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第22話 暗黒騎士②

 全身からオーラのような闘気を放つリィーシャは戦い慣れているシェーナでも畏怖して動けなくなってしまう。勇者一行のメンバーだけあって、やはり規格外の人物だと再認識する。

 リィーシャは暗黒騎士と面識があるようだ。


「君の姿は見覚えがあるね。ガフェーナ教主国の暗黒騎士で、ディアン枢機卿直属のルトルス・ライヤー副団長ではないかね」


ガフェーナ教主国はハルセンティス大陸の南方地域を治める宗教国家で、かつて魔王と結託して大陸を支配しようとした勢力だ。隣国のレイエス王国、マクセンティー帝国を滅ぼすと本格的に侵攻が激しくなり、勇者率いるハシェル王国、センティス女王国、スエード王国、ロスロ騎士同盟、リンスル聖王国の五大国が魔王討伐に成功するとガフェーナ教主国は主力の部隊を失って敗走。その後は部隊を立て直して無名諸国と闇の勢力を傘下に入れて五大国と戦争状態は継続中である。

 ガフェーナ教主国の暗黒騎士ルトルスの武勇は有名である。

 滅亡したレイエス王国の主力部隊を少数精鋭で打ち破ったことや、勇者一行のメンバーと死闘を繰り広げたと噂は聞いている。


「如何にも私はルトルス・ライヤーだ。お前の顔は覚えている。今度こそ私は……」


 ルトルスは大剣を杖代わりにして荒い息を吐くと、やがて苦悶に満ちた顔になる。


「すごい精神力だね。君の身体には毒が回っている。手当てをするからじっとするんだ」

「貴様は……馬鹿か? 私はガフェーナの人間だぞ!?」

「この城塞都市に足を踏み入れた時点で、ガフェーナだろうが関係ないよ」


 リィーシャが手当てをしようと近付くが、ルトルスは無理をして大剣を構える。

 中立国家プライデンはどんな人間や種族も受け入れる。

 勇者一行が建国して興した絶対的なルールである。


「くそ……」


 やがて毒の回りに耐えられなくなり、ルトルスは崩れ落ちると、介抱するようにリィーシャが抱き抱える。


「すまないが、しばらく君達の店でこの子を手当てしてくれないか? 私は行政地区に一旦戻るよ」

「しかし……わかりました。二階の個室へ運びます」


 シェーナは剣を鞘に収めると、裏口玄関からルトルスを二階の個室へと運ぶ。

 解毒についてはキシャナが必要な薬草を商業地区から買いに出かけて揃えると、サリーニャから貰った冷凍庫は幸いにも一日分の『闇核(ダークコア)』が入っていたので箱から氷を取り出して熱を冷まさせる。


「シェーナ、新品の下着が一階に置いてあるから彼女の鎧と下着を脱がして着替えさせてくれ」

「ああ、任せてくれ」


 シェーナは新品の下着を手にして、ルトルスの漆黒の鎧一式と下着を脱がすと新品の下着に着替えさせる。多少抵抗はあったが、人命の関わっていることなので悩んではいられなかった。

 漆黒の鎧には無数の傷が目立っており、幾多の戦場で激戦を繰り広げられたか想像できる。

 目の前で苦しんでいる暗黒騎士はどんな思いでガフェーナを離れてこの地を訪れたのだろうか。


「少し苦いけど、我慢して飲んで」


 キシャナはすり鉢ですった薬草をルトルスに飲ませると、彼女の手を握って献身的に看病を続ける。


「ガフェーナはダークエルフと共闘しているのは知っているよね? 多分、この人はガフェーナで自分の居場所を失くしてここまで辿り着いたのだと思うよ。私を追手の暗殺者と間違えて襲ってきたのかもね」

「……自分がそうだったからか?」

「そうだね。私もここへ辿り着いた頃は周りの人間を信用できなかった。もしかしたら、私を始末にきた暗殺者かもしれないと疑心暗鬼に駆られた。そこで親切にしてくれたのがリィーシャさんだった。生活の面倒や相談も乗ってくれたし、しばらくしてシェーナと出会えた」


 ルトルスは昔の自分と重なって見えて放っておけないとキシャナは語る。

 故郷を捨てて知らない土地で生きていく辛さはシェーナやキシャナには理解できる。

 二人は夜通しで看病に専念して、朝を迎えた。

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