一章 04 事件ですよ、楓ちゃん。と言うか事件でしたよ。楓ちゃん
今回は、ほのぼの編となってる...かな。この本には珍しいイチャイチャ要素(?)があるんで。まぁ、私的にはあんまり好きじゃないシーンですが。
龍崎より楓ちゃん出してよ。
一章 02 事件ですよ、楓ちゃん。と言うか事件でしたよ。楓ちゃん
「お疲れ様、楓ちゃん。」
本庁に帰投後、桜井がエントランスにて一行を出迎えた。防衛省、治安保安課。近年新設された対テロ撲滅組織。そこに彼らは所属している。
「楓と呼ぶなと言っているだろう、桜井。」
「あら、二人の時は楓ちゃん、って呼んでるのに?」
「おい、変な誤解を招くからやめろ。どこでも葛城だろうが。」
ギロリと葛城は桜井を睨む。その塩対応に桜井は苦笑しつつ流す。
「とりあえず、警報庁職員の取り調べはΔ隊に任せて―別件が入ったのよ。」
桜井は仕事の目付きになった。それにつられ葛城も顔が引き締まる。
「わかった。その情報を。」
了解、と桜井と葛城はすぐにエントランスを後にした。
え、ちょ、どこ行く?おーい。ちょっとー?楓ちゃん?桜井さん?
...この場、どうすりゃいいのよ。
「次いきゃいいんじゃ?」
ひと仕事終えた感があるレイベタオルを首にかけ飲み物を飲みながらジト目でこっち見てた。なんか可愛い。
...じゃ、次どうぞ。
朝から死闘を繰り広げ睡魔が吹き飛んだ龍崎は、教室で黄昏ていた。
上の空のように空を見上げ、一言たりとも話さない。
「大丈夫?顔色よくないけど?」
女性の声―聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。
「赤城か...。」
覇気のない、萎びた声が龍崎から発せられ自身ですら驚いて目が開いた。
「...本当に大丈夫?」
とりあえず、と赤城は校内の自販機で買ったのか缶コーヒーが二缶、手に持たれてあった。片方を龍崎の机に置き自身は龍崎の目の前の席に座った。そこが赤城自身の席でもあったからだ。
ありがとう、と掠れた声で言いつつ机に置かれたコーヒー開封し、一口煽る。カフェオレだったのか甘いまろやかな味わいが口内に広がった。
「美味しい?」
赤城も一口飲み、笑顔で問うてきた。
「あぁ、美味いな。」
若干気力というか元気が戻ってきたのか、先のかすれ声からはっきりとした声に変わった。
「お、いつもの龍崎君に戻った。」
機嫌が良さそうに赤城は笑顔で龍崎の頭をポンポン撫でた。
「い、いきなり何してんだ!?」
突然のその行動に龍崎は頬を赤らめ動揺した。
「えぇーいいでしょ?」
微笑みつつ、母親のように愛おしい息子を撫で回すように龍崎を撫でる。撫でる。
やられている龍崎の方は、顔中真っ赤になりかなり動揺していた。
(((もう結婚しろや)))
それ微笑ましい光景を遠巻きに見ていたクラスメイトの心がその瞬間、一致した。
学校内七不思議の一つ、これはつい最近増えたばかりだがこう伝わっていた。
「合法ロリ女子高生と一見イケメン男子高校生が夫婦かのような絡みをしている」
というものだった。何が言いたいのかというと、つまりは赤城由乃と龍崎奏の事を指している。無論、本人達には知られていない七不思議。本人達も夫婦などと思う以前に付き合ってもいない。自然とそうなる訳だから恐ろしいものだ。
「ところで、話変わるけど本当に大丈夫?朝、元気なかったけど。」
自席から後ろを向き龍崎に話しかける赤城。
「大丈夫、昨日ちょっと徹夜しただけだ。」
「思いっきり大丈夫じゃないじゃない...」
ガックリと首を傾け冷やかな視線を赤城。
「まあ心配すんな。」
可愛らしいなぁ、と思いつつ龍崎は神妙にそう言う。
「また、仕事?」
「うーん、仕事というかバイト?」
若干苦しげな顔で龍崎は言った。どう言えばいいか、分からなかったからだ。
―防衛省直轄非公式組織治安保安課。それが、龍崎や葛城が所属している組織の名であった。
近年の世界各地で行われているテロに対抗するため、全世界共通でこの組織を設立させた。その中心は日本の防衛省からであり、設立後は今までよりかなりテロが減少し、世界は日本へ賞賛の嵐となった。ただ、全世界共通であるが故、全部非公式なのだ。つまりは一般市民に一切、組織も活動も公表されていない。表向きは全て即属している組織の大元になっている。日本ならば、防衛省の自衛隊が。アメリカならば、米軍が。と言った感じ。何故非公式にしてるかという疑問等は後に話すとして、ともかくこういう事だ。
「...ブラック企業じゃないの?それ。」
「いーやホワイト。」
即答で返す。確かに仕事量は半端ないが防衛省だもの。仕方がない(適当)
「そ、そう。」
即答で返されたことに驚いたのか赤城は目を丸くした。
(一般市民に極秘な組織の事を言うとクビだからなぁ。)
内心、冷や汗もんだ。前にバイトを偽り飲食店にしたらクラスメイトから「お前の仕事場行かせて。何か食べてやるからさ。」と言われ断ったがそのクラスメイトがしつこく行きたい行きたい言ったものだから困った。だが折れるわけにいかないから懸命に断ったら先月、ようやく諦めてくれたらしく行きたいと言わなくなった。実に二ヶ月もの間、龍崎は死闘していたのであった。
「あ、そう言えば。」
と赤城は唐突に話を変えた。ポンっと手のひらを叩き、ハッとした顔で話を続ける。
「龍崎君。来週から始まるお祭り、一緒に行かない?」
嬉々とした笑顔で赤城は言った。
第5話、マシュマロ回だよ。男子喜べぐへへへ。
ってのは半分冗談として、この後は、作者含め想定外な物語が展開されちゃったから多少予定狂ってます。
全力で書いてるので許して。
ついでと、楓ちゃんとかのイラスト欲しいなぁ。原画(?)Twitterに載せるからアレンジして描いてくれぇ