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アイアンマンソウル  作者: バラクーダ高橋
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遡る事、30年前 サード

「むうう!若はどこぞへ行ってしまわれたのか…」

世話役は使用人達にもお願いして、城内を必死に探し回っていた。するとそこへ

「大変でござる!若が馬を強奪して外に…!」

「ななななあにい!?いかん、いかんぞそれは!直ぐに追いかけるのじゃあ!」

世話役達は馬に乗り、一目散に城を飛び出した。二手に分かれ、城下町を縦横無尽に探し回る。

「わずか齢10の若君が一人で出歩くなど…!人さらいにさらってくれと言ってるようなものじゃ。何としても探し出さねば、この首だけでは済まぬ問題じゃ!!あああ、ヤバいヤバい!」


日が暮れるまで探し回った世話人達だったが、結局若君は見つからなかった。幸いというか何というか、戦の遠征中につき、殿の留守中の出来事であった。


その頃、問題の若君はというと……

「はっはっはっはっは!やっと自由を手に入れたわい!」

事の重大さなどつゆ知らず、これからどうしてくれようかと、テンションが上がりっぱなしでしょうがない感じだった。


気の向くままに馬を走らせ、道なき道を走ってゆく。気付くとそこは、危険な香りがプンプンする森の中だった。

「おおお、いいねえいいねえ」

若君はスリルが好きな質なので、遭難などは大歓迎である。


ペースを落とし、パッカパッカと馬に揺られながら森の中を散策していると、綺麗な水の流れる小川を見つけた。

「よし、しばし休憩じゃ」

馬を降り、小便をしてから川で手と顔を洗い、川べりに転がっている丁度よさそうな岩に腰掛けて少し物思いにふけった。

「ううむ、晩飯が無いのは問題じゃのう…城の者も心配しておるだろうしのう。

てか今父上が帰ってきたら、あやつら問答無用で打ち首じゃろうのう…ふっふっふっふっふ。

てか晩飯の事考えてたらホントに腹が減ってきたのう…。

刀も持ってきておるし、熊でも斬り殺してしのぐかのう…いやあしっかし、腹が減ったのう!!ブツブツ…」

色々考えた末、今夜中に帰ってやる事にした。


「おおおし、もうちょい奥まで入って猿でも捕まえて帰るとするかの……うんん!?」

立ち上がった瞬間、水面に丸い物体が横切ったのが目に入った。すかさず振り返り上空を見上げると、生い茂る木で全ては見えなかったが、丸い上の部分がスィ~とゆっくり空を移動しているのが見えた。

「なんじゃありゃあ?緑で丸っこい…スイカの化け者か?」

考える前に行動するタイプの若君は、そんな事を考え始めたころには既に、スイカの化け物の下まで到達していた。


「止まれ止まれい!なんなんじゃお前はバカヤロウ!!」

刀を振り回しながらスイカの化け物にケンカを売る若君。

そこから少し追いかけた先に出た少々開けた場所で、そのスイカの化け物は移動を止めた。

「おのれ無視か!名を名乗らんかいコノヤロウが!!」

若君は興奮して未だにわめき散らしている。


するとスイカの下から4本の棒が出てきて、スイカはゆっくりと地面に着地した。

次いでパッシュ~ウという音と共に、棒の出てきた間が襖のような感じでゆっくりと横に開き始めた。

どうやら扉のようである。


「オオホホホッ…何か出てきよるっぽいのう!楽しみじゃのう!!わはははははは…!」


刀を握りしめながら、今までの人生で最大のウキウキが若君を襲う。

「フォオオ武者震いじゃ!はっはっはっはっはっはっは…!!森最高!」

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