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第67話 炊飯器とご対面③

 キシャナは大鍋に水と乾燥昆布を入れると、魔法で火にかけていく。

 しばらくすると、大鍋に気泡が出てくると乾燥昆布を取り出して、だし汁を完成させる。


「さて、つけていた米を炊飯器で炊くよ」


 キシャナは炊飯器のフタをすると、炊飯ボタンを押してご飯を炊き始める。

 次に、だし汁の中に一口サイズにした茄子と南瓜を入れて五分程煮る。

 具材が煮えると、味噌を取り出して火を止める。

 味噌を溶き入れると、再度火をかけて沸騰直前で火を止める。

 具材を深皿に移すと、味噌汁の完成になる。


「丁度良いタイミングで、ご飯も炊けたね」


 炊飯器は音を鳴らして、できあがりの合図を出す。

 炊飯器のフタを開けると、キシャナは皿にご飯を盛り付ける。

 キシャナはご飯と味噌汁を食卓に並べると、前世でよく目にした光景が飛び込んできた。


「ご飯と味噌汁か。和食の定番メニューだね」

「味噌はエルフの里で作られた物を保存してたから、キュウリの味噌ディップ用に取って置いて正解だったわね」


 ご飯と味噌汁の湯気が立ち上り、シェーナとサリーニャの食欲をそそる。

 三人は食卓を囲むと、食前の挨拶をして食事を始める。


「ご飯はよく炊けていて美味しいよ。味噌汁のしょっぱさと南瓜の甘さが口に広がっていいよ」


 シェーナはキシャナの料理を褒めると、キシャナは照れ臭そうな仕草をする。

 サリーニャに至っては味噌汁とご飯をおかわりすると、夢中になって頬張る。


「そんなに慌てて食べなくても、誰も取ったりしないよ」

「昨日から飲まず食わずで仕事をしていたから、正直有難いわ」

「仕事も大切だけど、体調を疎かにしたら身も(ふた)もないよ」

「面白いことに没頭すると限界近くまで働いちゃうのよね。以前、それでリィーシャさんに注意されたことがあったっけ」


 シェーナはサリーニャの体を気遣って言葉をかける。

 何かに没頭できることは素晴らしいことだが、やはり限度がある。

 サリーニャのような天才肌は特に注意が必要で、周りの者が監視していないと危なっかしい性質だ。


「こんな美味しい料理を毎日食べられるなんて、君達のような夫婦が羨ましいよ」

「いや、夫婦じゃないから。サリーニャは自炊とかはどうしているの?」

「自炊はあまり得意じゃないから、適当に済ませることが多いわ。『森の聖弓』から専属シェフを雇うのもいいけど、人妻ダークエルフが兼業でこっちにも料理を提供してくれたらいいなぁ」


 サリーニャは熱い視線をキシャナに向けるが、シェーナが遮って提案をする。


「俺が今度、暇な時にでも料理を教えるよ。それでいいだろ?」


 キシャナは食材の仕入れや材料の仕込みで忙しくなる。

 とてもではないが、兼業できる余裕はない。


「君の料理もなかなか美味しいから大歓迎だけど、自炊は面倒だなぁ」


 最低限の自炊は覚えてほしいと願うシェーナだが、そう簡単にはいかないようだ。

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