プロローグ
――数年前から、とある資産家が始めたという「ミステリー・ショウ」。
様々な趣向を凝らし、参加者からの評判が高いこのショウは、参加方法の困難なことと、ショウそのもののグレードの高さなどから各方面で好評を得、有名になったものである。
参加方法を知るものは、誰一人とていない。また、いつ、どこで、どんなショウが開催されるかを知るものも。
それは常に、ある日突然行われると言う。
ショウに参加できたものは、その後の幸福が約束されていると言っても過言ではない。ショウに参加したという事実が、その後の人生を左右するほどのステイタスを持っているからである。
権力を振りかざす上流階級のものは、自慢の種や更なるステイタスの追加に。またはただその後の幸福を夢見て。
人は噂し「ショウ」の参加を夢見る。どんなことをしてでもその資格を得ようとする者もいる。それでも主催者から届いた招待状なしには参加することはかなわない。
それはまさに「選ばれた者」。
選ばれたいがために、また、参加したいがために。人は招待状を手に入れようとする。その後の自分を変える、一通の手紙を。
……そして今年も。
招待状は配られる。ショウの開催は近い――。