トンカラリンとヒミコ邪馬台国は全く関係ありません!
弥生時代をモチーフにした異世界転生ファンタジーという訳のわからない物を書いているのですが、その舞台の一つとして高良大社の八葉石や各地に残る神籠石という遺跡を使っています。
昔はこれらが弥生時代や卑弥呼時代の遺跡だと騒がれた事もあったみたいですが、実際には白村江の戦い以降に唐新羅連合軍からの侵攻に備えて作られた朝鮮式山城であるという説が有力な様です。それでも舞台に使っているのは、高良大社に武内宿禰関連の伝承があったりして、大和朝廷に朝鮮式山城を建てられる以前から、九州各地の要衝であり弥生時代にも砦として使用されたかも……という想いがあるからです。
そういう点で刀伊の入寇の時に使用された警固所(後の福岡城?)だとか、大宰府についても弥生時代から要衝であったのではないかと思っています。
謎のトンネル、トンカラリンと松本清張氏
神籠石と似た九州の遺跡にトンカラリンという謎のトンネルがあります。熊本県玉名郡の464.6メートルもの謎の遺構らしいですが、これが有名になった理由の一つに松本清張氏が邪馬台国の卑弥呼が鬼道の秘儀に使ったと主張されて、それで一気に全国的になったらしいです。
実際一切読んでいないのですが、ネット上の情報をまとめるとこの松本清張氏の卑弥呼邪馬台国関連の主張というのが、【邪馬台国は魏の出張所みたいな物で卑弥呼は魏から死を命じられ殺された。】【その後空白の四世紀に朝鮮半島南端の弁韓地方から騎馬民族が海を越えて九州を征服しさらに東に進んで大和朝廷を作り天皇家になった】と主張されている様です。そういう方が【トンカラリンは卑弥呼の鬼道の儀式場】と主張されてるらしいです。
松本清張氏が騎馬民族が征服したと主張されている根拠の一つに日本の古墳から出土する馬具が朝鮮から出土する物と似ているからという理由らしいのですが、しかし現在ではヤマト政権が朝鮮半島の高句麗との戦闘を想定して計画的に乗馬の風習を導入したのが四世紀以後であり、松本清張氏が主張される様な大規模な騎馬民族の征服の痕跡も伝承も全く何一つ無い事から現在では完全に否定されている過去の説とされています。
また騎馬民族征服説の張本人である江上波夫氏と松本清張氏が直接交流があったようですので、そういう点でも影響を受けているとも思えます。
トンカラリンに話を戻せば、九州説の立場から言っても熊本玉名が果たして邪馬台国の範囲内か外か微妙な場所だと思うのですが、これを書いている人間の主張は両者には全く何の関係も無いと思います。
そもそも論としてトンカラリン自体が近世~江戸時代の遺構であるという分析が主流で、その説に従うのが順当かなと思っています。しかし最初に書いた様に元となる遺跡が昔あったんだっ! とか主張される方もいるかもしれませんが、卑弥呼の鬼道とトンネルは何の関係も無いと思います。やはり両者は無関係だと思いますね。
何故トンカラリンに惹かれるのか?
千と千尋の神隠しで物語の導入として千尋と家族は謎のトンネルを潜ります。するとよく分からない異世界に転移してしまう訳ですが、その様にトンネルは異界への入口という思想があって、怪奇特集でやたらトンネルの霊が出て来るのもそうした理由からだろうと思います。つまりトンカラリンと邪馬台国を結び付けたがる理由の一つに古代への意識の旅という所に無意識に結び付けたくなるからではと思います。
もう一つ京都清水寺の胎内めぐりに代表される様に全国各地に胎内くぐりという寺社地下等に作られた暗いトンネルとの関係もあると思います。これが人間の胎内に模した暗闇を潜る事で生まれ変わりの儀式を行ったという事になり、リフレッシュする効果があるらしいのですが、トンカラリンという物に惹かれる理由にも何か神秘的な生まれ変わりの様な物を期待しているのかも知れません。
でもヒミコ邪馬台国・鬼道とは何の関係も無いと思っています。
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お読み頂いてありがとうございます。
以前同じ様な物を書いていて、調子に乗ってほいほい本編のネタバレ的な事まで書きまくってしまって思わず消してしまったのですが、今回は消しませんので、是非ブックマークをお願いします!!