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第10章 第12話 エリア014にて

エリア014、そこは放棄された軌道エレベーターがあるエリア。今となっては中心地にも人が殆どいない、寂れたエリアだ。


軌道エレベーターから少し離れた場所に小さな焼肉屋があるが、客は1人しかいなかった。その客である蒼井宙は、静かに焼肉を味わっていた。


(ここの特製のタレは本当に美味い…)


宙は口に出して「うまい!うまい!」などと言うタイプの人間ではない。だがその表情を見れば、焼肉の味に満足している事は明らかだった。


「最近、なんだか物騒な事件が発生してるよね」


「エリア666が崩壊したニュースですか?」


今日は珍しく店主が宙に世間話を持ちかけてきた。宙にとってはエリア666のニュースが記憶に新しかった。


「あんな恐ろしい事になるなんて…たくさんの人が犠牲になったみたいだし」


「最近はアナザーアースでもテロ組織が活動してますね」


「アナザーアース…仮想現実の事は、よく分からんな」


「アナザーアースにログインした事は、無いんですか?」


「仮想現実には興味が無いから」


「そうなんですか…」


焼肉屋の店主の男はアナザーアースには本当に興味が無さそうだった。彼の年齢もあるが、014は取り残されたエリアなのでしょうがないかも知れない。


「もういつまでこの店を続けられるかにしか興味が無いよ。跡取りいないし」


その後も宙は静かに焼肉を食べて、やがて完食した。店を出る前に、店主がテロ組織の声明に引っかかる事があると言ってきた。


「あの連中…宇宙都市計画がどうたらとか言ってたよな…その都市の名前…」


「シティOIですね」


「そうそう!ここの上空にあるんだよな…恐ろしいよ」


「…即座にここを攻撃する様な真似はしないと思いますが」


ーー


焼肉屋を出て家路についた宙は、立ち止まって空を眺めた。エリア014の上空に、シティOIが存在しているのだ。


(私と同じ血を引く者が、いるかも知れない…)


宙はシティOIに想いを馳せていたが、また早歩きで家へ急いだ。彼はアナザーアースに関して、やるべき事があるのだ。


ーー


彼は現実世界では単なる一市民に過ぎないが、仮想現実では別の顔がある。蒼井宙はアナザーアースを開発したプログラマーの息子なのだ。


彼自身もプログラマーとしての才覚があり、それを磨いてきたのは彼自身だ。彼は独自の目的でアナザーアースと関わり続けている。


(さてと、今日やる事は…)


だが彼はまだ動こうとはせずに、細々と生計を立てている一人のプログラマーを演じている。彼は争いの舞台に上がるタイミングを見計らっているのだ。


(現実世界と仮想現実はこれからどうなるのか…)


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