田んぼの完成
さて、鉄鉱石も集めて、クワも出来た、次は何処を耕すかだ。
やっぱり川の近くか? 結構水深も深いし、そこを主にするか。
「・・・どれ位の大きさが良いんだか・・・」
「3人しかいないし、そんなに大きくなくても良いんじゃないかな?」
「でも、その内住民は増えるぞ? だから大きめにした方が良いような気はするな」
「だけど、大きすぎると私達が大変だよ? 農家もいないしさ」
「確かにそうだが・・・うーん、困ったな」
安希はそこまで大きくない方が良いと言っているな、まぁ、最初だし
住民が増えていったら別の土地を耕して、広げれば良いかな。
「よし、分った、じゃあ小さめにするか」
「うん、それが良いよ」
そして、俺と安希は協力して田んぼを耕し始めた。
どうやらこれが出来るのは俺達だけのようで、華夏と佐奈は端っこの方で座ってみている。
「何も出来ないって、悔しいよな・・・」
「はい、そうですよね・・・悔しいです・・・」
一応あの2人にもクワを渡してみたが、結局耕すことは出来なかった。
「所で兄ちゃん、田んぼってどんな風に作るの? 耕すの?」
「まずはここを若干深めに掘るんだ、本当は周りを囲うようにするのが正しいんだが
そんな道具は無いし、深めに掘って、囲いを作るようにするんだ」
「クワじゃ無くてスコップで良いんじゃないの?」
「あ、そ、そうだな、端っこの方から出すように掘れば・・・」
「・・・兄ちゃん、ドンマイ!」
き、気が付かなかった、そうだな、スコップで掘れば良かった・・・
無駄な労力を使った気がする、い、いや、逆に考えるんだ!
クワを作ったことで畑も耕せるようになったと考えるんだ!
「・・・じゃあ、スコップ、取ってくる」
「うん、待ってるね」
そして、俺は家に戻り、スコップを持ってきた。
うん、気を取り直して再開するかな。
「よし、周囲の土を取りながら、周りに小さめな山を作って、それを固めるぞ」
「分ったよ」
そして、俺と安希は何時間もの間同じ事を繰り返し、何とか囲いが完成した。
「ふぅ、しんどかったけど、冬場で良かったね」
「あぁ、今日は日も差してるし、比較的楽に出来たからな」
「それじゃあ、これでお米を作れるね」
「いや、まだだな、水を引く通路を作って、その水を排出する方法も確保しないといけない
そんでその後は苗の確保と、やることは多いな」
「米の苗なんて何処で手に入れれば良いんだろう?」
「それが問題なんだよな、田んぼを作ったは良いが、米の苗が無いとな・・・」
「なんで作ったの?」
「いや、もしかしたら、女神さんが支援してくれるかなって思って」
「肝心な所を神頼みってどうなの?」
まぁ、そうなんだが、米は食いたいし・・・それに米があるって事は何かあるはずだ
そういえば、最初は水辺の近くの野草の種を食い始め、それを栽培し始めたのが元だと
聞いたような気がする、田んぼに水が必要な事を考えてみれば水辺にあると考えるのが自然だな。
「うーん、そうだな、元は水辺の野草の種だと聞いたし、探してみるか」
「本当に?」
「ほ、本当だ、うん、記憶が正しければな・・・」
「あ、そう」
そして、俺達は佐奈と華夏も連れて、水辺の方に探索に行った。
ここに種があれば良いが・・・うーん、あるかな?
と言うか、考えてみればまだ田んぼも完成してないし・・・いや、大丈夫か、うん。
そして、俺達は近場の川にやってきた、普段聞える川の静かな音が、ここだと大きく聞える
まぁ、当たり前だが、それに、川の周辺には色んな植物が川を囲うように生えている。
この中から、それっぽい物を探すのか、ちょっとしんどいかもしれない。
「うーん、どこ?」
「水辺の野草ですか、これとか?」
佐奈がもってきた野草は確かに何処か米の苗に似ているような気がする。
それに、種もちゃんと付いている、収穫の時期は過ぎているが、それでもまだあるんだな。
「よし、じゃあ、これを集めてみるか」
「これが元か、へぇー、知らなかった」
「確証は無いが、食べれそうだろ?」
「そうだね」
そして、俺達はその周辺に生えてる、佐奈がもってきた野草を集めた。
「よし、これだけあれば十分だろう、それじゃあ、一旦戻るか」
「うん」
それにしても、近くの川に生えてるとは、ありがたいことだ。
さて、次はこの苗の種を取り出して、育てて苗にするかな。
えっと、確か別の小さめな箱に移して、育てるんだったよな。
それにしても、確か五月頃にやるんだよな、じゃあ、種を取って、何処かに置いておくかな。
「よし、取りあえず、これでいいかな」
俺は種を取り、作っておいた苗床に土を被せずにおいてみた。
「うーん、これで持つか?」
少し不安だが、多分大丈夫だろう、種は生命力が高いからな。
なんせ植物の種だからな、当然だろう。
さてと、その間に田んぼを完成させて見るか。
「よし、後は田んぼを耕すかな」
「そうだね」
そして、2ヶ月後ようやく田んぼが完成した。
土の水を抜く工事がすごく苦労した。
まぁ、ただ水が流れる空洞を作るのに苦労しただけだけどな。
「完成したね・・・」
「あぁ、苦労した、やっぱりしんどいものだな」
「そうだね、苦労がよく分かるよ」
あれから2ヶ月か、もう時期は冬だな、風も少しずつ冷たくなってきた。
月で言えば、何月だ? 12月くらいか? まぁ、それ位だな。
「よし、それじゃあ、休もうか」
「あぁ、そうしよう」
そして、俺達はしばらくの間休む事にした。
食材は華夏と佐奈が集めていてくれた。
と言うか、やることが無いから何か指示して欲しいと言われて、食べ物を取ってきてくれと指示した。
そしたら、あいつらはすごく生き生きしてたな、やっぱり何かしていないと退屈なんだろう
特に、誰かが働いている姿を見ているとって感じかな。
そして、1週間ほど経過した。
「兄ちゃん、今度は小麦粉を作るための畑を作ろうよ」
「小麦か? 難しいぞ?」
「大丈夫だって、田んぼが出来たんだし、小麦もいけるって!」
小麦は高温多湿な地域では生産が難しいと聞く。
だから、この辺の気候だと安定しないだろうな。
「無理だって、ここは高温だし、湿度も多い、小麦は無理だろ」
「うどんとかも食べたいんだけど・・・」
「その気持ちは分るが、無理だ、ただでさえ田んぼの管理で難しいのに、その上畑なんて」
「じゃあ、畑と田んぼを管理してくれる住民用の家を建てれば良いじゃないですか?」
「おわぁ! 女神さん!」
俺達が会話をしていると、何の予兆も無く、女神さんが会話に入ってきた。
神様ってのはもっと神々しく登場するだろう、なのに何で普通に登場してんだよ!
「それに、ここは小麦も作れますよ、そういう環境ですから」
「ど、どういうことですか?」
「私が支援しますよ、そこだけの環境を変えて見せましょう!」
「は、はぁ? 何で神様直々に、それに街が完成したらどうするんですか?」
「街が完成したら支援は終わらせます、なので、出来るだけ私の支援無しに頑張ってください」
「じゃあ、最初から支援しなかったら良いんじゃ?」
「人もいないし、あまり遠くに行くことも出来ないあなた方です、助けないと何も出来ないでしょ?
でも、正直田んぼを作ったときはビックリしましたね、そんな知識があったなんて」
「こっちに飛ばされる前にテレビでやってたんだ、だから覚えてた」
「あ、そうですか、まぁ、環境は私がその場所だけ操ります、それと、農業をやってくれる
住民の建物を作るための材料、藁を渡します、これで1件分は出来るでしょう?」
そう言い、女神さんは目の前に結構な量の藁を出した。
これを使って農家の家を建てろってか・・・はぁ、ま、その方が良いかもな。
「それと、農家は勝手に畑を耕してくれたり、田んぼを作ってくれたりします
出来ることならいくつも立てた方が良いですけど、今は1件で良いでしょう
あ、農家は藁も勝手に作ってくれるので、それで新しい家を建てるって感じで行けますよ」
はぁ、農家ってのは便利なんだな、まぁ、最初の藁を用意するのが大変なわけだが。
「それでは私はこれで、あ、お願い事があったら呼んでくださいね
街の発展具合やあなた達の活躍次第で色々とお手伝いしますから!」
そう言い、女神さんは1冊の本と結構な数の藁を置いて、何処かに消えていった。
俺は取りあえず、女神さんが置いていった本の中身を読んでみた。
「えっと、お願いリスト?」
「何か字と数字が書いてるね」
何だか字が多いし、明日2人で細かく呼んでみるか。
今日は藁を集めないといけないし、その後か、農家の家を建てるのは
せめて、まとめた感じで出して欲しかった。




