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史実編 9話

清洲会議どんだけ長いねん。


「ワシも相部屋?ワシ、重臣で国持ちだけど?」


「文句を言うな内蔵助。昔から俺たちは相部屋だっただろう。」


前田玄以に部屋割りを言われて愚痴る佐々成政を前田利家が宥める。


「いやだって、ワシら元母衣衆だぞ?逆に相部屋じゃないのは誰じゃ?」


「はっ。御一門を除けば柴田様、丹羽様、羽柴様、滝川様にございます。」


「でもさ、左近殿はまだ来てないんだろ?ならワシがそこにさぁ……。」


「まさかお前、宿老の座を狙っているのか?やめておけ。オヤジ殿の与力の我らが選ばれるわけが無い。」


「じゃあお前は誰が宿老候補だって言うんだ?まあワシは藤吉郎が宿老なのも気に食わんがあの4人以外に複数の国持大名はおらんぞ。」


「確かにな。玄以殿はどう思う?」


「国持……若しくは御一門であれど家督継承はできぬお方……。津田様はどうでしょう?」


「おう、七兵衛様なら異論はない。で七兵衛様はどこだ?」


「七兵衛ならさっきお市様の若い頃にそっくりな女子と出かけて行ったぞ。」


とどこからともなく現れた服部小平太が言う。


「おお、小平太では無いか!達者にしておったか!?」


「相変わらずうるせえな、内蔵助。今川義元につけられた傷に響くんだよ。」


「そういえばあれ以来療養しておったと聞く。それより弟のことは残念だったな。」


「ああ、あいつも中将様のために死ねて幸せだろうよ。そういえば新介は……。」


3人とも幼なじみの毛利良勝のことを思い出してしゅんとする。

その後すぐに利家が持ち直す。


「ともかく、七兵衛様を候補にするようにおやじ殿に申し上げに行こう、行くぞ内蔵助。」


「おう!」


二人が走っていったあと。


「でさ、坊さん。あんた誰?」


小平太が玄以を指さして聞く。


「はっ、はぁ……。私は前田玄以と申す者にございます。服部殿がご療養に入られてから仕えたものでして。」


「ほおー。そういや犬と内蔵助とさっき歩いてた爺さんは誰だ?」


「ああ、あれは金森五郎八様にございます。美濃のお生まれだそうで。」


「へぇ。謀反を起こした明智何とかも美濃の野郎だったと聞くし世間は変わってるなぁ。」


小平太はほじった鼻くそを捨てるとそのまま歩いて行った。

その頃デート中の信澄。


「あの川、懐かしいな。」


「行ったことがあるのですか?」


「うむ。小さい頃よく柴田のオヤジにあそこに連れて行ってもらった。サルとも遊んだよ。」


「思い出の場所なのですね。私にも帰ってくる故郷が……。」


(ああ、そうか。この娘の生まれは小谷か。)


信澄はふと小谷城が落城したことを思い出した。


「小谷には劣るかもしれんが清須も良いところであろう。ほれ、川の中を見てみよ。魚がよう見えるわ。」


見れば透明で透き通った川の中は無数の魚が泳いでいる。


「……。」


しかし茶々は黙っている。恐らく過去のことを思い出して落ち込んでしまっているのだろう。


(うーむ、女子を喜ばせるには……。そうじゃっ!)


「茶々、着いて参れ!」


信澄はふと思い出すと茶々の手を取り小高い丘まで走った。


「ここは……?」


「俺や久太郎、みんなの思い出の場所だ。まあ座って見てみな。」


信澄が指さす先には清洲城の天守。

そこに夕日の灯りが点され言葉では言い表せないほどの美しい光景が2人の目の前に広がる。


「まあ……なんと……。」


「茶々よ。そなたに辛い思い出があるのは分かる。俺も幼い頃に父上を失った。でもな、この夕焼けを見れば父上の分も生きようと思える。お前もまだまだこれからだ。」


「七兵衛様……。」


夕日のせいか茶々の頬が赤らむ。


「さて、そろそろ帰ろう。夕食の時間だ。」


信澄が立とうとするが茶々は立とうとせず信澄の裾を引っ張る。


「茶々は……茶々はもう少しここに七兵衛様といとうございます……。」


「ッッッ!そっ、そうか。ならもう少しここにいよう。」


信澄が笑いながら姿勢を戻すと茶々が信澄の肩に身を寄せる。


「七兵衛様。あなた様と夕日が見れて茶々は幸せにございます。」


そう言われて信澄の顔を真っ赤になる。


「俺も……俺も幸せじゃ。」


(俺、子持ちだがどうしたらいいんだよ……。)


と、照れる反面息子の事を思い出して気まずくなる信澄であった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 毎回とても楽しく拝読させて頂いております。 どうかお願いですから七兵衛と茶々を夫婦にしてください、お願いします。
[一言] 地雷娘GETか。 手堅く母娘共々間借りコースはあるのか。
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