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【この世界は死にました】  作者: もちきなこ
第1章 そして、終わりが幕を開ける。
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第7話 異世界らしい理想の冒険 ★


挿絵(By みてみん)


  しんと沈んだ湿気のある空気が鼻腔を潤わせ、手に持つ鉱石から放たれる光が、疲れ切った瞳に安らぎをもたらす。

 非常に音通りが良く、天上から滴る水分が奏でる音が心地よく鼓膜を揺さぶる中を、無機質な装備と武器がかち合う音と、それぞれ違った趣を感じさせる足音が四つ。


 緩やかな下り道。暗いとは言ってもアキの持つ照明のお陰で歩くのには困らず、魔紅力濃度も壁に血管のようなモノが絡まっていたりするだけで、先程とは比べ物にならない。

 

「暗くなってきたから、もーちょい明るくできるかな?」

「おう、了解」


 背後を歩くケイシーに声をかけられたアキは適当な石ころを一つ拾い上げると、左手に収まる断面だけが光るゴツコツの鉱石に打ち付ける。

 カツンッと無機質な音が反響し、打ち付けられた部位から“魔力光”と呼ばれる青白い光が散開した。


「す、すっげぇ……」

「ね! 綺麗でしょ? えへへっ、『蒼灯鉱石』感染してないのがあって良かったね」

「ああ。魔力灯で魔鉱石使わなくていいもんな。それに、綺麗だし」


 蒼灯鉱石――光を発する鉱石で、普段は光っていないのだが、衝撃を与えると大気に触れている部分だけが光を発するらしい。

 消耗品だが、魔導具のように魔鉱石を消費したり、自身の魔法を使って照らすこともないので便利だという。無論、ランプや松明を持って歩くのも一般的だが、これなら火が消える心配もない。


 アキは彼らとの会話で、最初は不安だらけだった気持ちも楽になってきているのを感じていた。

 勿論、早く帰りたいという気持ちは変わらないし、異世界語を理解出来る恐怖も消えないが、彼らのお陰で少しだけ肩の荷が降りたというか、心に余裕が生まれた。


「……あのさ、ありがとう」

「ん? ああ……どういたしまして!!」


 アキの持つ蒼灯鉱石も、二人がアキを元気付ける為にわざわざ拾ってきたものだった。


「それにしてもお前、あんなひでぇ顔色してたのに、少しは良くなったみたいで良かったよ」

「え、顔色?」

「うん。ずぅーっと張り詰めた顔してさ……緊張と警戒は大切だけど、あまり張り詰めすぎちゃ探索以前に精神が持たないよ!」


 ケイシーそう言われ、以前にも似たような事があったなと思い返した。


 アキは昔から自分の追い込み方が下手で、挫折に弱かった。

 自分一人でストレスを抱え込み、努力して、追い込んで――そして潰れてしまったり、結果が実らずに挫折してしまう。そう、まるでこの前の喧嘩の原因……受験勉強と同じだ。


「……そうかもしれない。あまり張り詰めすぎちゃいけないって、分かってはいるんだけどな……」

「まあ、難しいよね……」


 ケイシーはそう言い、少しだけ遠くを見つめた。


「……しかし、不気味な程に何も出て来ないな。古いとはいえ既存マップとの差異も甚だしい。記憶喪失のいた場所ならともかく、この感染度ではさほど急激に地形が変化する事もなかろうに」


 ずっと口を噤んでいたユリセアが、彼らが話し終わったのを見計らって言葉を差し込む。

 ……そう、歩き続けて既にかなりの時間が経過しているのだが、彼女の言う通り魔物も紅核生物も全く出て来ない。


「アキのいた所みたいに実は魔紅力が濃くて、魔物は寄り付かないとか? ……まあさ、敵は出て来ないに越した事はないじゃん。ほら、先に広場があるよ。まずはそっちを調べてから考えよーよ」


 彼らの歩む先前方には、なんの変哲もないドーム状の広場があった。まずはアレンとユリセアの二名が中に入って広場出口の先を確認に、次にアキとケイシーが遅れて入る。

 奥に魔物もいない。今まで宜しく、何の問題もなく確認を終える――ハズだった。


「あれ、何か音がする……?」


 ふと、ある違和感に気が付いたケイシーが言葉を落とす。

 それはキャルトの耳を持ってしても僅かな響音。反響のせいで位置を特定出来ず……何より無意識下の余裕のせいで、反応が遅れてしまった。


「――ッ!! アキ、危ないッッ!!」

「えっ――」


 突如アキの真上の天井が崩れ落ち、彼を押し退けて落下範囲から逃したケイシーの足首に直撃。手荷物をばら撒きながら地面に倒れ、その上に一体の魔物が着地した。


 全身が鋼色の狼を思わせるフォルム。四本の脚は硬い岩で覆われており、背中には大きな傷跡、右脚と他の部位は紅色に染まっている。

 本来は爛々とした金色の左眼は白目を剥いており、口内からは涎が垂れ流され、本来は漆黒色の右脚の紅い爪は、ケイシーの足にめり込んでいた。


「――い゛ッ、あああアアア゛ア゛ア゛ッッ!!」


 爪は容易く肌を穿ち、蝕まれた魔紅力が彼女の足に侵入する。

 滲み出る血。魔紅力特有の傷口周辺の血管が膨張したように膨れ上がる反応を起こし、吐き出された絶叫に遠くの二人が事態に気が付いたが遅い。アキに飛びかかる狼には、アレンが駆け付ける時間も、ユリセアが“魔名を唱える”時間もない。

 狼の瞳とアキの瞳が交錯する。ケイシーに押し出された姿勢では刀を突き出す事は叶わない。死んだ、と思う隙もなく、ただ瞬発的に目を瞑って、前方を手でガードする。


【キィァウンッ】


 が、苦しそうな狼の鳴き声に目を開ける。……狼の影から真っ黒な一本の無骨な杭が生え出し、狼の肩部分を抉って地面に倒していたのだ。


「うわっ、無詠唱中位魔法……。見た事ねーし、早いし、マジでお前、ホントに同じ人族かよ……」

「純魔ならば珍しくないと思うがね。……おい記憶喪失、ソイツは魔物だが感染してる。死にたくなければ其処を退け」


 ユリセアはそう言いながら左手を狼の方へ向け、すると、輝く円状に並んだ文字列――俗に言う魔法陣が狼の足元に描かれる。

 瞬時にして完成した魔法陣は、収縮すると同時に影から先程と同様黒い杭を形成。……その魔法陣は、魔法というよりもプログラムや数式を見ているようで、少しSFチックだとアキは思った。


【キャヴ!!】


 ここまで一秒の半分にも満たない時間だったが、狼も負けずと地面を蹴って魔法を回避。


「……好ましくないな」

「おーけー。お前はケイシーを頼む!」


 あの魔法を空中で避けられる程の瞬発力を持つ狼は、彼女にとって相性が悪い。

 攻撃された狼は唸り声を震わせてアキを警戒するが、手の内で一回転させてから投げつけられたナイフによって標的を変えられる。


「お前の相手はこっちだよ、ロック・ウォルフ!!」


 近くに走り寄ったアレンは両手に大剣を構え、飛び掛るロック・ウォルフを剣を盾代わりにするように受け止める。

 一瞬の拮抗、やがて剣ごと押し蹴って相手がバランスを崩したのを見計らい、横に大きく斬り掛かるが、その攻撃も地面を後ろに回避される。


【グルルルゥ……】


 魔紅力の影響なのかロック・ウォルフは一瞬だけよろめくが、すぐに右脚の鉤爪を立ててアレンに飛び掛る。彼は斬りかかったままの姿勢では受け止められないと判断しバックステップで躱すが、続けるようにしてニ、三回と、大きな斬撃が彼を襲う。


【グルゥ゛ゥア゛!!】


 どこか切羽詰まった黒い残像が空中に描かれる。

 ――ロック・ウォルフの爪は強い個体ほど強度が高く、特に群れのリーダーはそこそこの熟練でも苦戦する相手。そしてコイツは、恐らくそのリーダー格だろう。

 まともに戦っていては時間がかかると思ったアレンは、攻撃を防ぎながら徐々に壁際に近づき――そして、ふっと狼の視界から逃れるように大剣の重さを利用して狼の側面方向へ転がり込んだ。


 入れ替わるようにして、先刻まで彼のいた場所へ狼の爪が穿つ瞬間。自身より後方地面に向いた大剣を、地面を抉り取る勢いで前方にスライド。摩擦で火花が散り、甲高い音が鳴り響く。


【キィアアアアン!!】


 壁のせいで避けられず、狼は血を散らしながら大きく仰け反り、その間を縫ってさらに大きく一突き。今度はしっかりと貫通し、念の為もう一度だけ確実に貫いて、動かなくなった事を確認する。


「ふー、終わった」


 離れて見ていたアキは、戦いの一連の様子を見て言葉が出なかった。ほんの数秒の戦いだったが、あれは人間業じゃない。手も出す隙もないし、出しても邪魔にしかならない


「アレンさん、ありがとう……危なかったよ」

「良いってことよ。ていうか、ケイシーは?」


 二人はケイシーのいる方を見る。

 膝を曲げて座り込むケイシーと、その手当をしているユリセア。アレンは剣を一振りして軽く血を払いってから、彼女らの方へ駆け寄った。


「どうだ、立てるかい?」

「た、立て…………いッ――!!」


 応急処置を終え、ユリセアが差し出した腕にしがみついて何とか立とうとするが、立てない。


「ケイシー……ごめん、大丈夫?」

「あっ、アキ……へへへ、大丈夫だよ……。ちょっとだけ安静にしたらまた動けるって」


 アキはあまりの不甲斐なさに苦虫を噛み潰したような顔をする。自分を庇ったせいで怪我をしたのだ。……彼女に入った魔紅力は、彼女にとっては問題ない量で、自己治癒力で治る程度ではあるが、痛みだけはどうしようもない。


「そうだ、痛み止めみたいな……俺に使った薬草? みたいなのって無いのか?」

「痛み止め……ああ、あれは」


 君のが最後の一つだよ。とユリセアは言い捨てながら死体に歩み寄ると、脚首を掴んで少しだけ持ち上げて観察。


「……やはり異様だな。殊にコイツは群れのリーダー格だろうに、一匹で狩りには出ない筈だ。それに、ロック・ウォルフがこの程度の怪我で感染するのも可笑しい。……この洞窟、想像より遥かに入り組んでいて、しかも脆い。だから変形も著しいんだ。アイツをおぶって、早々に引き返した方が良いんじゃないか?」


 そうユリセアは言うが、アレンはこう返した。


「……いや、ここはもう大丈夫そうだしさ、ケイシーが歩けるようになるの待ってから帰ろうよ。その間に休憩も兼ねて素材を剥ぎ取ってさ……情報提供にもいいし、あれ、高く売れるぜ」


「……は? いや、何を以て此処は大丈夫だと言っているんだ。不安要素しかないじゃないか」


「ほんの数分だけだから大丈夫だよ! よくある事だし、慎重になりすぎだって。それに、岩狼は別のとこ持ってって剥ぎ取るのも難しそうだしさ、私もすぐに、回復するから……」


「……ほら、だから大丈夫だよ。最初に判断は任せるって言ってたじゃないか。剥ぎ取ってからにしよーぜ」


 ユリセアは不服そうな顔をするが、討索者として慣れている彼らは(それでも楽観的な気はするが)こういった判断は自分より長けているだろうと思い、承諾。

 どことなく「一旦休憩」といった雰囲気の流れる中、彼女は剥ぎ取りの準備を始めた。


「……ねえ、剥ぎ取り見せて貰ってもいい?」

「勝手にするといい」


 剥ぎ取りなんてゲームの中でしか知らない。

 興味を持ったアキに対して、彼を見ず答えたユリセアは、自分のバックから薄茶色の麻袋と布、ナイフを取り出し、腹を引き裂く。中から内臓を取り除くと、皮や岩、爪を剥いでゆく。


「う、うわ、まって、やっぱりヤバい……超剥ぎ取りじゃん……俺ダメかもしんない」

「……君が何故此処に居たのかなんて知らないが、こんな場所に来るような奴が今の今までそんなので生きて来られたとは、感心するよ」

「いやぁ、俺って記憶喪失だからさー……」

「……はあ」


 呆れ返った視線をアキに投げ飛ばす。ユリセアは、近くにいたアレンに「手伝う?」と声を掛けられるが、大丈夫だと断る。

 剥いだ皮を広げると、腰のベルトから取り出した薬草を満遍なく折り畳み、それぞれを布で包み込んで麻袋へと収納。


 アキは手伝える事もなく、剥ぎ取りから視線を外してケイシーの元へ歩き出した――


「……?  何だコレ」


 が、その足は目の端に映ったある物によって強制的に止めさせられた。

 原因は、地面に落ちている金色のネックレス。二重の三角形の装飾の縁には文字が刻まれているが、それを読む前にケイシーに話しかけられる。 


「……ぁ、ぁぁあッ、あったァーーッ!!」

「コレ?」

「そう! それ私のなの! ああ、壊れて……ないよね? 良かった、壊れてない!!」


 歩けない彼女の方へ歩み寄る。岩狼の攻撃を受けて倒れた際に飛んでいってしまったのだろう。


「ん、どうしたんだ?」

「ケイシーが落としたんだってさ。……どうぞ」

「あああ、ありがとうぅぅ……!!」


 骨の髄から込み上げる喜びと安心を隠しきれなくて、顔が綻び耳がピコピコ踊る。

 

「それ、大事な物なの?」

「うん……えっと、これはね、お姉ちゃんなの」

「……??」


 ネックレスのフックを首の後ろで止めて、鎖部分を指で回ながらぽつりぽつりと語り出す。


「お姉ちゃんはね、とっても優しかったの。よく色んな話をしてくれて、沢山遊んでくれて……何でも出来て。えへへ……でも、弓の使いだけは誰よりも自信があってさ。ずっと大きくなったら家を出て討索者になろうって思ってたの。誰にも頼らず、自分の力で生きたいって思ったの!」


 それはあの日の思い出。

 優秀で、優しくて、格好良くて、いつも『自慢の娘だ』と言われていた姉とは違って私は、家族にとって空気のような存在だったのだろう。


「それで家を出る当日、これをプレゼントしてくれたんだぁ。『絶対に生きてね』って。……とっても嬉しかった。なんだけど、家を出た数日後、風の知らせで聞いたんだ『私の村が焼かれた、村人は全滅』だと」

「は……全滅……」

「うん。私はね……本当に後悔した。もっと前に村を出ていればみんなを助けられたかもしれない、みんなを守れたかもしれない」


 みんなに見てもらえたかもしれない。


「……だけど、お姉ちゃんは強いから。きっとどこかで生きているから……私も生きて、探しに行かなきゃいけないって思ったの」


 三角形の飾りを指で撫でる。

 彼女の輝くような笑顔の陰を覗き込んでしまったみたいで、どんな言葉をかければ良いのか分からず二人は戸惑った。ユリセアも耳を傾けていたが、言葉は掛けなかった。


「あっ……ええと、ッそーだ!! みんなは――あっ、アキは分からないかもしれないけど、兄弟とかっているのかなっ?」


 思わず暗くなってしまった事に責任を感じ、雰囲気を上塗りするよう話題を変える。その声には先刻までの寂寥(せきりょう)は座っておらず、いつもの如く明朗としていた。

 彼女の意図を汲み取ったのか、アレンはいつもの調子で答えた。

 

「兄弟かぁ……。俺は弟が一人いるよ。顔も性格も全然似てなくて、スゲーバカで……でも、バカみたいに優しくて、目を離せない奴でさ。アイツな、本当はめっちゃ強いのに、本気出せないんだよ。魔物の殺傷にいちいち悲しんで。悪い事じゃないけど、何ていうかいざと言う時に怖いっつーか……」

「弟思いなんだね」

「えっ、そ、そうかな。ありがとう」


 ちょっとだけ得意気に鼻を鳴らして、篭手の上から頬を掻く。

 街の人気者だった弟は、みんなに優しく、そして甘かった。それが危なっかしく、いつか悪意のある者と対峙した時に対処出来るのかと不安になる。


「しばらく会ってないんだよね。昔はずっと一緒に遊んでたのにさ……。まだ故郷にいんのか、討索者やってるのかも分からない。……本当、何してんだろな」

「……いいな、兄弟。俺は一人っ子だから、分からないな」

「ほーぉ、アキは一人っ子なんだ!」


 アキは一人っ子であったから、兄弟姉妹のいる気持ちというのが分からなかった。

 羨ましい気もしなくはないが、ケイシーのように色々と比べられそうで、辛そうではある。


「終わったよ。調子はどうだい? 大丈夫ならさっさと――」

「ありがとうユリセアちゃん! ねーねー、ユリセアちゃんは兄弟っていないの? 私と同じで、実は誰かの妹だったり、お姉ちゃんだったり!!」


 噛み合わない質問と返答。

 ユリセアは、振られるかもしれない会話は適当に流そうと思っていたのだが――その質問に誰にも分からない程度に目を丸くする。無意識か意識的にかは分からない。二人の姉弟話を思い出し、ただ「私は――」と誰にも聞こえない程に小さな声で呟いて……やめた。


「いいや。私は、妹でも姉でもないよ」

「へぇー、二人とも一人っ子かぁ。なんか想像つかないや一人っ子って。どんな感じ何だろう」


 そう言いながらもケイシーは「もう立てるよ」と痛みを堪えながらも立って見せ、三人を眺める。

 人族である彼らが、亜人である自分の話を真剣に聞いてくれたのが嬉しかった。村を滅ぼしたあの国では、まだ前時代的な差別が残っていたからだ。


 つい自然と顔が綻ぶ。すると、突然笑いだしてこう言った。


「ふふふっ! 私ね、昔は色々辛かったけど、今は大丈夫なの! 討索者やってて色んな人と話が出来て楽しいから。……ね、ここから帰ったらさ、みんなでご飯食べに行こうよ! お酒とか飲んで色々話したいな」

「いいぜ、飲もーぜ酒! 報酬すごそうだしな!」


 今後の事に思いを馳せ、談笑が響き渡る。


「……それはともかく、帰れないと意味が無いだろう? 歩けるなら早く出てしまおう」


 会話を断ち切り本題に移したユリセアは、来た道へ向き直ると、それに続いて全員が同じ方面を見据えた。

 現在、先頭がユリセアで次がケイシー、後ろにアキで最後尾アレン。来た時の隊列に戻った方が良いだろうと考たケイシーは、後方にいるアレンに先頭に来てと、前方へ向く視点はそのまま声を掛けた。


「……アレン?」


 ――返事がない。

 どうしたのだろう。疑問を抱き、笑顔のまま後ろを向いた。


「――ぇ」


 ……その情景を認知した彼女の表情が固まり、瞳孔が瞬にしてさらに大きく広がった。

 何かと思い、ユリセアとアキも後ろを振り向き、


 ――そして、認識する。








 アレンは死んでいた。

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