第5話 怒らせてはいけない存在っているよね。
是非読んで頂けたら嬉しいです。
ガラガラ。教室へ戻ってきた。
「おう、ありがとう須藤。」
はぁ、朝からめちゃくちゃ疲れた。もうこんな事は懲り懲りだ。
「文哉お疲れさん。」
「何だよ綾人、ニヤニヤして。殴られたいのか、グーで。」
こっちは疲れているというのに、呑気な奴だ。
「んで、どうだった?何で抱きつかれたんだ?」
「それは───。」
どうするか。あいつ、俺の匂いフェチらしいなんて言おう物なら全人類から軽蔑の目を向けられること間違いない。
「ああ、普通に体調悪かっただけみたいだ。ふらついたらそこに、俺が居たらしい。」
「何だそういう事か。」
何とか誤魔化せたみたいだ。その時、教室のドアの開く音がした。そこには、保健室に居た赤宮が立っていた。
「赤宮さん、もう大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。」
「そう。なら良かったあ。ごめんね、驚かせちゃって。」
「うん、大丈夫だよ。っ───!!」
目が合ってしまった。気まずい。俺は席を立ち、平静を装い赤宮に近づく。
「赤宮さん、もう大丈夫なんだね。良かった。」
こっちはさっきの事気にしてないよという態度を全開にして話しかけた。そして、赤宮はこんな行動を取った。
「プイッ。」
何とそっぽを向いてきた。最近の若者はこれだから分からん。
そして、そんな行動を取られれば分かりきっていた様に女子からの冷たい視線。勘弁して欲しい。
「須藤、何したの?」
笑顔で俺に一言。こんなにも殺意のこもった笑顔を向けられた事が未だかつてあっただろうか。いや無い。そして、怖い。
「ほら、座れー。1時間目始めるぞー。」
救世主現る。いつもは、寝る為の授業だとか言われている先生がこの時はとてもきらめいて見えた。
「あとで聞くね。」
いい加減その笑顔やめてくれ。心臓に悪いのだ。
さて、俺は今日生きて帰れるのか。どうか、お願いします。生きて帰りたい。ただそれだけを思っていたのだった。
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