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第3章 第1話 アバター修理中 現実の鼎

(暇だ、やる事が無い…)


アバターを巴に修理してもらっている間、鼎は暇を持て余していた。アナザーアースで探偵をやっている彼女は、現実だとアルバイトぐらいしかやるべき事が無いのだ。


(放射線障害…バーチャルでも深刻なダメージになるのね…)


以前の戦いで、テロ組織はバーチャル空間で特殊なプログラムを起動させた。その影響で周囲にいたユーザーのアバターに、放射線によるダメージと似たような症状が発生したのだ。


(アナザーアースから切り離されるとこんな気分になるのか…)


鼎は今まで、長時間アナザーアースにログインする事が当たり前だった。読書やソシャゲなどの趣味や各エリアの観光など、鼎の息抜きの多くはアナザーアースに依存していたのだ。


(現実でも読書はするけど…)


今は読みたい本が無い、というのが鼎の気持ちだった。興味がないジャンルの本は、どうしても読みたいと思えないのだ。


(この辺りには行きたい場所なんてもう無いし…)


長年住んでいるエリア007には、名所と呼ばれる場所は少ない。それに、007の文化遺産はほぼ全て一度行った事がある。


(アナザーアースが無いと生きていけない…)


ーー


pipipipi…


鼎がいる一室に、突然デバイスの着信音が鳴り響く。手に取って画面を確認すると、桃香からのメッセージを着信していた。


『なんか久しぶりな気がするけど元気?ボクのアバターはもう修理終わったよ』


『私はまだだけど…早くない?』


桃香は既にアバターの修理を終えて、またアナザーアースにログインしている様だ。彼女は鼎と共にテロ組織と戦っていたのだが、そんなに早く終わったのだろうか…


『巴サンに頼んで、修理を優先してもらってたんだー』


『どうりで遅いと思ったら…巴のやつ…』


鼎は、巴が桃香の頼みを素直に聞いた理由が気になったが、それよりも文句を言いたかった。鼎は巴にアバターの修理を急いで欲しいとメッセージを送ったが、その前に桃香からまたメッセージが来た。


(…エリア003に来て欲しい?)


ーー


なんの脈略も無い唐突な内容だったので、鼎は"急にどうした"と返信した。003は桃香が住んでいるエリアだが…鼎は今すぐ彼女に会いたいとは思っていなかった。


『この時期に003に観光しに行っても、特別なイベントはやってないでしょ』


『だからこそだよ。観光シーズンの003の人混みが凄まじいってのは、聞いた事あるでしょ?』


鼎は桃香とメッセージのやり取りをしても、別に003に行きたい気分にはならなかった。桃香がこんなメッセージを送る理由が分からないと思っていると、また通知音が鳴った。


『テロ組織や開発者についての情報が入ったんだ。アナザーアースじゃなくてリアルで話したい』


(…それ、先に言ってくれれば良かったのに)


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