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史実編 8話

次に信澄は一応お市の方の部屋に挨拶に入った。


「叔母上、お久しぶりです。」


「叔母上……?」


お市の方が笑顔で怒りながら聞いてくる。


「あっーいや、姉様。以前よりも美しくなられたようで。」


「それで良い。そなたは見ないうちに大きくなりましたね。今年で幾つになったのです。」


「28になりました。すっかりおっさんでございますよ。」


「兄上が亡くなられた時が23でしたからそれより5つも上になられたのね。」


「そういえばそうですね。中身はガキのままでございますが。ところでサルとオヤジが来たようですね。」


「ええ、どちらも汚らわしい。あなたからもどうぞ何と言ってください。」


「いやー、恋は盲目と言いますからどちらも自分の面を見て出直して欲しいですなぁ。」


「ええ、備前守様のような凛々しいお方が織田家に居れば良いのですが……。」


「いや、居ないというわけでも……あるわ。」


思い返せば織田家の家臣団なんて変人か脳筋しか居ない。


「そうでしょ?いっそどこかの大名に嫁ぎたいものです。」


「姉様の年代で大名と言えば土佐の長宗我部か相模の北条……ってどっちも敵か。」


「そうなのです。つまり私は貰い手のいない悲しき運命を待つ女。ああ、可哀想な私。」


「あぁ、ところで土産を持ってきたのです。大坂の南蛮菓子なのですが娘のえーっと。」


「茶々と初と江ですね。」


「そう、そいつらと一緒に食べてください。」


そう言って信澄はカステラを差し出す。


「まあなんと美しい。茶々、津田のお兄様がお菓子を持ってきてくれたわよ。」


そう言ってお市の方が名前を呼ぶと茶々が出てきた。

15.6なのにかなり大人びておりその美しさに信澄は息を飲んだ。


「これはまた美しい。俺の持ってきた菓子なんて大した事ないですな。」


「そうでしょう。どうです、あなたの妻に。最近奥方と別れたのでしょ?」


(そりゃあ秀吉に別れろってあの後言われたからな!)


信澄は内心舌打ちする。


「お初にお目にかかります、茶々にございます。」


「ああ、これは失敬。津田七兵衛にござる。」


茶々が丁寧に頭を下げると信澄も慌てて姿勢を正す。


「そうだ、七兵衛は清須に来るのは久しぶりでしょう。茶々、案内してあげなさい。」


「はっはい!」


茶々が頬を赤らめながら言う。


「では七兵衛様、私についてきてくだされ。」


そう言って茶々が手を招くので信澄もそれについて行くことにした。

と、信澄がデートをしようとしている頃、柴田勝家は。


「私を当主にか?」


平伏する勝家と丹羽長秀を見て織田信孝は少し不安そうに言う。


「はっ。三七様は才覚もあり明智討伐の際には総大将を務めあげられました。織田家を引っ張っていけるのはあなた様しかおりませぬ。」


「さよう、五郎左の申す通り!我ら2人で三七様をお支え致しますぞ。」


「しかし兄が許すかのう。」


「何を仰せですか。三介様は三七様より生まれも遅く将としての器に欠けております。ここはあなた様しかおりませぬ。」


長秀が再度頭を下げ勝家もそれに続く。


「承知した。織田家の当主、しっかりと務めあげて見せよう。」


「それでこその我らが三七様にござる!何としてもサルの好きにはさせませんぞ!」


勝家が言うと2人も強く唸づいた。


「はっくしょんっ!」


と、織田信雄の部屋にいた秀吉は大きくくしゃみをした。


「ほほほ、風邪でも引いたか藤吉郎。」


ダラっとしている織田信雄がうちわで自分を扇ぎながら言う。


「いやー、夏風邪でございましょうかな。それとも誰かがワシの噂をしているのかも。」


「そうか、そうか。それにしても権六も五郎左もワシに挨拶のひとつも寄越しておらん。全く小賢しい限りよ。」


「それは残念極まりませんな。お二人共どこにいらっしゃるのやら。」


秀吉が言うと中村一氏が入ってきて耳打ちする。

それを聞いた秀吉はいかにも驚いたように、


「柴田様と丹羽様は三七様のところに行かれたようですぞ!」


と言った。


「なっ、やはり奴らは三七に家督を継がせるつもりか!サルよ、そなたしかおらぬ。そなたならワシの秘めたる才覚を分かってくれるであろう?」


「はっ。不肖羽柴秀吉。身命をとして三介様をお支え致しますぞ!」


「おお、さすがは藤吉郎じゃぁ!」


そう言って信雄が秀吉を抱きしめ方を強く握った。

その後、退室した秀吉は裾を払う。


「あれで大丈夫なのですか?」


「アホか。ありゃあやつり人形よ。」


秀吉はイライラしながら自室に戻っていた。

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