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(11/13修正)

まぶしいという感覚で目を覚ました。

起き上がって辺りを見回すとどこまでも透明で、そしてどこまでも広い空間に僕はいるようだ。

ふと疑問に思った。

大気は存在しているのかだろうか?

呼吸は問題なく行なうことができた。

どうやら大気は存在するらしい。


「やあ、君が17番目だよ。さて、君は何を望む?」

どこからか青白い光の粒が僕の目の前に飛んできて球体を形作り、そしてそれはやがて人型になり言葉を発した。

その声は綺麗な透き通る声であったが、その人型は筋肉の具合から見て男のようだった。

目は金色でそして男とは思えないほどの美形、そしてなにより黒くとても長い髪。

とても印象的だった。

服装も真っ白い着物のようなものを着ていて、足元を見ると足袋のようなものを履いていた。


「俺にはわからない。何もわからない」

つっこみどころが満載だったが、僕は思いつくままに答えた。

本当はあなたは誰でなんでそんな格好をしているのかとか、ここがどこだとか、自分はなんでここにいるのかとか、そんなことを質問したかったが空気を読んでそう答えた。


「そうか、君には何もないのか。なるほど、ならば私が直々に決めてやろう。そうだ、君は異世界に行って勇者にでもなれ」

目の前の美形が微笑しながら言った。


「い、異世界!?ゆ、勇者…ですか?」

突然なにを言いだすんだこの変態は。

僕の心の中で彼を変態と決めた瞬間だった。


「どうだ、素晴らしいだろう?君にぴったりだ、うんぴったりだ。さっそく君を新しい世界に飛ばしてあげよう」


「ちょっとまってください!あなたは誰でここはどこで俺はどうなったんですか?」

僕は今ままで疑問に思っていたことを早口で言った。


「なんだ。君は人並みの疑問があったのか。てっきり反応が薄いからなにもない人間なのかと思ったよ。自殺してきた人間なんかだいたいそうだから」


「じ、自殺!?ってことは俺は死んだの?」


「ま、まあ。そんなところだよ。で、話しは終わったね。さっそく君を送るよ?準備できた?」


「いや、あのちょっと死因はなんなんですか?せめてそれは教えて下さいよ」

僕は内心焦っていたがなんとか言った。


「…まあ、なんというかこちらの手違いだったとかそんなことはナイヨ?」

なんか最後のほうがとてもカタカナな感じがした。


「なんで、そんなに自信なさそうなんですか?はっきり言ってくださいよ!じゃないと異世界に行きませんから!」

なんとなく叫んでみた。


「…ん、仕方ない。すまない、本当にすまないと思っている。君は我々のミス、いや私のミスで…」


「ちょっと!ミスって何ですか!ミスって!!」


「いや…その…なんていうか…その…飲食店でコカコーラのつもりでコーラを注文したらペプシコーラがきたような、そんな些細なミスさ」

流し眼でこちらを金色の瞳で見てきた。

どーかんがえても悪びれている様子はない。

僕は目の前のこの変態にいかに罰を与えるかを考えていた。

殴りとばすか、それとも蹴るか、いや待てここは急所を突くべきだ。

とは言ってもこちらはなんだかよくわからない空間に実質閉じ込められているようなものであり、さらに相手は人間なのかもあやしい。

しばらくは様子をみることにしよう、と決心した。


「そ、そんな怖いこと考えないでくれよ。いや、ほんと悪いと思ってるんだって、ね?」

若干怯えながらこちらを見る変態が一名。

どうやら僕の思考が漏れているらしかった。


「…。ならなにか誠意を見せてもらいたいとこだね」

僕はできる限りトーンを落として言った。


「わ、わかったよ。そうだな、君の欲しい力をあげよう。これで、どうだ?異世界に行ってその能力、たとえば錬金術を使って大金持ちになるのもいいし、はたまたチャーム系の瞳を使ってハーレムをきずくのだっていい。とにかく何か力をあげる、これでどうだろうか?」

僕がすごんでいくとだんだんとへりくだっていく目の前の変態。

実はすごく気が弱いんじゃないだろうか?

と、いうか異世界に行くことは決定なのか。


「ふ~ん。まあ、悪くはないね。能力はなんでもいいの?」


「あ、ああ。まあ、基本的にはなんでもいいよ」


「よ?」

少しにらんでみた。


「…いいです」

目の前の変態は少しうつむき気味にそうか細く答えたのだった。

それにしても能力か…なんかこれってよくあるストーリーじゃない?とか思いながらも考えた。

こういう話の場合ってだいたいみんなどんな能力を望むんだっけ?

ってか、その話しで行くともしかして目の前にいるのは神?

いやまさか、こんな気の弱いやつが神なわけはないか。

そうだ!!

よし、ここは神の力と言ってみよう。

それならなんでもありだし。

僕は黒い笑みを浮かべながら目の前の変態に向き直った。


「神の力をくれ」


「………神の力?そ、それはなんていうか…」


「ダメとか言わないよね?なんでもいいって言ったよね?」


「…基本的には、と言ったような気が…」


「ああん?なんか言った?」


「い、いえなんでもない、です、はい。し、しかし神の力を言っても様々ありましてどのような力の事でしょうか?」

んーどんなって言ってもな~。神の力ってなんだろな?

そだ、とりあえず不老不死とかで人を生き返らせたりする感じかな?


「んとさ、とりあえず不老不死とかで人を生き返らせたりする感じかな?」


「すみませんそれはできません。もう少し具体的に言ってもらわないと困ります。どのようなものを目指すのかによって変わってきますから。さきほど私が言ったようにその能力を使ってどうなりたいのか具体的な例をあげてもらえますか?」

具体的…。う~ん、ハーレムってのはいいよね。それともお金かな?お金があればハーレムもつくれるだろうし、それとも戦闘系のスキルをもらってモンスターを倒すってのもおもしろそうだな。そんで伝説の勇者とか言われちゃったりして…


「…あの、何と言いますかそろそろ決まりましたかね?」


「あ、ああ。そういえば俺の行く世界ってのはどんな世界なんだ?」


「そうですね、それはですね。モンスターがいて、ギルドがあって王国や帝国があってエルフがいたり精霊がいたりして科学より魔法が発達してる世界ですね」

な、なんというテンプレ!!

これならたぶん戦闘系の能力をもらっとくのが一番いいだろう。

いくらお金をもらっても着いた瞬間にモンスターにぱくりじゃなにもならないからな。


「決めたよ。俺は戦闘能力が欲しい。勇者ってくらいだからな、そうとてつもなく強い力だ。それをくれ」


「は、はぁ。わかりました。それでは付与しますのでこちらにどうぞ」





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