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パンダさん フォース
「ワシが何故このように喋れるのか?そしてこの殿さんとは、どないして知り合ったのか?そもそもワシはなんなのか?家来さんが知りたいのはこんなとこやろ?」ちびりと酒を飲みながらパンダさんは言った。
「おおお、まさにその通りでござる!」
即座に身を乗り出した家来Bの目の前に、パンダさんはまず杯を差し出した。
「この話はちょいと長くなる故、まあ酒でも飲んでゆっくり聞き~な」
見た目こそ獣とはいえ、この瞬間に家来Bは彼の器の大きさを感じた。言われるがまま杯を手にとり、パンダさんよりあまり得意ではない酒を一献頂いた。
殿は黙って飲み続けている。
周りが岩で覆われていること以外、城でもよく見る家具や寝具が並んでおり、とてももののけの住処とは思えない部屋模様だ。
蝋燭の薄明かりの中にて人間二人ともののけが一匹、ちびりちびりと酒を酌み交わす。
今、外は夜なのか朝なのか?岩に囲まれたここからでは知る由もない。
「あれはワシが20そこそこの時やったかなあ…」
パンダさんはゆっくりと語り出した。