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完全無欠の悪へと成った男の異世界暗躍記  作者: ゲームマスター
魔王編 〜闇は戦端を開く〜
12/12

12. 奴は四天王の中でも、、、

魔族の能力により、常人を超える速さで常人を超える威力の拳が迫る。

魔族の誰もが、その人間がその拳をモロに喰らって吹き飛び、即死する瞬間を皮切りに一気に奇襲を畳み掛けようとしていた。

しかし、その魔族の拳があと少しで届きそうになった瞬間、その人間が自身の歩調に合わせて蹴りを放って、限りなく前傾姿勢だったその魔族を叩き落とした。


その人間の反応速度もさることながら、地面に叩きつけられた衝撃音からして相当な威力もはらんでいたことが分かる。

それでも、魔族の身体能力は速さと力だけでなく防御力も優れており、服は薄汚れても体には傷1つついていなかった。


魔族の誰もが予想していなかったその状況に驚き、固まっている間に、その人間は剣を鞘から取り出して叩きつけた魔族の首へと振るう。

だが、魔族の硬化した皮膚はその剣を弾いた。


〜〜〜


頑丈な魔族に備えて剣を丁寧に研いでおいたが、これでも魔法なしでは傷すらつかないか。

この防御を正面から崩すには、組織のAK-83でも貫徹力が足りないかもしれないな。

とは言え、魔族のこの防御力は純粋な魔力を身体に浸透させることによる身体強化。無属性魔法に近いものだ。

魔力が浸透していないところを狙えば、その防御力は人族と変わらない。


その方法は主に2つ。

奇襲によって仕留めるか、


「闇属性初級魔法『マナドレイン』」

「ウッ、、、」

防御力は高いとは言え、蹴りの衝撃で怯んで起き上がることができずに地面に転がっている魔族の首を左手で掴み上げ、触れたものから魔力を吸収する魔法であるマナドレインによって浸透する魔力を奪い、無防備となった心臓へ右手で剣を突き刺す。


魔力を無力化するかだ。


そして心臓を刺した魔族が息絶えたのを確認し、適当に放り捨てる。


〜〜〜


驚愕と動揺、衝撃がワレらを包んでいた。

誰もがそのニンゲンを得体の知れないものとして見ていた。


「そんなにもやられるのが予想外だったか?いつまでも森の中でかたまってないで、出て来たらどうだ?魔族共。それとも、人間の俺に恐怖したか?」

明らかに、感情を揺さぶることだけを目的とした挑発。

ワレが今率いている者は、ニンゲンに強い憎悪を抱く感情的な者がほとんど。

煽られた彼らを抑えるのは難しい。

だが、量と質は揃っており、魔王様の意志に従わない彼らの犠牲は安い。

悪くても彼らであのニンゲンの切り札の1つや2つくらいは分かるだろう。


「狐風情が、我らを(あなど)るな!」

そう言って、ニンゲンの言葉に逆上した魔族達が森から続々と飛び出しいく。

それに対し、ニンゲンは足元からいくつもの魔法の黒い手を伸ばし、飛び出してきた魔族の首全てをその手で掴んで持ち上げた。


シャドウハンド。

ニンゲンの闇魔術で、影から魔法の手を生み出し、それを自分の手のように自在に操る。

この人間は、1本だけでなく複数操っていることからそれなりに魔力を扱えるようだが、シャドウハンドのみならばワレらの脅威ではない。


すると、その魔族達は魔力を奪われ、黒い手が振り上げられてから頭を地面に叩きつけられて絶命した。

っ、そこからさらにマナドレインをするか。

触れたものから魔力を奪うこの魔術は、触れる事が難しいものの、触れられればワレらの身体能力を抑える事ができる。


ワレらの身体能力をもってすれば、手で触れられないようにするなんぞ造作もないが、シャドウハンドと合わせられるとやや難しい。

シャドウハンドはその黒い手の先から魔術を放つ事を可能とする。

マナドレインの射程の短さを補うようなこの組み合わせは厄介だ。

だがそれでも完全などではない。

無数のシャドウハンドとマナドレインを並列して操作していることは驚きだがらこれだけの数の魔術を行使すれば、魔力消費は相当なもの。長くは続くまい。

それに、正面突破だけが戦いではない。


横から回ってシャドウハンドを潜り抜けた魔族達がそのニンゲンの背後へ迫る。

結局、懐に潜り込めばいいだけの事。

ワレらには容易い。


しかし、背後から迫る魔族達の真下に突如シャドウハンドが現れ、そこから真っ黒のガスが立ちのぼる。

そしてそのガスから次にその魔族達が姿を見せた時には全員の心臓に短剣が刺さっていて、次の一歩を踏み出すことなく倒れた。


背後にまでシャドウハンドを伸ばしていたか。

思ったよりもできるな、このニンゲン。

このまま人海戦術により突破するのは、少々時間がかかり過ぎる。

頃合いか。


周りを制止させつつ、ワレ自ら一歩前に出る。

そして、その人間に向けて大声を上げる。

「ワレこそ四天王最強、『文武両断』のゲネラールである。」


「ニンゲン、名を名乗れ。ワレが直々にその命を刈り取ってやろうぞ!」

その瞬間、ブスリと刺さる音と同時に胸元から剣先が現れた。


〜〜〜


後ろ向きに背中へと刺した剣を引き抜き、剣についた血を払う。

それにより、心臓を貫かれた魔族は力なくその場に倒れ、死体となった。

「「「ゲネラール様!」」」


「せっかく魔族の能力があるというのに、油断で無駄にするとはもったいない。」

闇属性使い相手に、ファントムの警戒をするなんて基本中の基本だぞ?


すると、死体が突如魔力となって霧散し、森の方へと流れていった。

「いやはや、分身とはいえワレを倒すとは、強いニンゲンも居たもんだ。魔王様に分身を作っていただいて正解であった。」

そう言って森の奥から姿を現したのは、今さっき刺し殺したはずの魔族とまったくの同一個体だった。


手応えは本物。ミラージュのような幻影の類ではない。

『分身』か。妥当ではあるだろう。

他の可能性もあるが、本当に分身なのであれば、その性能によっては有用かもしれない。


「分身だから何だと言える?何度やろうと結果は変わらない。それが必然だからだ。」

「分身に勝てたからと油断するでない。ニンゲン。あれはワレの1/4の実力しか出していない。」

「はっ、あの程度で実力の25%も?分身の4倍程度の実力でどうしようって?」

身体を前に傾けて、水平方向へと一気に踏み込んで加速し、斬りかかる。


その剣をその魔族は硬化させた左手で受け止めた。

「ワレらの力をあまり舐めないことだ。」

「そっくりそのまま返そうか。人間を舐めていることが節々から分かるぞ?」

「舐めているのではない。事実である。」

言い終わると同時にその魔族は右手の拳を握り、こちらへ突き出す。

その拳は当然こちらには届かないが、そこから放たれた何かを剣を握っていない左手で受け止める。


ふむ。威力はステゴロ程度で防げば大した事ないが、頑丈だな。

防がずに受けた時の衝撃は大きそうか。

魔力を空中で圧縮し、固体化しているだけある。

「ほう。見えない一撃を止めるか。」

「そんな魔力だらけの一撃、分からない方が問題だ。」


「だが、これはまだ序の口。ワレのように自力で自由自在に固形化魔力を操る者はおらん。その身で感じることだ。」

そう言ってその魔族は剣を離して距離を取り、直接は当たらない拳を何度も振るい、時に薙いで物体のように固い魔力を放つ。


「『シャドウハンド』」

それらを全て黒い手を伸ばして相殺する。


目には目を。魔力には魔力を。

そして魔法を放ちつつ、アイテムボックスから短剣を取り出して魔族の方へ飛ばす。

それに対して、その魔族は両手を前で合わせてから左右に広げるような動作をし、魔力体を平面に広げ、バリアのように短剣を防ぐ。


当然、防御もできるか。

身体能力も加味すれば、真正面から攻撃を通すにはかなりの労力がかかりそうだ。

実際の所は、このまま魔力量勝負に持ち込んで時間をかけるまでもないが、この魔力体の技術は盗れそうだ。

少し情報収集をするとしよう。


〜〜〜


時に殴り、時に蹴り、時に薙いで固形化魔力を飛ばす。

だが、ニンゲンもシャドウハンドの数で対抗する。


まもなく引き起こしたスタンピードも収まる頃合い。

少し急がねばなるまい。


「ラコウレプロラマイジク」

固形化魔力に光魔術を付与する事で、闇と光で魔術が相殺され、固形化魔力は1度で相殺される事なくそのまま進むようにする。

されど、これだけではシャドウハンドの量を2倍にするだけで防げてしまう。

もう少し手があった方が良い。

だが、あのニンゲンに近づくのは危険だろう。

ここは遠距離攻撃のできる者に任せよう。


「ガルデ。全員であのニンゲンに魔術を放て。」

「「「はっ。」」」

四天王それぞれの直属として振り分けられるガルデ。

上澄みの人間のみがなれる役職故に信頼できる実力を持つ。

そして勿論、ガルデ全員が習得の難しい魔術を扱える。

加えて、四天王最強であるワレには四天王の中で最多となる10人のガルデが振り分けられている。

10人によるひと押しが加われば、手数は十分であろう。


「「「ディ・コウ・ファ・エタ・イナス・ロー」」」

左右に整列したガルデが全員で光の矢を同時に放つ。

それら10本は、数を増やしたシャドウハンドに相殺された。

だが、増やしたシャドウハンドの分、光魔術を付与した魔力体は防げていない。

シャドウハンドの防御を突破した魔力体は、光魔術の付加されたものが9、光魔術が相殺されたものが3。

このまま押し切る為に、固形化魔力をより多く放つ。


「『ダークアビス』」

それに対し、6つはニンゲンの闇魔術『ダークアビス』を付与した6本の短剣で完全に相殺される。

残り6つはニンゲンの懐近くまでたどり着いた。


固形化魔力をまともに受ければ、隙ができるのは必至。

一瞬でも隙ができれば、固形化魔力の連撃で立て直すことは不可能であろう。後もう少しだ。

だが、念には念をと言う。

「ガルデ、たたみかけろ。」

「「「はっ。」」」


「「「リン・コウ・ラ・エタ・イナス・ロー」」」

ガルデ達が光の矢を連射している間、ニンゲンは闇魔術を付与した剣で3つの固形化魔力の光魔術と相殺し、さらにその剣の腹で固形化魔力を弾き、残りの3つの固形化魔力と相殺させていた。

されど、ダークアビスを使ってくれたおかげでシャドウハンドの防御がなくなっている。

後は押し込むのみ。



すると、ニンゲンが何やら剣を真上に放り投げた。

そして一回転しながら落ちてきた剣をキャッチしたと思えば、次は剣を横へ薙いだ。

「何wo...!」

その瞬間、固形化魔力を放つ為に構えていた腕に強い衝撃を受けた。


なんという威力の攻撃だ、、、固形化魔力を纏っていたというのに、ワレが傷を負うとは。

皆は無事k...

振り返ると、そこには首を斬られたガルデ達とその後ろのワレらごと一刀両断されたかのような跡の森があった。

いや、ワレの後ろにあった木々を残して、それ以外の全てがなくなっていたと言うのが正しいだろう。

ニンゲンへ放っていた固形化魔力も魔術も、ガルデ10人も、森の中に留まらせていたワレら全員が、今の攻撃で消された。


〜〜〜


見様見真似にしてはかなり上手くいったな。

魔力体による斬撃。それによってほとんどの魔族を一掃した。


何発も打ってくれたおかげで、魔力体の性能を確かめるのも簡単にできた。

それに加えて、魔族の魔法についてもある程度把握した。

もう用はないな。


「『シャドウハンド』」

その言葉を聞いた瞬間、目の前の魔族は咄嗟に思考を切り替えて防御か回避をしようとする。

だが遅い。


次の瞬間にはもう魔族の足元から黒い手が現れて魔族の首元を掴んでいた。

「『マナドレイン』」

「ふんっ」

マナドレインによって魔力を吸おうとするが、その魔族は魔力体を体内に形成し、魔力が流れるのを阻害する。


「ほう、マナドレインに抵抗するか。だが、無駄な足掻きだ。」

防御できても反撃する余裕がなくなるようでは意味がない。


黒い手によって首を掴まれ、浮かされている魔族へと更にシャドウハンドを放ち、四肢を掴んではりつけにする。

「『マナドレイン』」

「ぐぉぉぉ」


首元に加え四肢からも魔力を吸われるようになり、魔力体による防御を突破され、それ以降も魔力が吸われないように魔力を操作して抵抗し続けているものの、その吸引力に苦しんでいるようだった。


「さて。四天王最強だったか?魔王について話す気は?」

「人間に、魔王様の、何が、理解できようか。いや、できようはずも、ない。」

話す気はないか。

「ま、だろうな。」


最後に、ゲネラールとかいう魔族の心臓を突き刺し、その息の根を止めた。




その頃、魔族領の奥地では、

「今頃、都市の2つや3つは落としてんじゃねぇか?」

「さぁ、どうでしょうね。やられてないと良いですが。」


「おめぇは狐共を過大評価し過ぎなんだよ。所詮、虎の威を借る狐。俺らの脅威じゃねぇ。本当だったら、俺も今頃は狐共を蹴散らして回ってるのによぉ。」

「今回、魔王様は人間と争うことを望んでいない。『文武両断』が人間の地を侵略しに行っているのだって、好戦的な奴らが反乱する事を恐れての事。つまり、彼らに適度な発散をさせつつ、ブレーキを踏む役割です。『惨撃』、あなたは人望もない上に、人間達を前にブレーキは愚か、アクセル全開でしょう。」

「俺だって、やる時はちゃんと()るぜ?」


()ったらダメじゃないですか。それに、あなたは魔王様への忠誠心が足りない。少しは『文武両断』を見習ったらどうですか?」

「ふんっ、ガルデを1人しか与えられていない最弱こと『凍明』がよく言うぜ。」

「僕は人数が少ない方が強いですからね。それに、彼女はガルデの中で最強だと思っていますし。」

「はんっ、どうだか。」

・魔王

ゲネラールの分身がやられた?だが奴は四天王の中でも最強。まさかな、、、

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