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第3話 パフェ後の手紙


「到着〜!!」


リロは馬車から飛び降りると、大きくのびをした。


セシルもリロに続いて馬車から降りる。


「へぇ〜。ここが・・・」


そのパフェ屋の前にはたくさんの行列が何mも続いていた。


「つか、行列長くね?これに並んで待つの?」


「でも、そうするしかないよねぇ〜」


「結構ーかかると思うよ。それにずっと立って待ってるの疲れるし」


「いいから、いいから、ずっと待ってた後のパフェはかくだんとおいしくなるよぉ〜!・・・こう言う事、何て言うんだっけ?仕事した後のご飯はおいし〜みたいな?あれ?このたとえあってるっけ?」


リロは顎に人指し指をあてて小首を傾げながら、う〜ん、とちょっと悩む。


「クス・・・」


あたしはリロの行動を見て少しふいてしまった。


「・・て、なんで笑ってるの?」


リロは悩むのをやめ、不思議そうにあたしを見上げた。


「え?だって見た目ちっちゃい子が一生懸命悩むなんてちょっと可愛く見えてさ」


それを聞いたリロは照れているのか少し赤くなり頬をふくらませた。


「もぉ〜!ちっちゃい子じゃないよぉ〜!これでも僕、セッシーより3つも年上なんだから〜!!そんな事より、、早く並ぼ〜!」


そう言いリロはあたしを行列へ並ばせようと背中を押す。


そうしてあたし達は行列に並ぶ事になった。



ーー30分後ーー


「あ〜、立ってるの疲れた〜」


もうあたしの足が悲鳴をあげていたのでへなへなと地面にしゃがみこむ。


「まぁまぁ、もうちょっとで順番来るからもう少し頑張ろ」


そう言って、リロがあたしをなだめる。


「それより見て!さっきからお店を出て来る人達!みぃ〜んな幸せそうな顔をして出て来るんだよ〜。きっと、あのお店のパフェがとってもおいし〜からだよ〜。たぁっのしみだなぁ〜!」


リロの頭の中はもうパフェの事でいっぱいのようだ。


そんな事をしているうちにあっと言う間に順番が来てあたし達はお店の中に入った。



お店の中は広々としていて、たくさんのお客でにぎわっておりとても明るい雰囲気だった。


あたし達は店員さんに導かれるがままに空いている席に座った。


やっと座れた〜。と思っていたら、リロが早々とメニューを手に取り、

「じゃあどれにする〜?」と目を輝かせながら聞いて来たのでメニューを見たらたくさんのパフェの写真の横にそのパフェの特徴などが1種類ずつ丁寧に書いてあった。


「じゃあ、あたしはバナナチョコにしようかな」


「セッシーはバナナチョコか。う〜ん、僕はどうしよっかな〜?こっちのイチゴのもいいし、あっちのキャラメルクリームが入ってるのもいいよねぇ〜。どっちにするか迷うなぁ〜・・・」


さんざん悩んだ後、

「やっぱり僕、イチゴのにする〜!」と言って店員さんを呼んで注文した。

待っている間リロは

「わくわくするねぇ〜!」なんて言いながら鼻歌を歌っていた。



しばらくすると、店員さんがやって来て接客的な物腰であたし達の前にパフェを置いた。


あたしのパフェはいたって普通なバナナチョコなのだが、リロのパフェはイチゴのパフェでも普通の物よりなんだかたくさんイチゴがのっているし生クリームとチョコクリームも大量にかかっているしポッキーもささっているし、なんと言ってもきわめつけが30cmはあるであろうこの高さである。


「いっただきまぁ〜す!!」


リロはパクパクと上にのっかっている物から順に天使の笑みを浮かべながらおいしそうに食べていく。


そんなリロを見ながらあたしも目の前にあるバナナチョコに手をつけた。


(・・・おいしい!)


ビリリとあたしの中に何かの革命がおこったかと思うと思わずパフェを運ぶ手が早くなってしまう。


(やっぱりおいしい・・・!)


夢中になって食べているとふと、視線を感じ顔を上げて見たらリロが興味深々と言った面持ちであたしを見つめていた。


「・・・ん、何?」


「いや、セッシーがすごくおいしそうにパクパク食べてるからパフェが好きなのかな〜と思って」


(あたし、そんなにパクパク食べてたんだ・・・。食べる事に夢中で気ずかなかった・・・)


そう思うと何だか恥ずかしくなって来てパフェを食べる手を止めた。


「あれ?どうしたの?セッシー?」


リロは不思議そうに小首を傾げた。


「べ、別に好きって言うほどでもないけど異様においしかったから・・・」


「じゃあ、セッシーをうならせたパフェを味見したいと思いまぁ〜す!!」


いや、別にうなってない・・・。なんて思っていたら、リロのスプーンがあたしのパフェをすくっていて気ずいたらそのままリロの口に入っていた。


あたしは一瞬の出来事だったので何をされたのか最初分からなかったが、だんだんと思考が追いついて来た。


リロがあたしのパフェを食べた。あたしの食べかけのパフェを。・・・と、言うことは、これは言わゆる間接キス・・・か?


そう分かった途端、急に頬が恥ずかしさと共に熱くなるのを感じた。


「う〜ん!セッシーのもおいしぃ〜ねぇ〜!・・・て、またどうしたの〜?顔が赤くなってるよ?」


心配した表情で聞いて来た。



・・・本当にこの子は純粋と言うか何というか。本当にこのロリショタボーイは17才なのか?思わず疑いたくなる。・・・でも、それがリロのいい所なのかもしれない。


「心配しなくても大丈夫だよ。さ、それよりパフェ食べちゃお」


「はぁ〜い!」と、リロが元気よく答えて残りのパフェを食べ始めたのを確認してあたしも残りのパフェを食べる事にした。



しばらくして、あたし達はパフェを食べ終わったのでお店を出る事にした。


「今僕、幸せで心がいっぱいだよぉ〜。やっぱりパフェ大好き!!」


そう言っているリロの表情は最初、お店を出て来た人と同じように幸せそうだった。


「また行こーね!セッシー!」


「そうだね。あのおいしさは尋常じゃなかったからね」


そんな会話をしながら待たせてあった馬車に乗り込もうとしていたら、後ろから慌ただしく馬が走って近ずいて来る音がしたのであたし達は何事かと思い振り向いた。


すると、1頭の馬に乗った王宮直属の伝達係があたし達の前に来て、馬から降りた。



あたし達の国には王様がいる。この国を唯一自由にまとめる事が出来る最高司令官である。その王様がいる王宮の直属の伝達係があたし達に用があるなんてめったにない事だ。


「貴女方はリロ・ローゼン様とセシル・カルローン様ですね?」


伝達係は手元のリストのような物とあたし達の顔を交互に見ながら尋ねた。


「そうだよぉ〜!」


「何か御用ですか・・・?」


リロは笑顔で答えたのに対してあたしは少し警戒するようにして答えた。


「陛下からのお預かり物を届けに参りました」


伝達係りは革張りの立派な鞄の中から1通の手紙を大事そうに取り出し、それをあたし達に渡した。


「それでは、失礼しました」


そう言って軽く一礼をし、馬に乗り王宮の方角へ走り去って行った。


「あ〜、行っちゃったねぇ〜・・・。それより!王様からのお手紙早く見てみよぉ〜!」


「そうだね。王様直々の手紙なんて初めてだし」


あたしは立派な花押がついた封筒を開いて中身を取り出して読んだ。


「リング、ボックスの保持者達につぐ。明日の正午、中央広間に集え。詳しい内容はその場でつげる」


あたし達は顔を見合わせた。


「えっと・・・、とりあえず明日の正午、王宮の中央広間に行けばいいんだよね?いったい何の用だろ〜?」


「分からない。でも、リングとボックスの保持者達と言う事はどこに居るか分からない保持者達が全員集まると言う事なのかもしれない」


それを聞いてリロは目を輝かせた。


「わぁ!それってすごい事だよね!僕、まだ全員見た事ないからどんな人達なのかワクワクしちゃうなぁ〜!」


喜ぶリロを横目で見ながらあたしは悩んでいた。


(王様は噂によると何を考えているか分からない人らしいけど、急にこんな内容の手紙を送りつけて何をする気なんだろ・・・。厄介な事にならなければいいけど・・・)


そう思いつつ、あたし達はいったん城に帰る事にした。

皆さんお気ずきでしょうが、リロはボックスの保持者です。

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