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オオクニヌシは怨霊じゃない。b  司馬遼太郎氏とW氏の奇跡の出会い?




 オオクニヌシが怨霊認定されるに至った裏事情?

 その千家家ですが、実は南北朝時代に千家家と北島氏に分裂してしまったそうです。が、実はその北島氏からさらに枝分かれした「富家」という氏族が存在して、その方の子孫? の方たちが割と謎な本を発表された……という事があるのです。



富家文書

出雲大社上官じょうがん家の文書(上官とは杵築大社における上級神官の役職名)。

紹介文献(本文編p19-20)によると、富家は出雲大社国造北島高孝の子・長孝が新しく独立して富氏を称したとされる(富氏の初見は文明5年=1477年)。富氏が上官に就任したのは16世紀半ば以降で、上官向氏の跡を継いだとされている。上官就任後は尼子氏の下で知行安堵を受け、また杵築大社定連歌の役を務めるなどして杵築大社の祭礼を務めた。永禄5年(1562)に毛利氏が出雲に進出してくるといち早く毛利方についたとされる。

内容は、尼子晴久や尼子義久の書状、尼子勝久安堵状など。

(レファレンス協同データベース)


 こうした資料がある事から、中世の北島家から富家が枝分かれした所までは事実な様です。しかし此処からややこしい展開があって、いきなり時代は昭和に飛びます。国民的作家である司馬遼太郎氏の上司で「古代出雲・東王家の子孫」という人がひょっこり現れます。ラ〇ュタで言ったらム〇カ的な方でしょうか?



 引用

 山陰中央新報デジタル 明窓 生きている出雲王朝

 今月、司馬遼太郎さん(1923~96年)の生誕100年を迎えた。ファンではないが、1961年の『生きている出雲王朝』は、地元のこととあって引かれる▼数日の滞在を基にした紀行文。司馬さんを出雲に引き込んだのが「出雲のことに話がおよぶとやや正常性をうしなう」という語り部のW氏だ。産経新聞社時代の上司で、

 引用終了



 この戦後の国民的作家とW氏の出会いが「出雲怨念の歴史」を生む契機になったと想像している。何故そう思うかと言えば、この司馬氏自身が古代日本で縄文人が弥生人に支配されたなどとする史観の語り部であり、その発想が天神地祇、天孫族と国津神の対立に転化された部分があると思っています。此処からさらに事態は悪化します。



 迷著!? 名著?

「謎の出雲帝国 天孫一族に虐殺された出雲神族の怒り 怨念の日本原住民史」

 という一部では有名でプレミアまで付いていた本が発行されます。これは上記のW氏に吉田大洋氏という第三者が取材して書かれた本とされていて、この内容が出雲怨念の歴史をさらに増幅させるのですが、史実と考えて良いのか疑問を感じるどちらかと言えばオカルトチックな本だともされています。


 そしてこの本に反発されたW氏の息子という方が、W氏の真の思想性を伝える為にさらに次々に本を出版されたそうです。とにもかくにも、W氏と司馬氏の奇跡の出会いから、次々に出雲怨念の歴史が生み出された訳ですが、これらが本当に古代出雲の歴史を正確に伝えた物か疑問があると思っています。これらの経緯についてはHPで詳しく論証されている方もいます。

 ちなみに本家「富家文書」自体は国会図書館に収蔵されている正統な古文書で、土地安堵や氏族の正統性などが書かれた物で、出雲怨念の歴史などが書かれている訳ではありません。


 恐らくは、そうした血統に自負を持たれた方々が、近代以降の古史古伝が多く生み出された時代に、近代的反骨思想に触発され着想を得て生み出されたのが、出雲怨念の史観だと推測しています。




 オオクニヌシは怨霊だ! と唱えてられる方が、こうした書物の史観に直接的に影響を受けたとは申しませんが、実は「出雲怨念史観」という物が近代に成立した物である可能性が高いと思っています。



 この出雲怨念の歴史という物は、裏を返せば天皇批判という事になります。穏健に国譲りが行われたという神話は嘘だっ! という発想です。神話上でオオクニヌシが納得して国を譲ったゆーとるのに、とにかく朝廷が悪いという事にしたい人は、オオクニヌシが怨霊に見える……という事です。神話を尊重している様で、実は神話を近代的政治思想に利用してるだけなのです。



 だって、神在月に全国の八百万の神様が出雲に集まるんですよ、それが怨霊に見えるでしょうか?

※分割です。

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