鉄鉱石を求め、再び洞窟へ
田んぼ作をする上で、一応作っておかないといけない物があった。
くわが無いと耕すことが出来ないじゃ無いか、取りあえず、今日も鉄鉱石を採取しよう。
「また洞窟ですか、少し怖いですね」
「洞窟くらいしか無いからな、鉄鉱石は」
「そうだね、何かこう地面を叩いたらそこから鉄を作り出すことが出来ればな」
「無理だな、色々とぶっ壊れるだろ、それは」
「だよね・・・あはは」
まぁ、そんな能力が欲しいと思う気はするな。
そんな能力があればいちいち洞窟の中に潜る必要も無いし。
でも、無い物をねだっても仕方がない、ここは今ある物で何とかするしかない。
「うーん、無いね」
「そうだな、簡単に見つからないよな」
「あ、兄ちゃん! あれ鉄じゃ無い!?」
そう言い、安希は走ってその鉄らしきものがある場所に近寄った。
「松明が無いのに走るなよ!」
「大丈夫だって! て、あ」
「安希!」
安希は足下を見てなかったのか、何処かに落ちていった。
あんな場所に穴があるってのかよ!
俺は急いで安希が落ちた場所に走った。
「安希! 何処だ!?」
「うぅ、あ、危ない・・・あ、あと少しズレてたら地面に叩き付けられるところだった」
何処からか安希の声が聞えるが、どうにも姿が見えない。
意外と近くにいるのかと思い周囲を探したが、見つからなかった。
「何処だ!?」
「ここだよ! ここ!」
安希の声が聞えた場所を見てみると、少し下の方に足場があり、安希がそこにいるのが見えた。
「はぁ、安希、良かった、無事か」
「驚かせないでくれよ・・・」
「安希さん、無事で良かったです」
「皆も来てみたら? 何だか色んなものが見えるよ!」
「そうだな、行ってみるか」
そして、俺達は安希が降りた場所に降りてみた。
そこは確かに色んな鉱石がみえる、ロープを持ってきてて良かった。
「ほう、これはすごいな」
「だよね、鉄鉱石もあるし、ちょっと探してくるよ」
「あぁ、佐奈は降りないのか?」
「う、上を見ないでくださいよ?」
そういえば佐奈ってスカートだったな、上を見るのは危ないか。
そして、俺は安希の方を見る事にした。
「佐奈、まだか?」
「ま、待ってください、ちょっと、ひゃぁ!」
「佐奈!」
俺はロープから落ちた佐奈をキャッチした。
ロープで下りるのも難しいのか、まぁ、あまり力が無さそうだしな。
「あ、ありがとうございます」
「ロープで下りることも出来なかったんだな」
「はい、初めてでしたから・・・」
「でも、初めてでも華夏は普通に降りてきてるぞ?」
華夏はすごくすんなりと降りてきた、佐奈はかなり時間がかかったのにな。
「あんなに速く・・・うぅ、何だか悔しいです・・・」
「ん? どうして佐奈は少し悔しそうなんだ?」
「お前はロープをすんなり降りられるのに、自分は降りられなかったからだ」
「そんな事で、ま、佐奈はあまり鍛えて無さそうだからな」
「うぅ、今日から少しだけ腕立てをします」
前もそんな事を言っていたが、結局3日で終わったっけ。
安希には腕立ては無理なんだろうな。
さてと、この鉱石を回収して、上に上がるかな。
「佐奈、掘るのを手伝ってくれ」
「分ってます」
そして、俺達は3人で鉱石を掘ることにした。
見張りは華夏だけだが、ここは目の前は行き止まりだし、まぁ、大丈夫だろう。
それにしても変わった場所だよな、これだけの鉱石があるなんてさ。
「ふぅ、こんなものかな、もっとあるけど、これ以上だと上がるときに辛いし」
「そうですね、特に私なんて」
「それじゃあ、兄ちゃん、私は先に上がって周りを警戒しておくよ」
そう言い、安希はロープを簡単に登りきった。
「安希さん、速いですね、私も!」
「止めとけ、無理をして落ちたらヤバい、下はかなり深いんだ、死にたくないだろ?」
「そ、そう言われると、はい、自分のペースで登る事にします」
そして、佐奈はゆっくりとロープを登り始めた。
やっぱり鈍いな、と言うか何となく降りるときより辛そうだ。
まぁ、考えてみれば当たり前か、あ、パンツみえた、白だ。
「上を見ないでくださいよ! 絶対ですからね!?」
「わ、分ったよ」
もう遅いんだけどな・・・と言うか、前俺が間違って入ったときはそこまで焦ってなかったのにな。
もしかして、暗いしみえてないと思ったのか? うーん、よく分からない。
「ひゃぅ!」
「おわ!」
また佐奈が降ってきた、どれだけ力が無いんだよ。
「おい、大丈夫か?」
「うぅ、登れません・・・」
「うーん、そうだ! 兄ちゃん! 佐奈を抱いたままロープを掴んで」
「ん? な、何でだ?」
「良いから!」
「分った」
俺は何だか分らないまま、取りあえず佐奈を前に抱き、その態勢で佐奈に俺の腹を掴むよう指示した。
何だかすごく難しい態勢だが、佐奈はそんなに背が高くないお陰で前はみえる。
そして、俺は足で佐奈の体を支え、両腕で挟むように押えた。
「これなら大丈夫だろう、少し登るのがしんどそうだが」
「大丈夫だよ! しっかりともっててね!」
「え? あ、あぁ、分ったって」
「よし、行くよ! てりゃぁ!」
「おわ!」
安希は上からロープを思いっきり握って強く引っ張った。
ロープはすごい勢いで引き上げられ、上の方に到着した。
その間、佐奈の腕が離れたが、何とか押えることが出来た。
「ふにゃぁ・・・」
「はぁ、はぁ」
「速いでしょ?」
「危ないだろう! 佐奈なんて完全に気を失ってるぞ!?」
「でも、落ちなかったじゃん」
「俺があんな体勢で佐奈を抱いてたかだろうが!? 落ちたらどうすんだよ!?」
「ま、まぁ、それはどんな場合でも言えてるし、あはは」
安希はよそ見をして、少しだけ笑った。
あぁ、ビックリした、本当にとんでもない事を考えるな、安希の奴は。
「おーい! 私もいるぞ!」
「うん、分ってる、今ロープを下ろすよ」
「わ、私は簡単に上がれるからな!? 引っ張らないで良いからな!?」
「振り?」
「違う!」
そして、安希はロープを使い、華夏を引き上げた。
と言うか、本当にこれ位の速度で良かったのに。
何で俺達の時はあんな全力で・・・あぁ、怖いな。
まぁ、鉱石も手に入った、後はこれを加工して、くわを作って、田んぼと畑を作るか。




