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恋の匂いがする。  作者: 冬空真冬
4/6

第4話 人には人の事情があんの!!

第4話です。読んで頂けたら嬉しいです。

「失礼しまーす───。」

反応は無い。出払っているのだろうか。

「俺がやるか。」

手当てと言っても、氷の枕を用意してベッドに横にさせる位しか思いつかないが───。

その時不意に、制服の裾を握られる感触があった。またあの馬鹿力だ。

「お、起きたのか。大丈夫か?」

平静を装い彼女に聞いてみる。

「その。───さい。」

「何だって?」

「ごめんなさい───。」

消えそうな声で、彼女は俺に謝罪してきた。

「あの、急に抱きついたりして、ごめんなさい。」

彼女なりに悪気はあったのだろう。

「ああ、もう気にしてないよ。」

彼女はパッと明るい顔になった。

「あの、わ、私の事。覚えてない───?」

ん?何の事だろう。俺は昔この子とあった事が?

「ごめん、誰だっけ?」

やはり思い出す事は出来なかった。

「いや、覚えてないならいいの───。」

そう言う彼女はとても悲しそうだった。悪い事をしたかな?

「そうか、すまんな。」

だが、思い出せない物は仕方ない。とりあえず謝罪しておく。

「ところで何で俺に抱きついてきたりしたんだ?」

さあ、どんな答えが返ってくるのか。ずっとこれだけが不思議だった。

「私───。」

ゴクリッ。唾を飲む。

「あなたの匂いが好きなの。」

俺はあまりの想定外な返事に固まってしまった。俺の匂いが好き?え?は?何だって?

「に、匂い?それはどういう───?」

「言葉の通り、あなた特化型の匂いフェチなの。」

そう言って彼女は顔を赤らめた。

何だよ特化型って。随分と限られたフェチだなおい!!

色々と訳が分からん。

「だから、あなたに折り入って相談があるの。」

相談だって?

「何だよ相談って?」

「須藤君。私にあなたの匂いを定期的に吸わせて欲しいの。」

「え、無理。」

いや、無いわ。流石に無いわ。

「お願い!1日5回までで良いから!」

「おいコラ、俺の匂いをタバコみたいに言うな。」

「お願い、私あの匂いが無いと生きていけない!!」

何故そこまで俺の匂いにこだわるのか。全く理由が分からない。だが、周りに変な目で見られるのだけは避けたい。

「はぁ、無理なものは無理だ。諦めてくれ。」

「ウッ───。分かった、今日は本当にごめんなさい。教室に戻って良いよ。」

「あ、ああ。お大事に。」

まあ良いなら良いか。教室に戻るか。

俺は不思議な罪悪感と共に教室へ向かった。

読んで頂きありがとうございます。

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