いじめ
私は桜木萌香。
中学一年生の頃、私はいじめられていた。
原因はたぶんメガネとコミュ障とガリ勉だからかな。
私はいじめられていた。
私をいじめているのはクラスのトップカーストにいる女子だ。
内容は、無視やモノを隠したり教科書に落書きしたり、暴力はないものの害は確実に出ている。
毎日が辛かった。どうして私がいじめられなきゃいけないのか。
それでも学校に通えたのは親友の花音がいつも傍にいてくれたからだ。
いつも私を気にかけてくれた。花音がどれだけ私の助けになってくれたか分からないくらいだ。
でも、私をいじめている子たちが花音を目の敵にしているのをなんとなく感じていた。
だから、私はあえて花音を自分から遠ざけようとした。
「ここで萌香を見捨てたらもう親友でいられなくなる!絶対に離れない!」
だけど花音ちゃんはそれに気づき、それでもなおずっと私の隣にいてくれた。
私には勿体ないくらいの親友。そんな花音のためにもいじめなんかに負けちゃいけないなって思った。
◆◇◆◇◆◇
「萌香、これからはできる限り私のお兄ちゃんと一緒に行動してくれない?」
ある日、花音からそんな提案された。
花音とは違うクラスで、学校の中で一緒に過ごせないことがある。それを危惧してのことだろう。
花音のお兄ちゃんは中学三年生らしい。頼りになる反面少し怖いという気持ちがある。
まずは顔合わせからすることになった。
「えっと、花音の兄の伊織です。事情は聞いたよ、大変だったね。俺で良ければ一緒にいるくらいならできるよ」
花音のお兄さんはメガネを掛けていて優しそうな雰囲気だった。
「桜木萌香です。どうかよろしくおねがいします」
とりあえず何日間か一緒にいてあれだったら断ろう。
花音のお兄さんだからそんなことはないと思うけど。
◇◆◇◆◇◆
花音のお兄さん、伊織さんとは登下校だけでなく昼も一緒に過ごした。少し緊張したけれど、伊織さんの方から話題を出してくれてだんだんと打ち解けて行くのがわかった。
でも、だからこそだろうか。クラスの女子に目をつけられてしまった。
「おいっ!どうしてお前が男と二人きりで昼休み過ごしてんの?」
昼休みに伊織さんが来る前に校舎裏に呼び出されてしまった。
助けは来ないだろう。
「……た、ただの、友達、です」
二人に挟まれて、怖くて震えが止まらなかった。
「何言ってるのか聞こえない!!」
「きゃっ」
思いきり肩を押され、地面にお尻をつけてしまう。
「お前みたいなブスはそんなふうに地面を張ってて!」
「キャハハハッ」
どうしてこんなに惨めな気持ちにならなきゃいけないんだろう……。
悔しくて涙が出そうだ。
「――待たせたな、萌香ちゃん」
この声は、
「伊織さん?」