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アイアンマンソウル  作者: バラクーダ高橋
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パンダさん セカンド

嘘くさい話だが、30年ほど前に喋る獣が発見されたと噂になったことがある。

なんでも白に大きな黒の斑点があり、体躯は小熊のような奇妙な生き物だと、城下ではえらい騒ぎになったらしい。

変種の熊というより”もののけ”の類ではないかという説から、この妙な生き物に近づかないよう発見されたという城の裏手にある山が立ち入り禁止になったのだ。

ーそういえばだが、この山がその山だ。

大木がうっそうと生い茂り、あらゆる動物達の鳴き声だけが聞こえてくる。冷静になってみると、小心者には十分怖い感じがしてくる感じ、てな感じだ。

嫌~なイメージしか出てこず、青い顔をした家来Bはとにかくはぐれまいと必死に殿を追った。


殿は険しい山道をはずれさらに険しい獣道に入って行く。恐ろしい事に速度を保ったままだ。

一度はぐれたら最後、帰り道など分かるハズも無く、家来Bは命を削って殿に食らいついて行った。


「どうどうどう、止まれオラ」

突然殿が馬を止めた。少し遅れて家来Bも到着。

「ハァ…ハァ…どうなされた?殿…小便でもした…」

「着いたんだよアホンダラ。バカ」


「はて?辺りを見回してみても何もござらんようだが…あ!まさかここで私と心中な…」

「うるせえなおめえは。置いてくぞ。バカ」

そう言うと殿は、手綱を木にくくり付け下の方へ降りて行ってしまった。

慌てて後を追う家来Bだったが、酒が抜けきってなかった殿がコケていたのですぐに追いついた。

「ああ!フフ…大丈夫でござるか!?」笑いをこらえて駆け寄る家来Bに、バシン!!と無言のローキックが飛ぶ。「ぐへっ」と気持ち悪い声を上げながらよろめく家来Bは足を踏み外し、小高い段差から落ちていった。

「ぐへあっーー!!」と気持ち悪い叫び声がこだまする。

「おお、そこだったか。いい仕事したぞバカ」そう呟くと、殿もその小高い段差から降りて行った。

だが、やはり酒が抜けきっていなかったようで、着地と同時にバランスを崩し隣で腰を押さえながらのたうちまわっている家来Bの上に尻餅をついた。

「ぐへっ!!」


「ここだ。ここがパンダさん家だぜ」

例の”もののけ”がパンダさんという名前だと教えてもらったのは殿からではあるが、あの時も殿は相当酔っぱらっていた。だが出発時こそろれつの回らない酔っぱらいだったが、いつの間にか酔いも冷めた様子。

そしてなにより、さほど大きくはないが目の前に怪しげな洞窟が口を開いて待っておる。

『なぜ家を知っている?殿とパンダさんに繋がりがあるという事なのか!?』

色々な懸念をはらませつつ家来Bは叫んだ

「おおお、武者震いじゃ!(ビビっている)」


「うるせえってんだ。バカ」

小高い段差を降り、左手に見えるその洞窟にいよいよ二人は入っていった。

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