大工さんの家を作る準備
新しく住民も増え、畑や田んぼの作業効率も結構よくなったな。
まだ作物は作っちゃいないが、でも、広がるのはありがたい。
「さて、これで畑と田んぼの問題は解決だな」
「まぁ、うん、そうだね・・・」
「安希・・・まだ引きずってんの?」
「うっさい!」
安希はまだ色々と引きずっているようだ。
まぁ、小っちゃいからな、仕方ないか。
「む!」
「な、なんだよ」
「なんか悪口を言われた気がした!」
「な、何も言ってないっての」
「むー」
あ、危ない危ない、口に出していなくても読まれるとは、安希の奴、こう言うときの堪は鋭いな。
「ふぅ、さてと、これからどうする?」
「そうだね、畑も田んぼも出来て、食料も問題ない、ただ、生きていくだけなら十分かな」
「そうだが、俺達の最終目標はあくまで街作りだ、この規模じゃ街とは言わない」
「うーん、じゃあ、もう大工さんの家でも建てる?」
「それが1番だろうな、効率的に」
そして、俺は大工さんの住民が現われる家の建て方を見てみた。
えっと・・・石を3割、木を7割ね、これで大工さんが出来るのか。
ハンターとは逆なんだな、これは。
「うん、じゃあ、また家を建ててみるか」
「どんな家?」
「木7割、石3割だな」
「じゃあ、木材を集めないと駄目かな」
「あ、そういえばそうだった」
今は木の材料が足らなかったんだったな、これじゃあ、家を建てられない。
そうだな、今回は木を集めた方が良いか、で、大工さんの家を作るのは明日からだな。
「よし、じゃあ、集めに行くか」
「分かった」
「よし、佐奈!」
「はい、なんですか?」
「木材を集めに行くんだ、一緒に来てくれ」
「分かりました」
俺達は佐奈と一緒に行くことにした、華夏には伊美を守って貰わないといけないから
付いてこいとは言えないし、ここは安希と俺で何とか守るかな。
「木材・・・これまた大変そうですね」
「重いだろうな、でも、ないと不便だし」
「でも、なんで今まであまり集めに行かなかったんですか?」
「あっと、それは最初に家を建てようとしたときに、集めすぎて」
「それで今までやりくりしていたって事ですか?」
「あぁ」
「なるほど、じゃあ、今回も沢山集めるんですね?」
「そうなるな」
一応斧は作ったんだが・・・まぁ、安希がいるし、斧はいらないだろう。
「じゃあ、行くよ!」
「あれ? 安希さん、道具は?」
「いらない、てりゃぁ!」
安希は最初の時と同じ様に、木に思いっきり蹴りを入れた。
そして、やっぱり木は簡単に折れた。
流石は怪力少女、見た目は幼い子どもなのに、力は恐ろしいな。
「あ、あんなに太かった木を一発で・・・」
「ふぅ、よし、この調子でいくよ!」
「ちょっと待てって、一応木を細かくしないと運べないって」
「私は運べるけど?」
「それはお前が特別だからだ、ほら、速く細かくしてくれ」
「はーい、てりゃ!」
安希は木を思いっきり踏み付け、細かく折っていった。
やっぱり安希と一緒に来た方が木材集めは楽だな。
いちいち斧で細かくしないでも良いし。
「木を簡単にバラバラに・・・安希さんってこんなにすごかったんですね」
「そりゃそうだろう、下手したら石も粉砕できそうだし」
「流石にそれは無理じゃないかな? ほら、私って華奢な少女だもの」
「華奢? 木を粉砕する女が? 繊細で弱々しい女の子を華奢って言うんだが?」
「兄ちゃんの意地悪! 私だって繊細だし!」
そういえばそうだったな、主に胸とか身長の事に対しては繊細だったな、忘れてた。
「あー・・・うん、そうだな」
「何だかイラッときたから蹴って良い?」
「死ぬから止めてくれ」
しれっと蹴って良い? とか聞いてくるのに華奢ね、ま、言わないでおこう、死にたくないし。
「ま、まぁ、この調子でドンドン集めていこうか」
「むー、良いもん、華奢なんかじゃなくっても良いもん、もうこうなったら兄ちゃん以上に
男らしくなってやるもん」
「俺って男らしかったっけ?」
「ふんだ!」
なんだ、嫌われたか? やっぱり華奢じゃないなんて言ったからか・・・悪い事をしたかも知れない。
そして、安希はドンドン木を折っていった、それはもうやり過ぎなくらいに。
「あ、安希、もう良いから、もう十分だって」
「沢山いるんでしょ?」
「多すぎだ、もう持てないって、佐奈なんてもう持ち上げるだけで精一杯だ」
「く・・・くぅ・・・ま、まだ行けますよ・・・くぅ!」
「な?」
「わ、分かったよ・・・あんなに必死そうな顔を見たらもうね・・・」
そして、安希は自分が折った木を両手で一般ずつ持って帰った。
片手で木を丸々1本運べる、我が妹・・・なんか、怖いな。
それに、身長は非常に低い少女がだ・・・これ、はたから見たらどんな絵面だよ・・・
まぁ、この世界にはそんなに人はいないし、見られることはないだろうが。
「む? むわ!」
「どうした!?」
「む、虫が! 木に虫がぁ!」
「まぁ、木だし、虫くらい」
「きゃぁ!」
安希は虫に驚き、手に持っていた木を高く上に放り投げた・・・
と言うか、こ、このままだと、潰れる!
「おわ! 佐奈! 安希!」
「ひゃわぁ!」
「あ! 兄ちゃん! 何処触ってんの!」
「うっさい!」
俺は素早く2人を抱え、その場から逃げた、あ、危うく潰されるところだった・・・
「あ・・・危な・・・潰されるところだった」
「え・・・えっと・・・ご、ごめん」
「ビックリしました・・・」
はは、最後にハプニングが起ってしまったな、やっぱり確認はした方が良いか。
それにしても、潰されないでよかった・・・はは。




