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2話

サブタイいっつもは考えてたんですがネタが切れました。

あと本作では信澄は弘治元年説を採用してます。

なので信忠より年上です。

くそっ……あのガキ力加減も出来ねえのか。

床に頭を叩きつけられてしまったでは無いか……。

それにしてもこの本、本当にこれからのことが分かるのか?


「七兵衛殿、すごい音がしたが大丈夫か!?」


この声はもしかして……!

襖を開ける音がして大柄の中年の男が入ってきた。


「いや義父上、大丈夫です。少し転んだだけなので……。」


俺の義父の磯野員昌。元浅井家の家臣で姉川の戦いなどで大活躍した猛将だ。


「気をつけてくだされ。貴殿は殿の一門にして大事な客人でござる。万が一の事があれば私は……。」


見かけによらずこの人は小言が多い。

心配性なのか過保護なのかは知らんがともかく俺を大事にしてくれている。

んー、それにしても清水山城は懐かしいな。


「それに今から殿に会いに行くと言うのにご準備をされていないとは……。」


準備?伯父上に会うのか?全然覚えてねえ。


「あっ、そうでしたな。すぐに準備致します。」


この時はまだ初陣してなかったからなー。奇妙殿の方が俺より年下なのに今年初陣だし俺も早めてもらおうかな?


「ほれ、ボケっとしていないで早う準備を!」


「承知致しました!」


てか、今伯父上ってどこにいるんだ?

そう思いながら義父上に着いていって思い出した。

浅井を滅ぼして小谷城にいたんだ!

ということは……。


「おお、七兵衛に磯野。よく来たな。」


おおー、伯父上だ!やっぱこの頃から悪趣味な格好してるなぁ……。


「殿、此度は浅井備前討伐の儀。おめでとうございまする。」


義父上がそう言って頭を下げると俺もそれに続く。


「見よ、この盃に見覚えはあるか?」


「はて、かなり大きな盃ですな。」


うわー、あれだよあれ。


「備前の髑髏で作った物よ。備前の親父の下野守と朝倉左衛門督のもあるぞ。」


信長がそう言って最前列に座る男の方に目線をやる。

その男の前には多分朝倉義景の物と思われる髑髏が置かれていた。


「七兵衛はおそらく知らんな。土橋式部じゃ。」


「土橋式部信鏡でございます。」


土橋……?確か朝倉の所の。


「こやつは左衛門督の従弟でな。あのバカを見限って余に味方した故あれを褒美として与えた。」


キッツ!やっぱ伯父上はキチガイだよ。


「下野のはキサマにやる。褒美じゃ。」


「ははっ!ありがたき幸せにございます。」


旧主の髑髏渡すってどうなの?

義父上もちょっと困惑してるぞ。


「七兵衛。そなたにも何かやろう。何が欲しい?」


んー?何が欲しいだろうか。


「初陣したいです。」


その一言に周りの連中は目を丸くした。


「あの、七兵衛殿はまだ早いのでは?」


柴田のオヤジか。

こいつも俺に過保護なんだよな。


「どう思う、久太郎。」


そう言って伯父上は横に控える美少年、堀秀政に聞いた。こいつ確か伯父上が死んだあと秀吉に媚び売るんだよなぁ。


「よろしいのでは?奇妙様も初陣なされたのですし次の戦にでも……。」


次の戦……ってなんだっけ?


「そうじゃな、七兵衛。そなた佐久間信盛と塙直政と共に若江城を攻めよ。磯野、兵は出してやれ。」


「私は行かなくても?」


「1人でやらせる事に意味がある。できるか、七兵衛?」


「ははっ!お任せくだされ!」


若江城と言うと三好義継か。

追放された将軍を匿ってるし油断出来ない相手だ。


「堀久と九郎右衛門も付けよう。しっかりと補佐してやれ。」


伯父上は堀久と側近筆頭の菅谷長頼をつけてくれるそうだ。

これはありがたい。このふたりがいれば百人力だ。


「今日は浅井を滅ぼした祝いの席じゃ。皆、沢山飲め!」


それにしても懐かしい顔ぶれだな。

佐久間と林通勝は追放されたし塙は討死したしオヤジも滝川一益も最近会ってなかったしな。

あとは丹羽長秀は……。こいつは三七に乗せられただけだと信じたいね。

俺は一門なので奇妙殿の隣に座る。


「兄者、初陣の儀、おめでとうございまする。」


「忝ない。奇妙殿に負けぬように精進いたすつもりです。」


「敬語なんておやめくだされ。私にとって兄者は実の兄のような存在なのですから。」


そうだ、俺と奇妙殿と立場は微妙なのだ。

俺の方が奇妙殿より2つ年上でなおかつ伯父上に実の子のように育てられたので奇妙殿は幼なじみで弟みたいな存在だ。


「いえいえ次の当主なのですから。それに我らももう分別のつく年ですぞ。」


「はっはっは、そうですな。それにしても兄者の義父上にしても土橋殿にしても重臣に見限られるようでは浅井や朝倉のような古い勢力はもう伸びませんな。」


「ええ、これからは伯父上のような新しい世を切り開く将が伸びていくでしょう。」


でも伯父上も舅殿もそうだし荒木とか松永とか……。


「ともかく、ご武運をお祈りしていますぞ。」


「忝のうございます。織田家の一門として恥じぬ戦をしてみせます。」


奇妙殿と話していると柴田のオヤジが入ってきた。


「七兵衛様、誠に初陣をなさるのですか!」


「うむ、某もそろそろするべき歳だろう。」


「うううっ……あの幼かった七兵衛様が遂に初陣とは……!」


「オヤジ、泣きすぎた。奇妙殿も引いて居られるぞ。」


「おお、これは奇妙様失礼致しました!七兵衛様はワシが幼い頃より面倒を見てきたゆえ……。」


柴田のオヤジは昔から世話になった。

俺の父上が謀反を起こした時も俺を助けてくれたし今の俺があるのはこいつのお陰だ。


「オヤジ、お主から学んだことを次の戦では必ずや活かして見せるぞ。」


「なんと……ありがたいお言葉でございます!!」


「権六、ちと静かにせんか!」


「なんじゃと五郎左!お主も七兵衛様の今のお言葉を聞けば泣かずにはいられまいわ!」


おいおい、喧嘩すんなって……。

でもやっぱ織田家は温かいな。

この家を……俺は絶対守ってみせる。

サルにもタヌキにも好きな真似はさせんぞ……。


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