二章3話 初任務
どうか☆1でもいいのでつけてほしいです。評価ポイントは作品の血肉だと思っているので。言い過ぎかもしれませんが、作品の未来にかかわっているんです。ログインされている方、どうか本当にお願いします。
翌朝。各部屋の目覚まし時計が鳴り、朔たちは起きる。部屋の前で朔とつばさが出会った。部屋は良くも悪くもホテルのようだった。
「ふぁああ…昨日楽しすぎてあんまり寝れなかった…」
「だよね天原くん。私もだよ。」
「確か後で服渡されるからパジャマでいいのかな?」
「え…?一応制服でよくない?」
「そっか…じゃあ着替えて行くか。」
少し離れた部屋で「髪の毛がまとまらないぃ…!!」と騒いでいるマリンを放っておいて2人は部屋に入り着替えたのだった。
二十分後。時刻は朝8時半。大広間に全師団員が集まる。朝礼らしき時間だ。前に凱羅が現れる。彼は今までのジャージと違い、正装である。袴は黒だが白衣は彼がその上に着ている白のだぼっとした羽織に隠されわからない。その上着には羽織紐の房という白い糸の集積のような飾りがつけてある。
「オホン!えー、静かに。今日は皆の新しい仲間を紹介するでー。ではぁ、天原朔をはじめとする第32期生の皆さん!前へどうぞ!!」
「はい!!」
朔たちは壇上へ上がる。好奇の視線が遠慮会釈なく突き刺さる。朔たちは凱羅と向かい合う。
「天原朔。小森つばさ。マリン。暈嶽輝登。有栖川澪。以上5名を32期生として退霊師団に任命します。以後師団員としての自覚を持ち任務に励むこと。」
厳かな空気の中、凱羅が言葉を紡ぐ。
「はい、任命式終わり。ここで君たちに質問があるんや。ここまでいろんな人の服装を見て来たやろ。君らはあの上下どの色がいい?」
朔は瞬時にこたえる。
「上下とも黒がいいです!」
「え…?」 「マジで言ってんの?」 「さすがに師団長とまるかぶりはねぇ…」「んん…なんて度胸…」
「あっぱれだねぇ…」
なんだかすごくざわめく大広間。凱羅を見ると、彼は白い羽織を脱いでいた。その下の白衣は袴と同じ黒色であった。
「ボクと合わせるとか、ええ度胸しとるやん。ま、ええわ。嫌いじゃないで。」
「えー、じゃああたしも黒黒がいい!」
「僕もそれでお願いします。」
「私もそれがいいなー…なんて。」
「私も…両方黒がいい…」
「おいおい…32期生全員かいな!?こんなことは前例がないでなー…」
「では、全団員の胸のあたりに金細工で飾りをつけるのはどうだろう?そうすればぱっと見分けもつくし。」
横から慎也が口をはさむ。
「なるほどな…じゃあそれで頼むわ風野。全員、後で金細工の希望する模様を教えてくれんか!?後で風野がつけてくれるさかい。」
とみんなに向けて話し、凱羅はこそこそと慎也にささやく。
「情けない話やけど今金欠やから…な?出世払いするからたのむわ…!」
「はぁ…なんと威厳のない師団長だ…。わかった。私が費用をもとう。」
ガッツポーズをとり、咳ばらいを一つしてから凱羅は朔たちに向き直る。
「じゃあ君たちは黒一色で注文するわ。一回決めたからには後戻りでけへんで。きちんとボクを喰らい、超越するんやぞ。」
彼は一度言葉を切り、
「我々退霊師団は、世代ごとに名前がついてるんや。例えば君たちの一つ上は人数も多いし個性を生かして光り輝いてほしいから『ルミナス』。そして君たちにはボクら上の世代を凌駕してみせてほしい。だから『イクリプス』と名付けよう。」
「『イクリプス』…かぁ…。ありがとうございます。必ず超えますので待っててくださいね。」
輝登が嚙み締めた顔で宣言する。凱羅は心底愉快そうに笑い、みんなに向かって言う。
「ではここに『32期生』の誕生を祝って拍手!!!」
拍手が沸き起こる。それがやんだ後、彼は言う。
「じゃあ次の任務まで解さ…」
「ちょっと待ってください!」
マリンが口をはさむ。
「いつもみなさんはどうやって移動しているんですか?電車とかですか?」
「ああ…そ、そうやけど。それがどうかしたん?」
「任務要請が出てからじゃ間に合わないんじゃないですか?だとしたらあたしが新しい移動手段を提案したいんですけど。」
「な…何や?あんまし危ないのは遠慮したい…」
「はい来て!『金烏』!」
マリンが呼びかけるとバサバサとすごい羽音がし、着地した鳥は朔の腰よりほんの少し上ぐらいの高さだ。翼を広げると朔の伸長と同じくらいの長さである。顔はどこが烏なのかは知らないが猛禽類のようなぎょろっとした目と鋭く湾曲した大きなくちばしが光る。尾は鋭く広がり体色は明るい茶色、そして最大の特徴は、黄色く、鋭い黒のかぎづめのついた足が三本あるということだ。たしかサッカーの紋章にいたような…。
「地獄によく飛んでる鳥です。ほんとに数多いのでこの子たちを使えば現場まで早いと思うのですが…」
「な…なるほど。」
マリンが金烏に腕を差し出すと、金烏はマリンの前腕部をつかみバサバサと飛び上がる。みんなが驚いたのを見てマリンは金烏を着地させる。
「お…おう。ありがたくもらい受けるわ…。」
だいぶドン引きしたような表情で凱羅は答える。
「普段は邪魔にならないように地獄へ帰ってるんですけど、すぐ呼び出せるんです。太陽の光を媒体として顕現するので、日が昇っている間使えます。」
「どうやって呼び出すん?」
「ちょっと師団員全員に契約結んでから教えます。皆さん並んでもらっていいですか?」
マリンは一人一人の右手にこちょこちょと指を這わせる。
20分後、マリンの前に列がなくなった。
「ふう。えっとー、右手の甲を見てもらえると、猛禽類の目のような赤い紋様が浮き出してると思います。で、右手の手のひらを右目のところへ当てて念じると金烏はやってきます。」
実践した師団員が「おお!」とか「便利だ!」とか騒いでいるのが聞こえる。
「これでもっと人を助けられるなぁ。本当にありがとう。感謝をささげるわ。」
と凱羅は深くマリンに礼をする。
「え!いやこちらこそ入団させてくれてありがとうございます!」
「じゃあ今度こそ本当に解散!」
「「「「「はい!!!!」」」」」
◆ ◆ ◆
そこから朔たちは休暇に出た。解散からまる一週間。朔たちイクリプスにメールが届く。
『Ciao~!イクリプスのみんな、夏休みは楽しめた?君たちの服ができたんで取りに来てほしいんやけど。で、ついでにこれからのことについて話すわ。じゃあ明日の15時に退霊師団本部に来てもろて。じゃあそこんとこよろしく~ by星宮凱羅 ('ω')ノ 』とのことだ。
次の日、朔たちは示し合わせて退霊師団本部へやってきた。スカートをはいているつばさと澪の猛反対にあい、金烏を使わず新幹線でやってきた。電車賃が馬鹿にならないので請求してやろう。
「おおー、よー来たなぁ。お茶入れるさかいに待っとってや〜。」
何だか実家のような安心感。朔たちは畳の上にちゃぶ台がある部屋へ連れて行かれる。慎也が全員分の服を持ってくる。
「はい、これが白衣と袴。自分の飾りがついたやつ取ってや〜。」
朔たちはめいめい受け取り、近くのトイレで着替える。説明書の通り膝サポーターをつけ、上を着て袴を履く。すると全身から力が湧いてくるような感じがした。なんだか全身の活力が出るツボを押されているようだ。そのまま朔たちは先ほどの部屋へ。
「おお〜、みんな似合っとるなぁー!」
スマホでパシャパシャ写真を撮りまくる凱羅。ひとしきり済むと、凱羅は近くの部屋から塾にあるようなホワイトボードを取ってくる。
「じゃあ今から基本的な説明をしていくわ。まずこの組織、退霊師団について。この組織は表向きには認められてへんねんけど、風野みたいに警察内部に入り込んでたり閣僚に就いてたりしてるメンバーがおるから実質公式みたいなもんや。けど一応公衆の面前で刀振ったりはやめてな。」
「なるほど…今まで聞いたことがなかったのはそう言う理由だったんですね。よくいろいろな事件で陰謀論が囁かれていますけど、その噂にも聞いたことがないです。」
「そこらへん情報統制しっかりしとんのや。君らも今から共犯やからなぁ…なんかニュアンス変かな?まあいいや。で、霊とは。マリンさんの話も合わせると、ずばり地獄からやって来たやつらのこと。何らかの理由で地上に上がって来たんやな。やつらはな、普通の武器では戦うのが難しいんや。一般人からは見えへんけど触ることはできるんよ。で、例えば大阪城での朔君みたく、霊の腕を普通の包丁で切ったとしようか。するとやつらの腕はめんどくさいことに再生しよるんや。でも!我らが退霊師団の使う武器は霊気を吸い取る払鉱石を使ってんねん。ロシアの北部の海岸に流れ着く流氷から取れるんや。それを使うと再生せずにどんどん斬れるんや。」
「じゃあこれも…?」
と朔が預かってもらっていた宿霊剣を出すと、
「いや、ほんまにそれのメカニズムはわかっとらん。できれば分解して調べたいんやけど…」
凱羅はそう言いかけて、マリンの目が吊り上がっているのを見て言葉を切る。
「んで、まずは一回任務に出てほしくてな。その前に君らの武器選ぼか。ついて来てや。」
凱羅は朔たちを先導し、武器庫へと歩く。
「わぁ…体がとても軽い…」
「お!気づいた?澪さん。この服は3層構造でできててな。衝撃に強い硬化繊維と着心地のためにやわらかい繊維を混紡して作った薄い層の間に君たちの体を細胞レベルで強化するシグナル層があるんよ。詳しい説明は省くけど、君らもルミナスのみんなに追いかけられた時に彼らの動き見たやろ?そんな感じ。」
感心する朔たちは武器庫へ到着。好きなのを選んでいく。朔は宿霊剣を携えているしマリンは冥王の霊笏を抜き放っている。。つばさは刃元に蝶の飾りがついたなぎなたを、輝登は銃身が長く遠視スコープのついた狙撃系の銃を、澪は刃物を持つのが怖いとのことなので煙玉など妨害系アイテムをぎっしり詰め込んでいる。
「さーて、まずはそれで任務行ってみよー!ちょうどスポット調査任務があるわ。君らは心霊スポット行ったことあるん?」
「あ…僕は友達の付き添いで何回か。」
「なるほどね。輝登、だからといって油断するんちゃうぞ。何が起こっても不思議じゃない。ここからはそういう場所や。」
「はい。肝に銘じます。」
「じゃあ監督としては、海杖さんをつけとくわ。あの白髪ツインテの子な。彼女は手のひらを地面や壁につけて振動で遠く離れた場所の状況がある程度わかるから、やばくなったらモールス信号でも打って助けてもろてな。っしゃ、行ってこい!」
「「「「「はい!!」」」」」
◆ ◆ ◆
朔たちは山奥の廃校に来ていた。この小学校の校舎は森の一部と化しており、雰囲気は抜群。万里亜が言う。
「じゃあ私は校門前で待ってるから、キミたちせいぜいがんばりたまえ☆」
「ううっ…行ってきます…」
このへんでスマホが圏外に。もう無用の長物だ。それはそうとして、つばさの様子がおかしい。まさか幽霊が怖いのだろうか。マリンがすすすとそばに寄ってくる。真面目な顔に、いったい何を言い出すのかと思っていたら、やはりこの人いつも通りであった。
「相棒。これは…」
「何?そんなに強い霊いるの?赤松がどれくらいかわかんないけどめちゃ大変だったから勘弁してほしいもんだよ…」
「吊り橋効果でドキドキ&頼れる男アピールチャンス作戦だね。」
「はぁ!?この状況で何言ってんのこの人!?…いやちょっと思ったけどさ…」
女々しい部分を残す朔の返答にマリンは『ちっちっち』とばかりに指を振り、続ける。
「お馬鹿さんめ。ガンガンいこうぜ!」
「いのちだいじにでお願いしたい…」
そんな馬鹿な会話をしていると、朔たちは下足室の前まで来た。錆びちらかした金属製の扉を開けると、いかにもな音が響く。朽ち果てて踏み抜いてしまいそうな木製の玄関の床板を超えると、想像を絶する光景が広がっていた。
「なんだこれ…木材が落ちてる…」
朔のその言葉がすべてを物語っていた。その下まで行き見てみると、4階建ての校舎なのに、廊下がところどころ上層まで大きな穴がぶち開けられている。
「これ下見て歩かないと2階とかから下に落ちちゃうね。」
「マリンさんは雷に乗れるそうですからいいですけど僕たちは危険ですね。」
「最悪手で受け止めてあげるよ…?」
とりあえず二手に分かれることにする。マリンとつばさをペアにし、2階渡り廊下から行ける、体育館を含む別棟の調査をお願いする。本校舎は朔、輝登、澪で行うことにする。朔は二人を連れ、1階の一番近い教室から調べ始める。もちろんへっぴり腰ではあるが。一年生の教室だろうか。小さな机といすが非常にかわいらしい。澪はなんだか物憂げな顔をしている。澪も小学6年生なのでなにか思うところがあるのだろう。そのとなりの教室へ行く。はじめはわからなかったが、この教室には『1ー2』というプレートがあった。この部屋には教材が積んであった。
「何年前に閉校したのかな?」
「いつですかね…?20年は経ってないと思うのですが。」
その隣は演習室であった。小学生特有の絵や作品が飾ってある。めぼしいものはなかったので壊れそうな石の階段を上り2年生の教室があるエリアへ。一番近い2-3に入ると、違和感。他のところよりも何だかこざっぱりとしている。そして何より、足元に散らばっているざらざらした白い粒。少ししょっぱく感じるそれは…
「塩?何でこんなところに…」
さらに奥の教卓をあさると、一冊のノートが出て来た。朔と輝登、澪はそれを読む。
【6月25日】
ぼくらがお外であそんでいたら、上のお兄さんたちがやってきた。ドッヂボールをするからどけって。ぼくたちもやってたからどけなかった。ちょっとけんかになった。お兄さんたちがとてもこわかった。
どうやら子供の日記のようだ。表紙はボロボロ、中身も黄ばんでいるが続きを読む。
【6月26日】
おにごっこをした。ぼくはつかまっちゃったけど、ケイドロだったからにがしてもらった。ぼくは男の子だから体力をつけなきゃ。
【6月27日】
はぐれおにをやった。ゆらいは分からない。けいどろのパワーアップしたものみたいだ。おにになった人はだれか一人いけにえをえらぶ。そのいけにえはにげている人全員がタッチしないとにげられない。それまでにつかまった人はけいどろと同じだからいけにえをかいほうできたらにげる人のかち。
でも、ちゅういしないといけないことは2つある。
1、にげはじめる前におにといけにえをにげる人全員でかこんでにこにこわらいながら回ること。
2、あそんだあとはおにといけにえをねかせて全員でかこんで「やすらかにおねむり下さい」と5回言うこと。
【6月28日】
前のお兄さんたちがまたやってきた。はぐれおにでしょうぶをしろと言ってきた。まけたらぼくたちはドッヂボールができなくなる。明らかにおかしかったけど、ことわれなかった。いけにえにはかいとがえらばれた。けっかはすでに見えていた。ぼろまけだった。それと、お兄さんたちはめんどうだからってきのう書いたルール2をまもらなかった。だからかな、その後かいとのようすがへんだった。
【6月29日】
かいとがおかしい。だれともしゃべらない。あいつなのにあいつじゃないみたいだ。もうおそかったのかもしれない。もう終わりだ。ぼくたちはきっとあいつにくわれる。もう時間がない。
【6月30日】
た す け て
日記はここで途切れていた。大体の状況がわかった。おそらくこの『かいと』はルール違反により生贄に差し出されたのだろう。突然閉めたはずの扉が開く音がする。3人が振り返ると、澪よりも小さな、黒髪をツーブロックにした男の子がいた。服もズボンも灰色のボロきれのようになっている。
「だ...誰だ!?」
「まさか君がこのかいとくんなのですか?」
「うん。そうだよ。正しくはぼくのいしきだけだけどね。本体とわかれてからかれこれ10年にもなるかなぁ。ぼくの本体はまだ次のいけにえを求めてこの学校を歩き回ってる。」
『かいと』は淡々と続ける。
「それは本体がはかいしないようにかくしておいたんだ。その日記にある通り、このクラスのメンバーだったぼくはいけにえにされて、こんなすがたになっちゃった。だからおねがいがあるんだ。ぼくを、ぼくの本体をたおしてほしいんだ。クラスメイトも先生もみんな食べてしまったこんな世界、生きるきぼうがないんだ。ぼくを...楽にして...」
朔は言葉に詰まる。が、澪が即座に言う。
「でも私たちはあなたも被害者だと思ってる。私はあなたも助けたいの...ね?」
「ああ、そうだな。こんな人里離れたところで10年も...。本当に、よく頑張ったな。えらいぞ。あとは俺らに任せな!」
すると、今まで大人びていた『かいと』の表情が崩れ、大粒の涙があふれだす。朔はやさしくぎゅっと抱きしめる。『かいと』が泣きじゃくる声だけがその場に響いた。しかしそのいい空気を破るようにマリンの悲鳴が轟く。
「きゃあああああああああ!!!!誰か来てええええ!!!!」
「来い、金烏!!」
言葉少なに金烏を呼び出す。足元に小さめの黒い穴があき、金烏が飛び出してきた。朔は『かいと』をひっつかみ、力強い羽音を響かせ別棟へ向かう。2人の無事を祈りながら。
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万里亜はしゃがみ、両掌を地面につけ、中の様子を探る。汗がだらだらと流れ落ちている。大変な作業なのだろう。
「中でも状況が動き出したみたいだね。にしても、あの星宮さんの指令は何だったんだろう...。」
本部を出る前、万里亜は凱羅から「中の様子をつぶさに観察して逐一報告してほしいんや。ボクが行ったら警戒されるかもしれん。ちゃんと監視しとくんやぞ。」と言われていた。ゆえに万里亜は全力でその任務を遂行することにする。足りない体力は集中力と気力でカバー。
突然の一陣の風が、木々を揺らし吹き抜けていった。
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モチベーションがめっちゃ上がります。




