第1話
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やっと家に帰ってきた。初めての一人暮らしでこれからの生活が楽しみだが、1つ気になっていることがある。それはこの部屋を前に借りていた人はいきなり行方不明になり、大家さんには神隠しではないかと言われたことだ。まぁ、そんなことを気にする前に引っ越しの荷物の片付けをしよう。
「はぁ、どんだけ俺は本を持ってきたんだ。馬鹿じゃないのか?」
ため息をつきながらそんな愚痴を言いつつ本を本棚に並べていたが1つしかない本棚がいっぱいになってしまった。これ以上は押し入れにしまうか。
押し入れに本が1冊入っていた。あれ?押し入れに本を入れた記憶がないが、なんで入っているんだ?分からん。とりあえず題名の確認をしよう。やっぱりおかしい。そもそも題名が読めない。ギリシャ語のようなロシア語のような見たことない文字が10文字書かれている。なんて書いてあるんだ、これ。中も見てみるか。1ページ目は題名と似たような文字が5行に分けて書かれている。こんな本は持ってなかったはずだ。そもそも読めない本なんか買うはずもないしな。次のページは白紙。その次も白紙、その次も、またその次も。500~600ページぐらいあったのをパラパラめくっていると最後のページには2行、題名に使われていた文字をさらに複雑にしたような文字が書かれていて、その下には見たものを吸い込ませるような、自分が覗かれているような、複雑だが調律された魔法陣が描かれていて、中心には正五角形と五芒星が入っていた。
「この本は一体何なんだ・・・」
そうつぶやいた瞬間、魔法陣が回転しながら光りだした。本に描かれた物が動くのはあり得ない。どうなっているんだ?
『この本の前の持ち主は死んだ。次はお前だ。お前は何を目指し、何を行う?』
そんな言葉が聞こえたかと思うと魔法陣の光が収まり、動きも止まっていた。本から顔を上げ周りを見回すと真っ暗のようで何も見えない。それに今の声はなんだ?本の持ち主が死んだ?この本は一体何なんだ。
少しずつ暗いところにも目が慣れてきて周りが見えるようになってきた。しかしここは引っ越した部屋には見えないどころか岩肌のように見える。ここはどこだ?
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