4話
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「こちらが三好左京大夫の首でござる。」
伯父上のいる二条城に入った俺たちは三好義継の首を差し出した。
「七兵衛が討ち取ったのじゃな。下手すれば奇妙より跡継ぎにふさわしいのでは無いか?」
伯父上は笑いながら言ってるがそれで笑ってるの奇妙殿だけって……。
「おやめくだされ父上。ワシが悔しがって謀反を起こすかもしれませぬぞ。」
「ほう、お主が謀反を起こすとは面白い!七兵衛よ、そなたはどちらにつく?」
えっ……こういうこと聞いてくんの嫌なんだよなぁ。
「まあその時のご当主にお味方するでしょうな。」
「満点の回答じゃ。三七も三介もワシと言うのでしばいてやったわ。」
まああの2人馬鹿だからね。
「七兵衛は奇妙の右腕としてこれを支えてやってくれ。いずれは奇妙と共に官位を与えよう。」
……?なんか前よりも待遇がいいぞ?
やっぱり三好義継の首を取ったからか?
「ははっ!有り難き幸せにございます!」
「九郎右衛門と久太郎も良く七兵衛を補佐してくれた。そなたらは織田家の未来を担うものじゃ。これからも頼むぞ!」
「ははっ!有り難き幸せにございます!」
このまま佐久間達は本願寺の備えとして置かれ俺は清水山に戻った。
大坂の大将になるのはまだまだ先のようだね。
「おお、七兵衛殿!お見事でございましたな!」
義父上は城門まで迎えに来てくれた。
「義父上の兵は流石に強うございました。感謝致します。」
「それは良うございました!ところで七兵衛殿にも家臣が必要でしょう。ワシの家臣を1人着けようと思うのですが。」
おっ、あいつだな。
「藤堂与右衛門というものでしてな。なかなか頭のキレる男ですがどうも気が強くてあまり他の者と打ち解けておらぬのです。七兵衛殿なら手なずけられると思うのですが。」
「承知しました。何としても手なずけてみせましょう。」
前は冷たく当たりすぎて向こうから出て行かれたからな。
今回は俺の筆頭家老にしてやるよ。
「与右衛門、入ってこい。」
義父上が呼ぶと6尺2寸はある男が入ってきた。
かと言って顔は強面かと言うとそれなりの美男だ。
久しぶりと言いたくなったが今は抑えよう。
「藤堂与右衛門高虎にございます。」
「おう、津田七兵衛だ。これからは某の家臣としてしかと働いてくれ。」
「ははっ!」
「せっかくだしどこか散歩でも行くか。与右衛門も着いて参れ。」
高虎と仲良くなる作戦開始だ!
確かこいつは最終的に伊勢に所領を与えられたんだったな。
それから伊予に所領を得ていた事もあるらしい。
「高虎、伯父上が天下を統一したらどこに所領を得たい?」
「はっ、私は七兵衛様に従うのみです。」
「はっはっは。そうか、なら伊予あたりの暖かい国が良いのう。」
「しかしそれでは大殿と離れてしまうのでは?」
「家臣達に負担のない場所の方が良い。近江はちと寒いであろう。」
俺がそう言うと急に高虎が膝まづいた。
「七兵衛様、我ら家臣に気を使う必要などありませぬ。我らが求めるのは七兵衛様が大殿に重用されることでございます!」
むっ……もしかして気を使いすぎたか?
「そうか……あいわかった。では播磨か大和あたりを頂くとしようか。その時はお前も城持ちにしてやる。」
「有り難き幸せにございます。この高虎、七兵衛様のために粉骨砕身働く所存でございます。」
うん、良かった良かった。ところで高虎が出奔した理由ってなんだっけ?
確か設楽ヶ原の戦いの時に……。
『おい、高虎!お前は何をしていた!佐々や菅井は大活躍したというのにお前は何をしていた!』
『申し訳ございませぬ!』
『いいか、主君を祭り立てるのが家臣の仕事だ。それをお前は何をしていたッ!二度と俺の前に顔を出すなッ!』
あれー?俺が追放したんじゃ……。
んでその後羽柴秀長に仕えた後、安土城で。
『おや、これはこれは俺の家臣を盗んだ羽柴秀長では無いか!』
『いえっ……そのようなつもりは……。』
『ふん!言い訳など聞きたくないわ!』
んで秀長を蹴りつけて……。
『おい、高虎!こんな奴より俺の所に戻ってこい!』
『私は……私は秀長様の……。』
『黙れッ!俺の方がサルの弟よりいずれは出世するぞ!見る目がないのだな!』
って言って高虎も殴ったような……。
でも確かあの本によると秀長は権大納言になって大和紀伊を治める大大名になるんだよなぁ……。
こんだけして息子を保護してくれたとは感謝しかないな。
「すまぬ、高虎。俺は不甲斐ないだろうが支えてくれるか?」
「もちろんでございます!主君を支えるのが家臣の役目、生涯お支え致します!」
頼もしい言葉だな。
「頼むぞ、お前は俺の相棒だ。」
あとは変なことしない限りは……。
大丈夫かな?