「獲物発見!行くぞ!」「隙あり!」「わっ!何をする弟子?」「下剋上さ」
深い森の中で、二人の狩人はターゲットのモンスターを見つけた。
「獲物発見!行くぞ!」
狩人の一人が言った。
「隙あり!」
その背後のもう一人の狩人が言った。
「わ!何をする弟子?」
「下剋上さ」
弟子と呼ばれた狩人はナイフを構えながら言った。
「下剋上だと!? このタイミングで?」
「下剋上については咎めないんですね」
「まあ、お前がそうするのに思い当たるフシがありすぎるからな」
「冷静すぎでしょ。下剋上ですよ、やられますよ」
「いやそれは別にいいんだが」
「いいのか……」
「タイミングがよくないだろ。これから二人でモンスターを倒すってタイミングでさ」
「だからこそでしょ。モンスターに集中してるあんたをしとめる算段なんですから」
「なるほど。やるね」
「さっきから軽いなぁ。まあ、その算段は失敗になりましたが」
「うーん、もったいないね。もう一回どう?テイク2で」
「えぇ……。自ら再び身を危険に晒すんですか?」
「あれじゃない? 隙ありっ!って叫んだのがよくなかったんじゃない」
「的確なフィードバック。確かにそれはそうですね。テンション上がってつい、反省ですね」
「よし改善点が見つかったな。ではテイク2行くぞ」
「はい。とはいえ、もう自分が襲うのが分かっていたら不意打ちもクソもないのでは?」
「任せろよ。知らないていでやるから」
「もう寛大というか狂ってるなぁ。まあそこまでしてくれるなら、こちらも本気でやりますよ」
「オーケー。じゃ行くぞ!」
「はい!」
「獲物発見!行く……」
「どうしました?」
「モンスター、いなくなってるわ」
「……」
「……」
「……帰りますか」
「そだね」
その後、二人は酒場で朝まで飲み明かしたとさ。




