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 第3話  不幸な少年

 俺は緊張を少しでも和らげようと思い、口を開いた。


「とりあえず自己紹介でもするか、俺はユリクス。職業はテイマーだ」


「俺はガロ。この街の警備をしている」


 警備も俺の話に乗ってくれたようだ。


「僕はヤンです。一応テイマーの冒険者です」


 ヤンはそう言うと早速、事の経緯を説明してくれた。



     ◇◇◇



 ヤンの両親は早くに亡くなっており、生活費を自分で稼ぐ必要があった。

 その為、ヤンは冒険者として、主に雑用の仕事をこなしていた。


 だが、それだけでは生活が厳しかった。


 そこで、ヤンは稼ぎを増やす為に色んなパーティにに入れてくれないかと頼んで回っていた。

 しかし、どのパーティもヤンが入ることを拒んだ。


 その理由のほとんどが 「テイマーだから」 だそうだ。

 冒険者のほとんどはテイマーは弱いとか、テイマーは危険だとかそんな偏見を持っていた。



「今日もダメか……。いつもごめんね、ルネ」


 ヤンは隣を歩く少女にそう言った。


「いいの。私はいつでもヤンについて行くよ」


 ルネはヤンがテイムしている人型の魔物である。

 魔物と言っても、髪色や目の色が緑というくらいで、人間との見分けはほとんどつかない。

 それにルネは戦いが少々苦手だ。


 ルネは産業開発や街の発展によって住む場所が奪われ、人里に降りてきた。

 同じく住む場所のないヤンと出会い、行動を共にするようになった。

 


「なぁお前、パーティ探してんならCランクパーティの俺たちが仲間に入れてやるよ」


 突然声をかけられ、ヤンが振り向くと、4人の男が立っていた。


「え、本当にいいんですか?」


 ヤンは期待に満ちた声で尋ねた。


 しかし、予想と違う返答が返ってきた。


「おっと、勘違いするな、俺が誘ってんのはその娘だけだ」


 先頭に立つ男はルネを見て言った。

 やっぱりそんなに上手い話は無い……。


 だがヤンは一瞬迷った。

 実際、生活すらままならない自分と一緒にいるより、稼ぎの安定しているCランクパーティと一緒にいた方がルネにとっては幸せなのかもしれない。


「ヤンがいないなら嫌だ!」


 迷うヤンとは裏腹にルネは即答した。


「てめぇうちのリーダーが誘ってんのになんだよその態度は」


 後ろにいるいかにも柄の悪そうな男が言う。


「まあいいだろ、今は諦めてやるよ」

 

 先頭のリーダーと呼ばれた男はそう言い、4人は去っていった。


「良かったのか? ルネ」


「当たり前じゃん! ヤンが断ってくれなくてちょっと傷ついた!」


「ごめん……ありがとう」


 ヤンは申し訳なさそうに礼を言った。



 しかし事件は起こった。

 次の日の明け方、ヤンはいつも通り小屋で寝ていた時のことだ。


 外からから叫び声が聞こえてきた。


「嫌だ! やめて!」


「抵抗したらてめぇの仲間がどうなるか分かってんのか?」


「それだけはダメ!」


「じゃあ大人しくついて来るんだなぁ」


 ルネと昨日の男達の声だ。


 ヤンは飛び起きて小屋を出た。

 すると昨日の男達がルネの髪を引っ張り、街の入り口へ向かっていた。


「ルネ!」


 ヤンは力の限り叫んだ


「ヤン! 来ちゃダメ!」


 ──と、ルネが叫んだ途端、リーダーの男がルネの頭を地面に叩きつけた。

 ルネはぐったりと動かなくなった。


「チッ、手間かけさせやがって。」


 ヤンが駆けつけようとするが後ろの男達に腹を蹴られる。


「くっ……」


 腹を押さえながら倒れたヤンはその後、男達から長時間に渡って暴力を浴びた。


「ルネ……」


 ヤンの声は届くはずもなく、ルネは街の外へ連れていかれてしまった。



 しばらく意識が朦朧とする中、地べたを這っていると入り口から何やら男2人が揉めているような声が聞こえてきた。



「そこをなんとか! お願いします!」


「ダメなものはダメだ! 諦めろ!」


 ヤンは残った力で立ち上がり、声のする方へ向かった。



     ◇◇◇



「なるほどな、そんでたまたま近くで俺達が騒いでたおかげでここまで来れたって訳か」


 俺はヤンの話を頭で整理しながら言った。


「俺がもう少し早く見回りに出ていればこんなことにはなっていなかった……すまない」


 ガロはヤンに対して深く頭を下げる。


「ガ、ガロさんは悪くありませんよ」


 ヤンは慌てて否定した。


「じゃあ早速助けに行こうぜ。早くしねーとそのルネって子が何されるかわらねーし」


「お前……死にそうなんじゃなかったのか……」


「あぁ、あれはその、言葉の綾ってやつでして…」


「まぁ、俺もユリクスに同感だ。少しでも早く助けに行った方がいいだろう」

 

 俺とガロはルネを助ける決意を固めた。


「2人とも……本当にありがとうございます」


 ヤンの表情がやっと明るくなった。


「んで、そいつらの行方は分かるのか?」


「それは、その……」


 俺が尋ねるとヤンは困った様子だ


「当てはあるぞ」


 答えたのはガロだった。


「お前が出てきた森の中に怪しげな建物があってな、人が住んでいることは確認済みだ。この入口から複数人で向かうとしたらそこくらいだろう。

 しかし相手はCランクパーティだ。警備の俺も複数相手は流石に無理だ……」


「そんなことは今気にしたって仕方ありませんよ……それに、俺もクロハも腕には自身があります。安心してください」


「ホッホー!」


 クロハもやる気が満々の様だ。


「確かにそうだな、では道案内は俺に任せてくれ。ヤン、お前も付いてくるか?」


「もちろんです!」


 ヤンは力強く返事をした。


「そんじゃ、出発だな」


 ガロを先頭に俺達は森の中に入って行った。


 


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