邪竜神のお腹に温泉を作ろう!
私の名前はカルディア。頭のおかしい錬金術師のご主人様に、作り出された錬成生命体です。
あぁ、ご主人樣は生命を生み出すから、自称『錬生術師』と御自分の事を呼んでいます。しかし周りからは狂った錬金術師と呼ばれています。
どちらがご主人樣の本性を正確に表しているのか、会えばわかります。
頭のおかしいご主人樣には素敵な夢があります。それが湯郷理想郷計画です。
お風呂好きになったご主人樣は、計画を実行するために私を作り出したといっても過言ではありません。
母体が狂った錬金術師だから、私もきっとおかしいはずと言いたいのですか。
確かにご主人樣の分体のようなものですが、私には暴走を加速させる存在がいません。
ですから暴れる事はないですし、忙しいご主人様にかわって理想郷づくりに向けて目下精進を続けていた所でした――――――
――――――しかし、その平穏は他ならぬご主人樣により破られました。あえて暴言を吐くことをお許し下さい。
「あの狂った錬金術師、なんてものを置いていきやがったの」
見上げると大地を覆う巨大な影。百二十Mの大きな蛇眼を腹に持つ邪竜神の巨像。
あの狂人はあろうことか、その目の部分に温泉を作ったのです。
温泉の素となる成分を本物の源泉から採取し、巨体の内部の魔力油とともに循環させ動力源としても使うのだとか。
言っておきますが戦闘用ですよ、コレ。
空飛ぶ邪竜神の腹は、下から丸見えですし、着地した時も丸見えです。
示威と抑止を兼ねて作り出したのに、丸腰の素っ裸で無防備な姿を晒して回らないと入れない温泉なのです。
そしてこの邪竜の温泉に入るのは、この国を治めるアストリア女王その人です。
もう一度言います。ご主人様と、その主であり親友である女王は非常に賢い方々なのです。
第三王子として成り上がり、二つの国を併合させた英傑と参謀、それが彼女達の真の姿なのですから。
決して公衆の面前で、公開入浴する変態ではないと思うのです。
湯覧船計画を始め、お風呂や温泉好きのご主人様は関連施設を次々と建てていきます。
邪竜神のお腹に温泉はどうかと思いましたが、斯くいう私めも温泉は大好きなのです。
最後にもうひと言だけ言わせて下さい。ご主人様は狂った錬生術師と呼ばれています。
火竜も喜ぶ熔岩温泉を王都に作ろうとして、止められていました。
火竜も泣き出す愛おしい狂わしさ。いっぺん御自分の頭を治療した方がよろしいかと思うのは私だけではないはずです。
お読みいただきありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
たぶん企画二十作品目になります。お目汚しすみません。なるべくジャンルは分けてますが、そもそもランキングにお邪魔するレベルにないのです。
ワードが「温泉」とあって、自作品のキャラを登場させないわけにはいきませんでした。
読まれないのに番宣してどうするよ――――って突っ込みすら入りませんが、興味を持っていただければと思います。
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