月光(200文字小説)
月の光が私を照らす。
優しくて穏やかに。
みずからは輝かない控えめな光でも、夜の中にいる私にとっては眩しく映る。
凛として涼やかに。
いつも近くにいるはずが、触れようにも私の手は臆病で、話そうにも私の声は響かない。
太陽を追いかけるあなた。
そのあなたの光が私を射抜く。
だけどそれは誰にでも向けられる柔らかい笑顔。
嬉しくて切なくて、時に残酷で。
頬を伝う光の粒が、夜空の星となれるなら。
そっと隣でまたたいていたい。
寝室で月の光を浴びて、いてもたってもいられず書きました。
好きな人が自分以外の人を好きであっても、好きであることを止められない、そんな気持ちが伝えられたら嬉しいです。