登り、光源に向けて訓練用の弓矢を構える。

そしてプラハトを確認した瞬間に放つ。


もちろん、こんな長距離からの弓での奇襲に対処できる訳もなく、頭に命中する。

プラハトは痛そうに額を抑えながらも、矢が飛んできた方向に手をかざして照らすが、初級魔法のライトではプラハトの全魔力を使ってもここまで照らすことはできない。

そうして第二射を放ち、右膝に命中する。


プラハト。ティピカも言っていたぞ?

『奇襲に気づくのはおろか、反撃もできない』と。


プラハトはそこでようやく魔法の使用を止め、木の裏に隠れた。

が、そこから矢の飛んできた方向に当てずっぽうで矢を放った。


せっかく光源をなくして視界を遮ったというのに、そんなにも矢を高く放ったら居場所を晒しているようなものだぞ?

矢の動きを見れば、どこからどのくらいの強さで放たれたかなんて簡単に逆算できる。

後はそこに向けて打てば良い。


そして、その第三射はちょうど木の裏から身を出して弓を構えていたプラハトの左手に命中した。


さて。一方的にやるのもこのくらいで良いだろう。

流石に訓練にならんしな。

少しこちらの場所をわかりやすくしてやるとするか。

風属性中級魔法『フライウィンド』


木々の上を飛び越え、プラハトの方へと急接近する。

そして、プラハトの隠れている木のすぐ近くにあった岩の後ろに着地する。

そこから顔を出し、プラハトの方へ弓を放つと同時にプラハトの方から矢が飛んできた。


着地音を聞き取ったか。

一応はエルフの聴覚を持っているという訳だな。

「合格だ。」


矢が当たる前にそこからサッと移動する。

次は近くのティピカにするとしよう。


弓から木製の短剣へと持ちかえ、忍者のように木の枝から木の枝へ飛んで移動する。

しばらく進んで、ティピカが岩を背に木刀を構えて周囲を警戒しているのを見て、そこで止まる。


ふむ。移動して休憩、移動して休憩を繰り返しているようだな。ミリテール軍式か。

ならば、休憩と移動を切り替える瞬間に仕掛けるとしよう。


少しして、ティピカが木刀を左手に収めて走りだそうとした。

その瞬間に短剣をティピカに向けて飛ばす。

ティピカはそれを反射的に木刀で防ぎ、岩の反対側へ周る。


そこで、木の枝から岩の上へと飛び移り、そのまま岩の裏側へと飛び出してティピカへ短剣を2本飛ばす。

それを今度は分かっていたように防ぎ、こちらを目で追う。


流石に3度目は予測できたようだな。

なら、次はこういくとしよう。


そして、岩の上から飛び出した勢いのまま着地し、前転して手が後ろへ回った瞬間に短剣を飛ばす。

そこから足が地面に着いた瞬間、地面を蹴って身体を捻りながら飛び、木々を壁キックのように登りながら短剣を飛ばし、葉っぱで見えなくなった瞬間に横に大きく飛んで姿を消す。


それをティピカはひとまず飛んできた短剣を防ぐが、何本か防ぎ損ねて肩などに当たりつつも痛みには耐えていたが、その隙をつかれて見失った。


痛みには耐えたようだが、(ひる)むようでは駄目だな。

一度見失えば、次はどこから来るか分からないぞ?

短剣を1本、上に投げて落ちてくるのを待つ。


やがて、それがティピカの頭上へと落ちていき、それに勘付いたティピカが上を向いて短剣を防ぐ。

その瞬間に、ティピカの右側から身を低くして接近する。

左手には短剣1本、右手には牽制用に3本程の短剣を持ち、ティピカが認識しない内に距離を縮める。

それをティピカは頭上への短剣を防いだ後に初めて気づいた。


遅い。

もっと早く気づくべきだったな。


そして右手の短剣をティピカの両肩と腹に向けて飛ばす。

まず両肩への短剣をしゃがんで避け、それと同時に木刀を左から下を通って回すように斬り上げて最後の1本を弾く。

が、そこへ左手に持った短剣が迫り、ティピカを吹き飛ばして岩の近くから退ける。

それと同時に弾かれた短剣を右手で回収し、追撃に走る。


右手の短剣を大きく振りかぶりティピカへ振り下ろす。

それを体制を立て直したティピカが木刀で弾き、さらに左手からの攻撃も防ぐ。

が、その後も短剣二刀流の手数を防ぐので手一杯となっていった。


「防ぐだけでは反撃できないぞ?木刀で短剣相手に隙の1つも作れなくてどうする。」


その後、右手の短剣を弾いてからその隙を狙ってティピカが木刀を力強く振るい、左手の短剣を弾き飛ばそうとする。

それを、短剣に当たる直前に短剣を真上に回転させながら投げて、それによって木刀は左手と短剣の間を通り抜けていった。

そして木刀を避けた後に短剣をキャッチし、それでティピカの木刀を握っている左手を狙う。

反射的にティピカは左手を離して短剣を避け、木刀を強く振るった勢いを右手だけでは抑えきれず、逆にその勢いを右足を軸に回転に変え、左足で蹴りを放つ。


その状態からの手として悪くない判断だ。

「合格だ。」


そして、蹴りが当たる前に飛んで避け、そのまま姿を消した。


次はアヤノだな。

木製の短剣から訓練用の槍に持ち替え、森の中を突き進む。

やがてアヤノを発見し、周囲を警戒しているつもりでありながらもガラ空きの背中側に回る。

そして、その背中に向けて槍を投げる。


それをアヤノはモロに喰らって前によろけつつも、受け身を取って後ろを振り向く。

投げてアヤノに当たった槍の矛先が上に向いて、持ち手の方が地面に触れてそのまま倒れそうな瞬間、その槍を回収してそのままアヤノへ突きを放つ。

まずアヤノは後ろに重心がズレつつもその矛先の横に手を添えて受け流す。

受け流された瞬間槍を引き、もう一度突く。

それを受け流し、また引いて突くを繰り返す。


しばらくこれが繰り返された後、やがてアヤノがバランスを取り戻し、次に突きが放たれた瞬間、槍を受け流しつつ一気に踏み込み、懐へと入り込む。

それに対して、槍を左手で一気に引いて右手で矛先のすぐ近くを握る。

そして左手で槍を横に押し、右手を支点としたテコの原理で目の前に迫るアヤノを左へ吹き飛ばす。


今度は槍の真ん中よりも根本寄りを右手で握り、アヤノへ突きを放つ。

先ほどよりもリーチは短くなったものの、アヤノが受け流そうとしても受け流した直後に左手で横へ薙ぎ、アヤノを吹き飛ばす。


それを何回か受ける内に、アヤノは体力を消耗していった。

それにより、受け流す代わりに避けて、攻撃を受けつつも体力の消耗を減らしていた。

そしてある瞬間、突きをしゃがんで避け、その後の追撃を受け流して距離を詰め、パンチを放つ。


槍相手に真正面から拳で戦おうとするのは減点だが、一応は及第点だろう。

「合格だ。」


パンチが当たる前に、地面に触れている矛先を支点にアヤノを飛び越え、そのまま姿を消す。



その後も適当な順番で奇襲していき、段々と山の頂上に近づくにつれて3人が集まって来た。

ふむ。上手くタイミングを合わせられたな。

これで3人は合流せざるを得ないだろう。


「あ、アヤノ。」

「みんなダイジョウブだった?」

「タンゴ、私騙したの許さない。」

「え〜?何も騙してないです。」

結論から言えば、プラハトの勝手な勘違いだ。

と言うことで初撃はプラハトで決まりだな。


山の頂上の木の上からプラハトに向けて矢を放つ。

プラハトはそれに気づくこともなく当たり、続けてティピカとアヤノにも放つ。

ティピカとアヤノは、プラハトへの攻撃を見て警戒していた事もあり、ティピカは木刀で防ぎ、アヤノは避けた。


次に、右手に木刀を持ち、左手に短剣を3本持って距離を縮める。

そして、3人がこちらに気づいた瞬間にそれぞれに向けて1本ずつ短剣を投げる。

プラハトは弓矢を構えようとしていた右手に命中して矢を落とし、アヤノは避け、ティピカは木刀で反射的に防いだ。

が、反射的に防いだ影響で木刀の握りが弱くなっている隙に木刀を振るい、ティピカの木刀を飛ばす。


「戦闘中に武器を落とされるのは致命的だぞ?タンゴ。」

そのままの勢いでティピカを蹴飛ばし、その反動で次はアヤノへ向かう。

そこへプラハトが矢を放って牽制しようとするが、そこへ素早く取り出した短剣を投げ、プラハトの弓に当てて狙いをずらした結果、アヤノに見事命中した。

予想外の攻撃を受けてアヤノが怯み、その瞬間に木刀を振るってアヤノを飛ばす。


「誤射は重罪だな。プラハト。」

そして、プラハトが次の第二射をしようとしている所へ木刀を横向きに回転させながら投げる。

それに驚いたプラハトは弓を打つのを中断し、目一杯しゃがんで避けた。

その間に両手に短剣を構えて距離を詰める。

プラハトが体勢を立て直した頃には既に眼前に迫っており、両手の短剣で挟まれてそのまま後ろの木へと蹴り飛ばされた。

その瞬間に、木刀を回収して戻ってきたティピカが木刀を振るってくる。


ふっ、ある程度力を振り絞れば攻撃中に攻撃できたにも関わらず、敢えてプラハトを無視して攻撃後まで待ったな?

ここで感情が出るのは良くないが、一応反撃はできている。

まぁ良いだろう。

「合格だ。」



そうして、3人とも山の頂上に辿り着き、中級回復ポーションを飲んで回復した。

「さて。まずはプラハト、夜間に光魔法を使ったらどうなるかくらいやる前に考えろ。敵目線で考えたらすぐにわかる事だぞ。」


「次にティピカ。ダメージで一々怯むな。訓練用の武器でこれなら、本物の武器でやられれば大きな隙になるぞ。今後は痛みに耐える訓練だな。」


「最後にアヤノ。前と上下左右だけでなく全方位を警戒しろ。毎回背中がガラ空きだぞ。そして体術で真正面から戦おうとするな。せっかく森という地形なのだから、木々の間をすり抜けるように移動して攻撃してみろ。それだけで剣や槍では対応がしづらくなる。」


せっかくならもっときついくらいまでやっても良いが、闇ギルドに顔を出して指名依頼等がきていないかくらいは確認しておかないとならない。

それに、対人戦の訓練を今日これ以上やってもあんまりだろう。

魔物が現れ始めたのならともかく、訓練用武器での戦いばかりでは腕が鈍りかねないからな。

「夜戦の訓練はこのくらいで良いな。最後に、野営の練習だ。」

「ここでです?」

「あぁ。ちょうど魔物も居ないしな。必要な物資はポーションを置いておいた場所の物に用意してある。3人分のテントを張り、今日はそこで寝ろ。もちろん交代で見張りも行え。魔物が出ないとは限らないからな。」


「俺は夜戦の後片付けに行くが、戻ってくる頃には完成させておけよ?」

そうとだけ言って夜の森の中へ姿を消す。

・ネス

もちろん昼も全方位を警戒しなければならないが、視界の狭まる夜においては昼とは違った警戒の仕方を意識する事だな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ