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無人の異世界開拓記~女の子達と街作り~  作者: オリオン
第3章、窓の必要性
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ブルームーンの傷跡

長いブルームーンの夜が終わった、さて、清々しい朝だ、と言うには少し傷を負いすぎた。

どうやら俺は出血を忘れて安希の手術をしていたせいか、少し血が出すぎた。

そして、ブルームーンの夜が終わって安心したせいか、意識を失ったみたいだった。

それにしてもだ、目が覚めると目の前に佐奈の姿があって、周囲が暗かったら驚きだぜ。


「・・・暗いな、あれ? 夜明けじゃなかったっけ?」

「はい、確かに夜明けでしたけど、彰さんがすぐに意識を失っちゃって」

「・・・あぁ、それで目が覚めたら夜なのか」

「はい、そうです」


最初、すごく驚いたぜ、なんせ折角夜明けまで粘ったのに、それが夢だったのか!?

何て一瞬思ってしまった、でも、佐奈の説明を聞いて、何だか安心した。


「はぁ、良かった・・・それにしても、ブルームーンの夜があんなに大変だとはな」

「うぅ、すみません、私が戦えないばかりに」

「自分を責めるな、お前はよく頑張ってくれた、それで、安希はどうだ?」

「はい、安希さんはまだ眠ってます、かなり傷が酷いんでしょうね」

「脈とかは!? 呼吸は!? しっかりあるか!」

「ありますよ、ちゃんと正常に呼吸をしています」

「はぁ、そうか、良かった」


あの後、容態が急変したりしてないようで、良かった。

それにしても、まだ眠っているって事は、後遺症とかは分らないのか・・・

でも、確認するのが怖いな、今、ほんの少し、安希がまだ寝ていて良かったと思ってしまった。


「あ、そうだ、ご飯を用意してきますね」

「あぁ、分った」


そう言い、佐奈は部屋から出て行った。

そして、俺は佐奈がいると思われる方をチラリと見てみた。


「安希・・・」


安希は静かな寝息を立て、グッスリと眠っているようだ。

汗もかいていないし、まだ大丈夫なのかもしれない。

その安らかな寝顔を見て、俺は少し安堵した。

もしも苦しんでいたらどうしようという不安が一気に解消された気分だ。


「に、ちゃん、あ、と」


安希が何か寝言を言ったが、なんて言ったかは聞き取れなかった。

でも、表情から察するに、辛い夢ではないようだ、良かった。

・・・肩の傷、まだ血が若干出てるな、でも、安希の方は大丈夫そうだ。

うーん、俺の体、傷口が塞がるのが遅いのかもしれない。


「・・・ふぅ、やれやれ、まだ腕が若干痛いな」

「本当に不思議なもんだよな」


誰かの声が聞え、その方向を見てみると、人影が暗がりにいた。


「おわ! 華夏!? いたのかよ!?」

「いるって、あんな後に心配しないで自分の家にいるわけがないだろう」

「は、はぁ、そうなのか、で、何が不思議なんだ?」

「実は、あいつの傷、もう殆ど癒えてるんだ、すごい回復スピードだと思わないか?」


そうか、だから安希の布団には血が付いてないのか。


「確かにすごいな、あれだけの怪我が1日の間にか・・・」


そういえば、前、洞窟に潜ったとき、あいつは怪我をしたはずだが

気が付いたら治っていた、気にはしていなかったが、今考えるとすごい回復速度だよな。

・・・これも女神さんが言ってた安希の肉体強化か? でも、回復速度と身体能力以外は普通の人間か。

なんせ、安希は今まで何度も攻撃を受けた、頑丈だというのなら、その状態でも動けるはずだ。

だから、頑丈さはないが、回復速度と身体能力は非常に高い、こんな所だろう。


「どうした?」

「いや、考え事をしていただけだ」

「そうか、で、安希は何であんなに回復速度が速いんだ?」

「そうだな、身体能力が非常に高いからだろうな」

「うーん、確かにその可能性が高いだろうが、何か他にもあるような・・・」

「気のせいじゃないか?」

「・・・そうだな、気のせいか」


華夏と佐奈には俺達が異世界から飛ばされてきたとは伝えれない。

と言うか、伝えたところで信じて貰えないだろう。

なだ、ここは黙っておく方が良いだろう、変ないざこざが起きても困るし。


「彰さん、ご飯をご用意しました!」

「あぁ、ありがとな」

「いえ、これ位しか出来ませんから」


・・・それにしても、普通病人相手だから少しくらい食べやすいものを作ると思うが・・・

何で肉料理しかないんだよ・・・いや、まぁ、まだ米もないし、おかゆは無理にしてもだ。

せめて、魚料理とか、腹にまだ負担がかかりそうに無い物を出して欲しかった。

でも、そんな事を言うのはかわいそうだし、食うかな。

うん、次の課題が見えてきた気がする、最近米食べてないし。

と言っても、田んぼを作ったとしても、1年近くはかかるからな。

でも、作らないと米食えないし、仕方ない。

そして、その次の日、どうやら安希も目を覚ましたようだ。


「ん、あ、明るい・・・」

「安希、お前も起きたか」

「兄ちゃん・・・おはよう」

「おはよう、なぁ、立てるか?」

「・・・む、無理かも」


安希の奴、顔を真っ赤にしてまで立とうとしているのか。

でも、立てれない、やっぱり後遺症が残ってしまったか?


「兄ちゃん、手を貸して」

「あぁ、分った」


俺は安希の手を取り、背中を押えながら、ゆっくりと立ち上がらせた。


「あ、ありがとう」

「歩けるか?」

「それは大丈夫だよ、うん」


そして、安希は歩くというか早歩きで寝室から出て行った。

何だ、普通に歩けるじゃないか、少し安心したが、なんであんなに歩けるのに立てれなかったんだ?

もしかして、寝起きだったから力が入らなかったとか? たまにあるよな、そう言うの。


「よし、まぁ、安希も起きたし、田んぼを作るか」


ここら辺には川もあるし、田んぼを作れる位広い土地もある。

これを上手く活用して田んぼを作るとしよう、これから忙しくなりそうだな。

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