表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホリゾント・ヘル  作者: 神無時雨
第二章   未来を拓く剣

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/17

二章7話(幕間) 歯車は回り出す

「…にしてもなんでここに?隠居したんとちゃうんか?」


とは、打たれた背中をさすりながらの凱羅のひとこと。朔から見て、七瀬が近づいているのは見えなかった。世の中にはすんごい人がぎょうさんおるんやなぁ。


「だれが隠居するかい、しょんべん垂らしが。」


「垂らしとらんわい!!!」


「おばあちゃんと仲が良かったのはわかるんですが、どういうつながりなんです?」


「ああ、元上司(?)みたいなもんやな。」


「にしても、お前も大きくなったなぁ。でもあの頃のほうがまだ可愛げがあったて。」


「はいはい、時の流れってもんは残酷ですね(適当)。で、何しに来たんや?」


「ああ、つばさからお前の名が出たから、ちょいと視察に来たんや。」


「刺殺しに来たんとちゃうよなぁ…?」


「もしその気ならもうお前はハムになっとるわいな。」


なんて強いおばあちゃんだ。凱羅を相手にこれほどとは。


「あれから15年かぁ…」


「長かったようで短かったよ、七瀬ばあちゃん。」


「ああ、お前も新しい仲間を作って元気そうでよかったわい。で、わしはとりあえずつばさに稽古をつけるために来たんじゃ。どっか開いとる部屋はないか?」


「あー、あるわ。そこをダーーー!って行って、どんつきまで行って左にガーー!!って行ったらあるわ。」


「相変わらずわかりにくいオノマトペじゃな。老人をいたわらんか。まあいいじゃろう。つばさ、行こう。」


「はーい!じゃあね、天原君!」


「おう…がんばれよ…!!」


そしてそれぞれが修行に修行を重ねていくのだった。


◆ ◆ ◆

日がまた昇る。マリンはぶらぶらと本部を出、雷に乗って東京方面へ。そのまま東京駅裏手へ。


闇穴道(あんけつどう)が…ない…!!」


闇穴道とは、地獄へ行くときに通る、光の届かない道のこと。それは一般の人には見えない。マリンは最近そこからまた地上と地獄を往復していた。しかし今、それがなくなっている。マリンは焦って雷に乗る。北海道・五稜郭、宮城県・多賀城跡、岐阜県・関ケ原跡、京都府・蛤御門、広島県・爆心地付近、山口県・壇ノ浦、熊本県・島原半島原城跡などを回ったが、どこも道が閉じている。


「そんな…馬鹿な…。」


これが意味することは。


「あたしは…あたしは地獄へ帰れない!!!」


とぼとぼと本部へ帰るマリン。そこにいた陽葉に訳を話す。


「なるほどね。じゃあ、別にここに住んでもいいよ?澪ちゃんと輝登くんもそうしてるしね。」


「お、もっと寄宿組増えるの?やったやったー☆」


奥から出てきた万里亜も歓迎してくれる。


「じゃあ…お言葉に甘えて。」


「よろしくね、マリンちゃん!」


こうしてマリンは地獄へ出禁を食らったのだった。


▲ ▲ ▲


「にしても、本当によかったんですか?家族なのに追い出すって。」


「ああ、いいんだ。これ以上好き勝手されるのはごめんだ。いくら娘であろうと許容しがたい。」


先が青く染まった銀髪の女と仰々しい王冠を被った、深緑のうねった髪で見事な髭をたたえた赤い目の男が話していた。周りの岩だらけの地面からは焔が噴き出している。空も多色の絵の具を混ぜて塗りこめたような濁った色だ。肉眼でも普通のよりも真っ赤に見える太陽の下を、足が3本ある鳥が飛びかっている。そう、ここは地獄だ。閻魔大王の在所、『森羅殿』の門前にて会話は行われていた。


「最近は暴徒による襲撃が多発していますね。内乱でも起こす気でしょうか。」


「さあな。お前ら執刑官たちでうまく処理してくれ。」


「幻惑を使って相手を勘違いさせたうえで暴徒らを地上に放出する、という手はありますが。」


「なるほどな。好きなだけ暴れたら満足するだろう。それに一般人には私たちは見えない。誰も迷惑をこうむらない。」


「では、頼みに行きましょうか。」


そうして彼らは地獄のもっと深い階層へ、降りてゆく。水面下ならぬ地面下で、物事が勃発してゆく。回る回る、物語の歯車。朔たちよ、何が起ころうとも立ち向かえ。


それが、それこそが自分を一番輝かせるのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ