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第36話 新興国と歴史ある国

「ここは……どこなんだ?」

「行政地区の宮殿にある客室だよ。瀕死のシェーナをリィーシャさんが運んでくれたんだよ」


 キシャナはシェーナの手を握ると、泣き崩れて事の顛末(てんまつ)を説明してくれた。

 リィーシャが執務室に籠って仕事をしていると、一枚のメモ用紙が天井から落ちてきたそうだ。それにはシェーナの直筆で書かれた料理店の住所と地図が記載されている物で、嫌な予感がしたリィーシャは城塞都市全体に張っているアンテナを巡らせると行政地区の独房フロアにシェーナの気配を探知すると救出に向かった。


「そうか。解毒はキシャナがしてくれたのか」

「いや、彼女じゃないよ」


 客室の扉からリィーシャが姿を現すと、シェーナは起き上がって感謝と謝罪の言葉を述べる。


「助けていただいてありがとうございます。俺のせいでリィーシャさんの立場が悪くなってしまう結果に……ごめんなさい」

「謝るのはこちらの方だ。カリュー君の件は完全に我々の責任であり、君達に迷惑をかけた」


 シェーナが服用した毒薬は通常の方法で解毒するのは難しかった。運が良いことに、シェーナが所有していた袋に包んであった薬が解毒薬の効果があるものだったので、死に至ることはなかった。


「解毒薬の他にもう一本包んでいたのは別の意味で薬になったね」


 シェーナを客室まで運ぶと、リィーシャは独房フロアの出来事を聴取するためにカリューを執務室に召喚した。それによれば、シェーナが街の治安を犯したことで捕らえると、暴れ回った上に所持していた毒薬を服用して自殺を図ったと言う。


「違います! 私を利用して、あの剣士が毒薬を使ってキシャナとルトルスを……」


 興奮して否定するシェーナは咳き込んで言葉を詰まらせると、キシャナはシェーナの背中をさすって、コップの水を飲ませて落ち着かせる。


「以前、サリーニャが浩太君の声を錬金術の品を使って録音した物があっただろ? それが解毒剤と一緒に入って、二人の会話がそのままそっくり発見されてね」


 リィーシャは懐から録音機器らしき物を取り出すと、シェーナとカリューが交わした会話が流れ始めた。

 時間をかけて毒薬の入手経路を辿り、カリューの罪は明白になっていたが、カリューに一連の会話が録音された物を聞かせると、「これは私ではない。何かの陰謀だ!」とリィーシャに詰め寄って反論した。


「上層部にこれを報告させてもらったよ。正式な処分は明日にでも下るだろうが、カリュー君はリンスルの本国に強制送還されるだろうね」


 五大国でも発言力と影響力が高いリンスル聖王国は中立国家プライデンの建国には積極的に物資や資金の支援に回ってくれた。プライデンの法に則り、罰を下すとリンスルと事を構えることになるかもしれない。上層部としてはリンスルに強制送還させて穏便に済ませたいところなのだろう。


「情けないと思われるかもしれないが、プライデンは新興国である立場から五大国でも格式と歴史のあるリンスルにはどうしても敬意を払わないといけない。私個人としてはプライデンの法で罰したいところだけどね」


 リィーシャは表情を曇らせると、踵を返して部屋から退出する。

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