第12章 第1話 アリスは嗅ぎ回る
(エリア666であんな恐ろしい事が起こるなんて…)
アリスはlunar eclipse projectのNPCの調査を続けていたが、今回の事件には衝撃を受けていた。彼女も500万人以上の人々が犠牲になる災害は予想していなかった。
(lunar eclipse projectのNPCは、元々ユーザーだった可能性が極めて高い…でも今回、突然消失した訳ではない)
アリスはlunar eclipse projectのNPCにはエリア666の住人は含まれていないと考えた。彼女は鼎達やエンシャント財団との情報交換を頻繁に行なっていないので、ペルタの事情は知らない。
(NPCにされたユーザー…崩壊災害…関わりがないと決めつけるのは駄目ね…)
彼女は独自で、地道にlunar eclipse projectの調査を続けている最中だった。アリス以外にlunar eclipse projectに注目している人物はいなかった。
(…プレイヤーの数は減り続けている。月食エリアにはもう有効な手がかりは無いかな)
ーー
アリスはlunar eclipse projectの運営に対して、様々な問い合わせをしてみる事にした。ちゃんとプレイヤーのデータは記録しているのか、チートを行なったプレイヤーのアカウントを凍結しているのかなどを問い合わせた。
(でもここの運営って、返事が来るの遅いんだよね)
プレイヤーの間では、lunar eclipse projectの運営はやる気がない事で有名だ。返答までの間、何をするかはまだ考えていなかった。
(従来のインターネットでlunar eclipse projectについて調べようかな…)
ーー
鼎や桃香とは違い、アリスには常に周囲を警戒する癖は無かった。彼女は何者かに見られている事に、気づく事ができなかった。
(コソコソ嗅ぎ回っているのはあの女か…)
アリスの活動は既に、とある組織の警戒対象になっていた。崩壊災害以降、少しでも怪しい動きを見せるユーザーは監視対象になりやすい傾向にある。
アリスはその事に気づかずに、調査を続けていた。監視している人物は、ついに動こうとしている。
「あの〜すみません」
突然現れた男に声をかけられたアリスは流石に警戒したが、すぐに攻撃したりはしなかった。だがそれが命取りとなってしまった事に気づかなかった。
「何ですか…きゃっ?!」
男は素早くアリスの顔面に催眠ガスを吹きかけた。アリスは抵抗する間もなく、その場で倒れてしまった。
『おい、この女を運ぶのを手伝ってくれ』
すぐに男の仲間が現れ、アリスを運ぶのを手伝う。男達もタイミングを見計らっていたので、周りには他のユーザーはいない。
アリスは誰にも助けられる事はなく、男達に連れ去られてしまった…




