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第一戦 梶井もみこvs神城独尊

 へー、こんなに可愛い子が・・・・・・。

「よ、よ、よろしくお願いします」

 目の前にいるのは、とてもじゃないが戦いには向いてなさそうな華奢で可愛らしいお嬢さんだ。

「おー、よろしく」

「参ります」

「いいよ」

(実験参加者、梶井もみこおよび神城独尊の同意を確認。戦闘を開始してください)

 どんな理屈かはしらねぇが頭の中に響くいつもの声だ。三箇所の合意があったその瞬間から勝負は始まる。

 目の前の清楚な女の子はよつんばいになり、髪を逆立て、目を赤く光らせる。そんなに見つめられたらまぶしいぜ・・・・・・。


 って、あぶねぇ!!


 痛々しい光を放つその瞳から放たれたのは高強度のレーザー光線。目線の動きと狙い目が分かりやすかったから避けられたものの、直撃を受けては即死だったろうよ。


 これ本当に五分五分かよ。


 参加者は実験への協力と戦闘成績に応じて願いをかなえてもらうことができる。詳しいことは良くしらねぇけど、目からレーザー出せる人間造れるくらいだから結構な願いをかなえてもらえるんだろう、かなり深刻な願いを持った参加者も多く戦闘は命がけだ。


 まあ、俺はただの退屈しのぎだけどな。


 ただ、何がしたいのかは知ったこっちゃねぇが、一応五分五分の戦いになるように弱い者には戦闘時のみに特殊な能力の付加や身体能力の強化をしてもらえるらしい。らしいと言っているのは、何の能力も与えられていないからそれがどんな物だか想像できねぇってことだ。


 素の状態であればどうやら俺は最強らしい。


 さて、どうしようか・・・・・・そんなことを考えていた刹那、背後から大きな衝撃と共に轟音が轟く。


 マジかよ。


 いや、これはさすがに笑えない。どうしてこんな人気のない山の中でやるのかと思ったら彼女のレーザーは山を真っ二つにしてぶっ壊してしまう程強力らしい。いくら何でも同じ人間同士でここまで戦力差があるものかね。


 これは可愛い嬢ちゃん相手でも本気で行かないとな。

 ああ、この本気にさせるってのが五分五分ってことなのかな。

 

 まあ、元々戦うことに向いてないのか、力を扱いきれてないのか、良く見りゃ割と余裕を持ってかわせる程度だ。とは言え、大地を引き裂き、山を吹っ飛ばすくらいだから、足場が安定せず、地形がどんどん変わっていく。足をとられれば危険だし、一瞬かするだけでも命が危ない。早めに方を付けたいところだ。

「はあああああああ」

 口を大きく開いて雄たけびを上げる。まだ何かできるのか?確信があるわけではないが、今動くのは危ない、そんな気がした。

 大いなる光と共に何やら口から波動砲的なものが放たれた。


 おいおい。


 彼女の正面にあった全てのものが文字通り消滅した。跡形もなく、光の走った部分が丸ごと空間ごと綺麗サッパリくっきりシャッキリなくなっている。

 まずはとにかく接近だ。俺はただの生身の人間だから当然飛び道具は使えない。そうすると、厄介なのはレーザーの方だ。素早く目線の動きに反応するアレはある程度距離をとれば、遠くの方では反応が鈍いので辛うじて避けれる状態。至近距離では文字通り目の動くスピードであるから、人間のは到底避け切れん。嬢ちゃんにこんなこと言って良いのか分からんが、何ていうか・・・・・・。


 あんたはもう怪獣だよ。


 せめて第二波までにチャージ時間くらいあればいいのだが、レーザーの方はいつまで経っても途切れることなく元気だからたまらない。戦闘経験が少ないためか、動きは素人だが、身体強化もされているようで四本足がかなり俊敏な動きをしている。飛び道具の扱いは乱暴で危なっかしいく避けるのに比べて踏み込むのはかなりハードルが高い。これはもう、後ろを取るしかねぇな。とりあえず、身を隠しながらチャンスを窺おうか。できるだけ攪乱させるように動き回り、できれば一度完全に姿を隠してしまいたい。

 次第に足取りが遅くなり、レーザーの嵐がやんだ。どうやら、相手は俺をロストしたようだ。ゆっくりのしのしと歩きながら、時折レーザーの雨をばら撒く。視界には入らなければ相手に気付かれないことを考えると、恐らく聴覚や嗅覚は強化されてはいない。つまり、回り込めれば距離をつめることが恐らくは可能だ。波動砲のお陰で隠れれる場所も少なくなってきていることを考えるとチャンスは一回と考えるべきだろう。踏み込むタイミングが重要だ。

 彼女の行動原理は至って単純、もっとも隠れる場所が多そうなところから飛び道具を放った後に調べてくる。つまり、一見隠れる場所がなさそうなところは後まわしになると言うことだ。別に全く隠れることができない場所じゃなくてもいい、彼女から見て隠れなさそうな場所であればいい。幸いなことに長距離砲を乱射したお陰で、彼女の死角にできた隠れ場所がいくつかできている。


 何とかなるかな。


 射程の長い武器を持ちながら不用意に歩き回っているのも好都合だ。じっくり待てば仕留めれる。そう、こんな風に背を向けた状態で・・・・・・レーザーを放った瞬間だ!!


 ここまで来るとつまんねぇな。


 振り向かれたら最後だ、しっかり後ろからしがみつく。結構なナイスバディだ。おじさん大興奮・・・・・・している余裕はなさそうだ。彼女も身体強化がされているので、力任せに背中を地面に叩き付けてくる。近づけばこっちのものだと思っていたが、予想以上にフィジカルが強かった。何とか絞め落とすか関節を決めるかしたいところだが、そんな余裕はどこにもない。このまま消耗戦になれば身体強化されている彼女の方が圧倒的に有利だ。

 そんな時に彼女は再び波動砲を準備し始めた。さすがにあの勢いで叩き付けられてはコッチも持たない。


 まずい、まずい、まずい、ここまではまずい。

 

 仕方がない、年頃のお嬢さんにこんなことしちゃ可哀想な気もするが、(おっさんに抱きつかれてる今でも十分可哀想か・・・・・・)悪いが俺も負けるわけにはいかねぇんだ、すまねえな。


 がぶり!!


 人間の噛む力ってのは結構なもんなんだぜこの野郎。皮膚も強化されているせいかコッチの歯も顎も痛みで悲鳴を上げていた。刺激を与えたせいで、さらに激しさを増して暴れ狂う。こちらにチャンスがあるとしたら、一瞬動きが止まったくらいだった。


 まあ、一瞬で十分なんだけどな。


 素早く絡みつき技を決めればいくら激しく動こうが関係ない。 

(戦闘の終了を確認、勝者神城独尊)


 何だかんだで五分の戦いだったか。まあ、俺的には反則勝ちと言うか反則負けした気分だけどな。


「あ、あ、ありがとうございました」

「あー、うん、すまねえな。気分を害したなら許してくれ」

 俺なら泣くね。男だけど。

「いえ、そんな事は」

「・・・・・・そんなに無理して戦わなくてもいいんじゃねえか」

 怪獣みたいになっちまうってことは元々こんな世界とは縁のない人なんだろうに。

「大きなお世話です!!次は勝ちます!!」

 はは、最近の女の子ってのは強いんだな。

「悪い悪い。まあ、でも、俺も負けるわけには行かないんでね。次があったら、また俺が勝つさ」

 勝った方が報酬に早く辿り着けるからな。

「じゃあな」

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