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私、めちゃくちゃ焦ってます。

 聞き覚えのある声が私の耳を通過した途端、その声は脳まで響き渡って記憶が一気に浮かび上がる。


 ()()()に初めてあった日の事。

 ()()()と初めて話した日の事。

 ()()()と初めて笑いあった日の事。


 まるで走馬灯のように、大事な記憶から別に覚えてなくてもいい記憶まで奥から持ち上げられるように浮かび上がってきた。


 その記憶を見た上で、私は後ろを振り返るのが怖くて震えが止まらない。

 目の前にいる魔王だけで死にそうな程に震えていると言うのに、なんで後ろにいる存在に対しても震えなきゃいけないのだろう。

 なんで………。


 ……いや、まだ決まったわけじゃない。

 たまたま……たまたま!同姓同名の臣下が居て、見た目も似ていて、声も似ていて。


「 ( ほ、ほら。世界には自分に似た存在が3人はいるとか何とか言うじゃないですか。) 」


 そうだ。………そうに違いない。いや、そうであってくれ。


 息を飲む。正直呼吸すらまともに出来ていないこの状態で、後ろの人を確認しようと身体を動かそうとするのは難しい注文。


 けれど確認しなきゃいけない。

 もし本当に()()()なら、私はこの場の状況をしっかりと確認する必要がある。


 だって私はあの人……()()に忠誠を誓った臣下だから。

 誰よりも早く王様の安全を確認しなきゃいけない。

 誰よりも早く王様を護らなきゃいけない。

 家族と同じくらい大切な存在だから。

 こんな所で……弱気になってたまるかって話だ。


 目を瞑り、深呼吸して息を整える。

 視界に魔王が映ったままじゃ息が変なところに入りそうになるし、過呼吸になるだけ。

 目を瞑れば多少はましになる。本当多少だけ。


 だって普通、人から魔力なんて溢れるか?

 溢れないんですよ。

 普通魔力っていうのは成長すると共に自分の中に収まる量だけ増えていく。

 つまり(身体)が大きくなればその分魔力(ご飯)が盛られるということだ。


 あ、でもゾーンに入ると空気中にある魔力が一時的に器の中に入って、元々入っていた魔力が溢れるとか聞いたことあるけど。

 まぁでも最初から魔力が溢れるのは魔物だけ。人間にはありえないはな、し、………あそっか。


「 ( 人間じゃないんだ~~~!!!!あ~~!!そっか~、人の形してるだけだ~~!!! ) 」


 自分の子が魔力を抑えられないなら親だって同じ!

 魔物=魔王!魔物=人ならざる者!魔王=人ならざる者の王!


 見た目に引っ張られすぎて完全に人間の構造と全く同じだと思ってたけど…

 そもそもこの人、魔物が人間の姿になっただけなんだ!


「 ( あ~ばかばかばか!!本当にばか!!!ど忘れ大魔王め!!! ) 」


 表現がちょっとあれだが、身体中の穴という穴から汗が止まらなくなる。本当に気持ち悪い程汗が止まらない。脱水症状になるんじゃないか??


 ……と、取り敢えず!気を紛らわせた(?)ことで緊張感も0!(ではないけど!)


 ささ、この " 今ならなんでも出来そう " な時間を無駄にしない為にも、お酒をぐいっと飲むように私の顔もぐるっと後ろへ!!


「 ( 毎回毎回、なんでこうなっちゃうのでしょうか!! ) 」


 覚悟を決めた上で色々と考えちゃうのは本当に悪い癖。" 喋らなかったらカッコイイのに " の亜種で

  " 考えなかったらカッコイイのに " というやつだな。

 あぁ。そう思うとこの汗、涙も混じってそう。


 ……さて。無駄な事を考えるのはやめよう。

 気のせいかもだけど後ろからずっと " くすくす " と笑い声が聞こえる気がするし、

 前からは " はぁ " と溜め息が聞こえる気がする。


 そう思うと余計に焦りと申し訳なさが奥底から込み上げてきて、咄嗟に後ろの方へと振り向いてしまう。


 やっと振り向けた。やっと顔を動かせた。

 凄く私を褒め讃えたい!という気持ちもあるが、無駄な事考えなかったらもっと早く振り向けたのでは?という気持ちも込み上げてきた。

 端的に言うと吐きそう。



「 や〜っと振り向いてくれた。ほら、目を開けて。 」


 ______やっぱり、そうか。


 その声で言われると、私は抵抗出来なくなる。" 目を開けて " と言われてしまっては、目を開けざるを得なくなる。

 だってその声は。その優しい声色は。


「 おう……さま、 」


 王様以外に有り得ないから。


 目を開けるとそこには優しく微笑んでる王様の姿があった。

 黄色くて肩まで伸びている髪。

 女の人と間違えられるくらいに綺麗な尊顔。

 赤い服には所々の線が入っていて、腰には王様が愛用しているレイピアが。

 首にはしっかりと王位を表すひし形の模様がある。


 そして、私の大好きな白い雲のような明るい瞳。


 間違いない。この方は、この御方は…!


「 王様……!!! 」


 私の声に王様は応えるかのように優しく微笑み返す。

 この場はすごく暗くて薄気味悪いのに、何故か王様の所にだけスポットライトが当たっているように見えた。


 ……そうだ、なんでここはこんなにも暗いんだ?

 太陽の光が差し込んでこないと言っても、流石にこれは差し込まなすぎだ。


 赤くて大きなカーテンが掛かっている窓の方を見ても、青空とは大きく違って真っ暗な空が見えるだけ。かと言って星や月がある訳じゃない。

 こりゃ空なのかどうかすらも怪しくなってきた。


 部屋の中に明かりになるものはない。

 気になるのは建材くらいだろうか。

 光がないせいで暗く見えていたのかと思っていたのだが、これは元々黒いみたいだ。


 王国の建物は基本的に木材・レンガ・大理石の3つ。

 木材は白色や明るめな茶色、レンガは茶色、大理石は白がメインとなっているため、全体的に暗い建造物は見たことがない。


「 ( 魔王がいるだけならともかく、王様がいるとなるとここは魔界じゃ…… ) 」


「 魔界 " ヴァールヘルド " だ。いやはや転移魔法がこんなにも時間がかかるとは思わなかった。客人だというのに手荒な招待をしてしまったな。 」


 ……………


「 え? 」


 先程まで震えるほど恐れていた魔王の方に顔を戻し、聞き返すかのように若干高めの声で " え? " と声を出す。


 魔王は可愛らしく首を傾かせると、表情何一つ変えずに


「 間違ったことは何も言っていないが。 」


 などと言ってくる。


 いや、魔王は魔界から出ないとは聞いていたが王様が魔界にいるとは思えないだろ。

 大体魔界への行き方も分からないというのに…


「 あぁ、ここは魔界だよ。ようこそ~!」


 …………


「 はぁ!? 」

最後ってどうやって〆たらいいんでしょうね。

未だによくわかっていません。

勉強するのみですね、頑張ります。

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