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13話

「高天神城が落ちた!?」


馬鹿な………。あの城はあの武田信玄ですら落とせなかった城だぞ?

清水山城で休暇を楽しんでいた俺は衝撃の報告に驚いた。


「それ本当なのか高虎。」


「はい、紛れもない事実なようで。巷では織田は高天神城を見捨てたと。」


「あー、まあそうなるよ。まあ勝頼が調子に乗れるのも今のうちさ。」


しかし翌年。


「長篠城が包囲された!?」


「はっ、直ぐに岐阜に兵を率いて参陣せよと。」


「よし、行くぞ高虎!」


俺はすぐに二千の兵を率いて岐阜に登城した。


「おい、堀久。伯父上は?」


「ああ、少々お待ちくだされ。今は滝川殿と明智殿となにやら話しておられます。」


鉄砲のことか。

三千丁揃えたとはいえ運用できる部隊は限られている。

しかし畿内の鉄砲と甲斐の鉄砲では質が違いすぎる。

だから武田勝頼は負けた。

なんなら、長篠で首を上げてやっても良い。


「わかった。挨拶がしたいと伝えておいてくれ。」


堀久と入れ違いで原田、又左衛、内蔵助、福富秀勝、野々村正成がやって来た。

鉄砲奉行か……。

まだまだ時間はかかりそうなので城内を散歩することにした。

戦の前なので兵たちは慌ただしくしているが1人明るい男がいた。


「おお、阿波守。久しぶりじゃなぁ。」


「ん、三介か。相変わらずだな。」


北畠信意。伯父上の次男で無能のバカだけど人柄は良い奴だ。

とはいえ最後に織田家を残したのはこいつなので俺よりも後世では評価高いんだろうな。


「いやーわしも此度は戦に出るのだが腹が減ってのう。今から台所を覗きに行こうと思うのだが来ぬか?」


「いいね。なんか食えるかも。」


俺たちが台所に行くとやはり料理人達も慌ただしくしている。


「陣中食の用意とかか?多分わしらの間食を作る時間などなさそうじゃな。」


「無駄足だったな。伯父上に挨拶はしたのか?」


「あっ!しとらんかったわ。すぐに向かわねば!」


そう言って走り出す三介。

まだ軍議は終わってないぞ!


「おい待て三介!」


こいつ足だけは早いなぁ。

なかなか追いつけない。


「父上ェっ!三介が参りましたぞー!」


信雄が勢いよく伯父上の部屋を開ける。

軍議は終わってたが堀久と……。


「貴様ァッ!ワシの戦の前の楽しみを邪魔したなァっ!」


は?こんな趣味あったのかこいつ……。

三介は蹴飛ばされ俺の前に横たわった。


「堀久め。俺の挨拶よりそれの方が先か……。」


「いやーワシには男が好きという感覚は分からぬなぁ。やはり男に生まれたからにはおんなをだきたいじゃろ?」


「まあ、それはそうだ。また時間かかりそうだけど?」


「チョット腰が痛むから部屋で寝てくる。もちろん1人でな。」


あたりめーのことをカッコつけて言うなよ……。

俺はどうしようかなぁ。


「あらら、七兵衛様。もしかして宰相様にお会いしました?」


そう言ってデケー声でやって来たのはサルだ。

まためんどくせーのが来たよ。


「伯父上、軍議の後アレ始めたから会えてないぞ。」


「あれまー、わしも挨拶したかったのですがそれは残念ですな。全くアレの楽しさは分かりませぬ。」


「まあ好みは人それぞれだろう。奇妙殿……じゃなくて出羽介殿に挨拶でもいくか。」


「次のご当主ですからな。参りましょう!」


それにしてもサルが織田家を乗っとるなんて想像できない。

こいつはちょっと抜けてるが人一倍機転が聞いて他人の機嫌を取るのが上手い男だ。野望があるようにも見えないがそれも全て演技なのか?


「なあサル。お前天下って取りたいか?」


「天下ですか……。そのようなことは考えたことがありませぬなー。」


ん?今、天下ですかって言った時声が変わらなかったか?

演技なのか!?やはり演技なのか!

俺が顎に手を当てて考えていると奇妙殿の部屋に到着した。


「秋田介殿。阿波守と筑前守でござる。」


「わざわざ俺に挨拶か。ご苦労、入ってくれ。」


「津田阿波守、ただいま参りました。」

「羽柴筑前守、ただいま参上致しました。」


俺たちは頭を下げる。


「面を上げてくれ。」


「いやー、秋田介様も此度の戦で活躍されればいよいよ家督相続ですな!」


「おいおい、良してくれ。まだまだ俺なんて若輩者だ。」


奇妙殿のそういうところが人を惹きよせんだよなぁ。

立場に似合わず控えめなところ。


「ともかく、2人とも此度の戦は期待しておるぞ!」


「ははっ!」


俺たちは再度頭を下げると部屋を出た。


「ところで伯父上の挨拶どうする?」


「もういいんじゃないですかね。出陣まで待ちましょう。」


「そうだな。」


このテキトーなノリの信澄がこの戦で覚醒することになるのはまだ誰も知らない。

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