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第26話 凄腕ロリ魔法少女ラク

「にゃ、にゃにをするにょらっ!」


 気を取り戻したロリ少女が抗議する。


 にょら?


 目に涙を浮かべたロリロリ少女はまるで魔法使いのようなつば広の帽子と漆黒のマントを身に着けている。そして超ミニスカ。まぎれもなくロリ。どこからどう見てもロリ。しかもそっち趣味の大人にめちゃ好かれそうな感じの。


 じぃ~。


 観察。


 気の強そうなキリッとした目。

 ツンと突き出た小さなお鼻。

 低い背のわりにスタイルはよくて足が長い。

 腰まで伸びた赤髪がちょうど開いた股の間を覆っていて絶妙に下着が見えるのを阻んでいる。いや別に見たいわけじゃないけど。いやほんとに。

 で、ぶかぶかめの魔法使いスタイルに身を包んで右手にはロッド。

 左手には昨日なくなったニワトリの頭が握られている。


 はは~ん。こいつかぁ~、犯人は。


「なにって泥棒を捕まえただけだけど」


「泥棒じゃないにょ!」


「でもそれ(ニワトリの頭)」


「ちが、ちっが~うにょ! これは元々私のものにょ!」


「いや、違うから。僕が持ってたやつだから」


「お、お前らが盗んだだけにょ!」


「う~ん、どう思う?」


 ハルとアオちゃんと顔を見合わせる。


「とりあえず身元確認、かな?」

「だね」

「ゆ」


「お前ら、なにこっちを見てにやけてるんにょ……。こうなったらさっさと逃げるにょ! (インビジ)……」


 おっと、透明になって逃げるつもり?

 させないよ。



枠入自在(アクターペイン)



 灰色の世界。

 怯え顔で詠唱中のまま固まってるロリ少女にカーソルを当てて意識を集中。

 ステータス欄がぶわぁと浮かび上がってきて僕を飲み込む。


 ジュゥゥン──。


 目を開ける。

 爽やかな匂い。

 森の中にいるようなフレッシュな薫り。


 さてさて、このニワトリ頭泥棒のロリ少女は一体何者なのかなっと。


 僕がつま先立ちしようとすると一緒についてきたアオちゃんが「ゆ!」と踏み台の形になってくれた。


「おっ、アオちゃんありがと!」


「ゆ! おと~しゃまの力になりゅ!」


「助かるよ、重くない?」


「ゆ! おと~しゃまといると力が湧き出てくるゆ! これくらい平気ゆ!」


「そっか、もしきつかったら言ってね?」


「ゆ! おと~しゃま優しくて大好きゆ!」


「僕もアオちゃんのこと好きだよ~」


「ゆ~!」


 僕はあんまり一点に体重かからないように気をつけながら台の上から数字を見渡す。



 名前 ラク・ブレロ

 称号 迷いたぬき

 種族 たぬき獣人

 性別 女

 年齢 15

 LV 17

 HP 18

 SP 29

 STR 7

 DEX 34

 VIT 16

 AGI 12

 MND 49

 LUK 4

 CRI 2

 CHA 6



 ラク・ブレロ?


 たしかリュウくんたちが探してた先輩?


 ってことは本当にニワトリの頭の持ち主じゃん!


 しかもたぬき獣人?


 獣人かぁ~、なるほどね。


 それならニワトリの頭にもしゃぶりつくわけだ。

 

 え~っと、それからなになに……?


 称号『迷いたぬき』?


 ……迷子だったのかな?


 レベルが「17」でMND(魔力)が「49」。


 なるほど、これは天才と言われるわけだ。

 たしか「奇跡」とも言われてたっけ。

 姿を消してたのは魔術を使ってたのかな?

 で、僕たちと一緒にここに入ってきた?


 ま、なんにしろリュウくんたちの探し人だ。

 ここで彼女に出会えたのもハルの幸運(ラック)のおかげだろう。

 よし、そうとなれば!

 会わせてあげよう!


「戻ろう」


「もういいゆ?」


「うん、大体わかった」


「ゆ!」



 シュゥゥン──。



 元の世界に戻った僕はチャキチャキと質問。


「ラク・ブレロちゃん、リュウくんって知ってる? リュウ・シデンくん」


「にょ? リュウ? 私が魔法を教えてあげてたあのリュウにょ? っていうかなんで私の名前……」


「うん。でね、リュウくんがこの町に来てるんだよ。キミと会うためにね。で、今日帰るって言ってたから、今からエンドレスに戻ればまだギリギリ会えるかも。そのニワトリの頭はキミに渡してくれってリュウくんから頼まれたもの」


「にょにょにょ……それでにょ。どうりで懐かしい味だったわけにょ……」


「で、キミは迷子だったんでしょ?」


「まままま、迷子じゃにゃいにょ!」


「いいからいいから、わかってるから。しかも獣人なこともね」


「にょっ!? にゃんでそこまで……!」


 動揺したラクはボンッと音を立てて半たぬきの姿へと変わる。耳、目の周りのくま、ツンとしたお鼻、ヒゲ、爪の生えた手、そしてもふもふな尻尾。


「にょにょにょ……こりぇは……あの、そにょ……」


「あら、かわい~!」

「ゆゆゆ! かわゆなたぬちゃんゆ!」


「にょ~……やめるにょ~……私はさすられると弱いにょら~、あああぁ~……」


 ハルとアオちゃんにふわふわな体毛をもすもすと撫でられて嬉しそうに悶絶するラク。


「で、どうだろう。今からリュウくんたちに会いに行かない?」


「にょ……でも別に会う意味も……」


「ごはん」


「にょっ……!」


「空いてるでしょ、お腹?」


「にょ~……たしかに……(ぐぅ~)」


 胃袋で返事。


「昨日、串焼き一本盗んだくらいには空いてるよね?」


「にょにょにょ……それはそにょ……」


 短い腕で顔をもしゃもしゃ擦ってる。かわよ。


「今さら責めないよ。だからさ、その代わりにリュウくんたちに顔だけでも見せてあげてよ。せっかくキミを探してここまでやってきたんだから」


「う……わかったにょ……」


「よし、そうと決まったら行こう!」


「にょ……あんま気が進まないにょけど」


 こうして僕たちは偶然にもロリロリたぬき獣人ラクちゃんと出会い、リュウくんたちからの頼み事を見事クリアーすることになったのでした!


 え? ごはん奢るって言ってたけど僕お金ないだろって?


 大丈夫!


 お金はあとから作ればいい!(ドンッ)


 そう、僕は前向きなのです!


 ということで、凄腕ロリ魔法使いたぬき獣人ラク(要素が多い!)を連れた僕たち(無一文)は、エンドレスの町へと向けて隠し通路を進んでいったのです(リュウくんたち、まだ町にいるといいなぁ)。

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